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マラソン細田あい選手 夢のパリ五輪へ代表選考レースに挑む

  • 2023年10月10日

 

10/15(日)に行われるパリオリンピックの代表選考レース、MGC=マラソングランドチャンピオンシップ。男女ともオリンピックの代表3人のうち2人を1回のレースで選考するいわば“一発勝負”の代表選考レースです。このレースで注目を集めているのが茅野市出身の細田あい選手。27歳にして初めての大舞台に挑みます。(浅野怜央)

MGC初挑戦!細田あい選手

 

細田あい選手

「自分の持てる力をしっかり出し切って、パリオリンピックにつながる走りをしたいです。」

 

茅野市出身の細田あい選手です。
ことし3月に開催された東京マラソンでは日本人2位の好記録(2時間22分8秒)を残した細田選手。MGCで期待される選手の1人です。

オリンピックは夢だけど、今は目標に近いです。
手が届くところに手を伸ばさないわけにはいかない

MGCとは?

 

前回のMGC

MGC=マラソングランドチャンピオンシップ。
前回(2019年)の東京オリンピックの代表選考会として発足した選考方法で今回が2回目です。
男女の上位2名がパリオリンピックの代表に内定します。残り1枠はMGCファイナルチャレンジ対象大会で設定記録をクリアした最上位の選手が代表となります。

走ることが大好きだった

 

小学生の細田選手

小さい頃から走ることが大好きだった細田選手。
小学校まで5キロの山道を、毎日ランドセルをしょったまま走っていたそうです。クラスで一番足が速く、運動会では毎回リレーの選手に選ばれていました。小学校5年生の時、父親や担任の先生のすすめで陸上競技をはじめました。

家が遠かったので学校で早く遊びたくて、山道を走っていました。走りたいというか遊びたかったというかんじです。運動会のリレーで1番になれて楽しい!みたいなのはありました。

 

長野東高校時代の細田選手

中学校では県大会などで好成績をおさめ、高校は駅伝の名門、長野東高校に進学。全国高校駅伝大会には2年連続で出場するなど活躍しました。日本体育大学を経て卒業後は実業団チームのダイハツで競技を続けました。

けがとの戦い

 

しかし、練習をすればするほど体に負荷がかかり、たびたび足のけがに悩まされるようになりました。4年前、東京オリンピックへの出場をかけたMGCには出場すらできず、沿道で仲間に声援を送りながらレースを見守りました。その後、復帰したレースでもなかなか結果を出せず、引退の二文字が頭に浮かんだといいます。

すごく苦しかったです。何をしてもうまくいかない時期でした。単純に走ることを考えることが嫌になったのでやめようと思っていました。走っていても楽しくないという気持ち的な面が大きかったです。

同郷の沢栁監督との出会い

 

沢栁監督と細田選手

陸上関係者に引退について相談をしていた細田選手。そんな時、彼女に声をかけたのが同じ長野県出身の沢栁厚志監督でした。長年にわたり指導者として陸上界をけん引してきた沢栁監督は、長野東高校時代に細田選手を一目見たときから、ランナーとしての才能を感じていたといいます。細田選手が引退を考えていることを耳にし、「オリンピックを一緒に目指そう」と実業団チームのエディオンに誘ったのです。

細田選手は高校時代から知っていましたし、いつか日本代表になる選手だと直感で思ってました。推進力、重心移動のうまさ、着地のブレのなさ、本当に走りに無駄がない選手です。当時は苦しい時期が続いていたと思いますが、まずは楽しく走ってほしいな、という思いが強かったです。

監督のことはずっと昔から知っていたので、縁を感じました。オリンピックをまた一から一緒に目指そうと話し、自分も頑張ろうと決めました。

体幹トレーニングを徹底

 

沢栁監督は細田選手にけがが多い原因は、練習の疲れがたまるとフォームが乱れ、足によけいな負担がかかるためだと考えました。そこで、安定したフォームを維持するのに欠かせない体幹を鍛えるトレーニングを徹底的に行いました。その結果、けがをすることなく十分な練習ができるようになったのです。

けがなく練習できていたというのが一番大きかったです。体が細くて、十分な筋肉がついていなかったことがけがの原因だと気づいてからは、自分で練習メニューを考えて、体幹トレーニングを重点的にするようになりました。
監督もそうですけど、いろんな方々に受け入れてもらってスタートしたので、絶対結果を出そうという気持ちはありました。

笑顔も戻ってきた

 

チームメイトと食事をする細田選手

厳しい練習の合間に、笑顔も戻ってきました。
同世代のチームメイトと一緒に、年中合宿生活をしている細田選手。
休日にはゲームセンターに行ったり、ショッピングを楽しんだりとリフレッシュすることを大切にしています。同じ長距離ランナーの市田美咲選手からは・・

市田美咲
選手

走りは憧れています!あまり速そうに見えないけど(笑)走りはすごいです!
ふだんは美容の話をよくします。あと「ちいかわ」の話とか(笑)

先輩やめてくださいよ!(笑)これ放送されるんですか!(笑)

念願のMGC出場権を獲得!

 

トレーニングの成果は徐々にあらわれます。
去年3月の名古屋ウィメンズマラソンでは自己新記録(2時間24分26秒)で4位に入賞。
念願のMGC出場権を獲得しました。
さらにロンドン・マラソンでは日本歴代8位のタイム(2時間21分42秒)。
ことし3月の東京マラソンでは日本人2位のタイム(2時間22分8秒)を記録しました。

 

夢の舞台まであと一歩。
いよいよパリオリンピックへの切符をかけた運命のレースに挑みます。

スタートラインに立ったらどんな結果になるか分からない。
どういうレース展開になるか分からない。
自分がここで出るべきだとか判断をしっかりして、2枠に向けて頑張りたいと思います。

取材後記

「スタートラインに立つまで、自分がやるべきことをやることが大事」
インタビュー中、まっすぐな視線で、自分のことばでしゃべる姿が印象的でした。夢のオリンピックへの出場をかけた運命の1発勝負。苦しい時期を乗り越えてきた細田選手だからこそ後悔のないレースができると信じています。みなさんも一緒に応援しましょう!がんばれ!細田選手!

  • 浅野怜央

    長野放送局映像取材

    浅野怜央

    2018年入局。名古屋局をへて2020年から長野局。カメラマンとして幅広く地域のニュースの取材や撮影を行う。

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