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「夫の子育て時間」1日30分!SNS「日本終わってる」実際は?

  • 2023年03月28日

共働き世帯の「夫の子育て時間」が1日平均30分で日本一になった宮崎県。
ですが、インターネットでは【わずか30分】で1位になってしまう日本の子育て事情に注目があつまりました。
「え、30分で長いの?日本終わってるな」というSNSの投稿を受けて、記者が育児時間のデータを深掘り取材しました。

「夫の子育て時間」宮崎が日本一

「共働き世帯の夫が1日に子育てにあてている時間は宮崎県は30分で、全国1位になった」という国の調査結果を紹介したニュースがこちらです。
https://www.nhk.or.jp/miyazaki/lreport/article/003/97/

夫の子育て時間・宮崎が日本一

宮崎が日本一の理由は「通勤時間が短いこと・遅くまで働く人が少ないこと」でした。
このニュースの速報記事を貼り付けてSNSで発信した投稿は、3500回を超えるリツイート・引用リツイートで注目が集まりました。

日本の子育て事情は「終わってる」の?

その投稿の中身はこちら。

「30分⁉️え、ちょっとまて30分⁉️あご外れる。」(一部抜粋)

この投稿に対して
「え、30分で長いの?日本終わってるな」
「最短じゃなく最長?なにかの間違い?」
「うちの旦那や友だちは余裕で30分以上育児しているけど…」

など様々な反応がありました。

確かに30分だとご飯を食べさせるだけで終わってしまいます。この30分という時間をどう考えたらいいのか「社会生活基本調査」のデータを記者がさらに調べました。

妻の子育て時間は?

まず、夫が30分なら妻はどれぐらいなのかという疑問ですが、これは58分でした。妻の方が2倍近く長いですが、予想していたほどの違いはありません。

そもそも、ここでいう「子育て時間」とは、就学前の場合は、子どもの遊び相手や送り迎え、習い事などへのつきそいなど、身の回りの世話すべてが『育児』に該当するということです。例えば「子どものサッカー教室への付き添い」も入ります。

ただし、就学後の子どもになると多くの物事が『家事』のくくりに入るため、育児だけの時間ではそれほど長くならないということが分かりました。

もっと長い時間育児をしている夫も多いのでは?

SNSのコメントには「もっと長い時間育児をしているパパも多い」という声もありました。

今回の「社会生活基本調査」では「育児時間は0分」という人を除いた、1分以上している人の平均も取っています。このデータでみると1日30分だった共働き世帯の「夫の育児時間」は一気に3時間26分に増えます。

つまり、育児をまったくしていない「0分」の人が相当数いるということになります。
取材を進めると、宮崎県の共働き世帯の夫で育児をしている人は全体の16.4%、育児を全くしていない人は83.6%になることがわかりました。
「しっかり育児に関わる夫」と「まったく関わらない夫」に二極化している姿が見えてきます。

同じ調査で「育児時間は0分」という人を除いた妻の育児時間は3時間16分でしたので、育児をする夫は妻と同じぐらい関わっていることになります。

ジェンダーの専門家は?

1日の育児時間をたった30分と思う方が多いかもしれませんが、それでも宮崎県の夫が育児や家事に関わる時間は前回、5年前の調査よりも大幅に延びています。こうした動きについてジェンダーの専門家は

四方由美 教授(宮崎公立大学)

夫が育児などに参画することは妻側の働きやすさにつながると思いますが、単に働く時間だけではなく組織の中で責任あるポジションを任せられることにつながります。
家庭は社会の基本的な単位の1つなので、家庭で男女共同参画が進むのは政治や教育というほかの分野にも波及していくと思います。宮崎がジェンダー先進県になることを期待しています。

「夫の子育て時間」が日本一の宮崎県、子育てに積極的なパパがどんどん増えていくといいなと思います。

  • 山本華子

    宮崎局・記者

    山本華子

    2021年入局
    宮崎市出身。生理の貧困など女性に関わる問題を取材

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