小さな赤ちゃんの母子手帳 宮崎も配布 母親の切実な思いとは?
- 2023年04月11日
妊娠23週目で双子を出産した宮崎市の増田杏那さん。産まれた子どもの体重は586gと616gでした。
赤ちゃんの健康手帳に体重などが書けなかった日々。早産などで赤ちゃんを産んだ母親を支える「みやざきリトルベビーハンドブック」誕生のきっかけを取材しました。
完璧ではない健康手帳
双子の増田琉生(るい)と吏玖(りく)くん。手帳の作成を訴えたのは、母親の杏那(あんな)さんです。3年前、予定日より4カ月近く早い、妊娠23週目に帝王切開で出産しました。
産まれたときの体重は長男の琉生くんが586g。次男の吏玖くんが616gでした。くだで繋がれた息子たちの姿を目にするたび自分を責めていました。
産まれてきてくれて、ありがとうという気持ちよりも、申し訳ないことをしたという気持ちがすごい強くて、気分が落ち込むことが多かったです。
出産後4か月で退院できましたが、日々の不安は尽きず、なかでも健康手帳を開くときに気持ちが落ち込んだといいます。
月齢で何ができるようになったかというのを「はい」か「いいえ」で書かないといけないんですけど、1カ月のときは700gしかなくて、もちろん全部「いいえ」と書くしかなくて、書くたびにできることがないと再認識してしまって辛かったです。
体重は1kgから記入する形になってるんですけど、息子は586gと616gだったので、最初の点すら打つことができなくて、認められていないというか、そういう風に感じてしまって、子どもの成長の記録を残していくツールなのに、楽しく書けなくなってしまいました。
小さな赤ちゃんと親のための専用の手帳
そんなときSNSをつうじて、早産の経験がある県外の母親とつながり「リトルベビーハンドブック」の存在を知りました。増田さんは同じ経験をした宮崎の母親たちと交流サークルを立ち上げ、県に作成を要望し、2年を経て「みやざきリトルベビーハンドブック」が完成しました。
体重の成長曲線のグラフは、低体重の子どもに対応するように0gから始まっています。子どもができるようになった、ちょっとした動きや、日常のエピソードも自由に書き込む欄もあります。そして、県内の先輩ママたちからのメッセージも盛り込まれています。
宮崎では4月から配布開始
「みやざきリトルベビーハンドブック」は、4月から周産期母子医療センターを備えた県内7か所の医療機関で配布が始まりました。
周りと比べることなく、その子の成長を見守っていただいて、記入することが楽しい、子どもの成長が嬉しい、楽しく育児ができる。持ってるだけでお守りになるような、そんな風に使っていただければ嬉しいです。
児玉由紀さん(宮崎大学医学部附属病院・総合周産期母子医療センター長)
早産を経験する家族の孤独感や不安感を和らげることにつながり、医療従事者としても家族ともコミュニケーションをとりやすくなるので、この手帳を活用していきたいです。
専用手帳は、各自治体の窓口でも受け取ることができます。