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日南の醤油は九州でも特に甘い?真相を探る中で見たのは・・・

  • 2023年07月11日

九州のしょうゆは、なぜ甘いのか?皆さんも、こう問われた経験が1度はあるのではないでしょうか。
今回は「九州の中でも日南市のしょうゆが特に甘いのはなぜ?」という疑問が視聴者から寄せられました。それは本当?なぜ?記者が現地に向かい、真相を知るべく“てげ探”してきました。

なぜ甘いのか?製造元へ取材

早速取材に応じてくれたのは百年以上の歴史をもつ日南市の老舗のしょうゆ蔵です。
伺った日にも創業当時から変わらぬ木桶で仕込み作業が行われていました。しょうゆの原料となるのは蒸した大豆や小麦に、こうじ菌や食塩水をあわせた“もろみ”です。
数か月間熟成させた“もろみ”を布に広げ、均一の厚さにしていきます。これを何段も重ねていくと重みで“もろみ”が絞られます。するとしょうゆの元となる生じょうゆが染み出してくるのです。

ここまでは九州以外のしょうゆ蔵で行われている作業と同じです。この生じょうゆの時点ではまだ甘くありません。

しょうゆを広げた布を重ねて、絞っている様子

しょうゆの甘さは砂糖

では何が日南のしょうゆを甘くしているのか?その正体は、砂糖です。
この製造元では、昔のままのレシピどおり、生じょうゆに砂糖や甘味料をふんだんに加えて販売しています。

なるほど、これは甘そう。そこで視聴者から寄せられた「どうして日南のしょうゆは甘いのか?」という疑問を工場長の山田恵三さんにぶつけてみました。

山田恵三さん

昔から甘いしょうゆを作ってるという話で、なぜ甘いかというのは僕も分かりません。なんでかね?という感じです。

日南しょうゆの大ファンのもとへ

次に向かったのは、日南しょうゆの大ファンがいるという日南市観光協会です。

記者を迎えてくれたのは、「甘いしょうゆ以外はあり得ない」と話す釋迦郡悠子(しゃかごおり・ゆうこ)さんです。日南のしょうゆについて調べていることを伝えると、ある資料を見せてくれました。

地元の商工会議所が14年前に日南市大堂津のしょうゆについてまとめた一冊の本です。大堂津では昔からしょうゆの醸造が盛んで、いくつものしょうゆ蔵があったと言います。5つのメーカーに対するインタビューをまとめた記事のなかに「なぜ日南のしょうゆは甘いと思いますか?」という質問がありました。

日南しょうゆが甘い理由

先ほどの製造元と同じように、明確なことは分からないといった声があった一方で、漁師がしょうゆに砂糖を加えて刺身などを食べていたということが書かれていました。

釋迦郡悠子さん

日南は古くからかつお漁が盛んですが、漁師たちが遠くまで漁に出ているときに、船上で手っ取り早く糖分を補給するため、しょうゆを甘くしたという話が伝わっています。

これで決まりとまではいきませんが、かつお漁の歴史が甘いしょうゆの土台にあったことが見えてきました。さらに日南のしょうゆをメーカーごとに比べてみると、甘みの強さが違うことも分かりました。なかには代々受け継ぐ甘さを、さらに追求している蔵もあるとか。

そこで、釋迦郡さんから「日南で一番甘い」と聞いたしょうゆメーカーに話を伺うことにしました。

甘さの秘密を大公開

訪ねたのは、日南市大堂津にある醤油メーカーの4代目、竹井克己さんです。今回、しょうゆを甘くする工程を取材させていただけることになりました。行われていたのは火入れと呼ばれる作業です。

しょうゆに火を入れて85度まで温めて、まず入れたのは氷糖密(ひょうとうみつ)と呼ばれる液体の砂糖です。

氷糖密を運ぶ竹井さん

サラサラしていてハチミツのようなまろやかな甘みだということですが、これを4杯も入れていきます。しかも、これだけではありません。

続いて竹井さんが持ってきたのはザラメや甘味料を溶かした液体です。甘さの出し方はメーカーごとに異なり、こちらのメーカーでは舌のうえで徐々に広がっていく甘さを追求しているということでした。

竹井さんは「しょうゆは、地域ごとに特徴的な商品が作られています。日南の醸造所も互いに手をつなで高め合うとともに、ライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と語ってくれました。

甘さを極め、地元で根強い支持を集める日南のしょうゆ。この甘さへのこだわりは、これからも続いていきそうです

 

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