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「夫の子育て時間」宮崎が全国1位 いったいなぜ?

  • 2023年03月14日

国が5年に1度行っている「社会生活基本調査」で、宮崎県の子どもがいる「共働き世帯」の夫が育児にかける時間は1日平均30分という調査結果がでました。
「たったそれだけ?」と思うかもしれませんが、全国平均は1日20分。宮崎はすべての都道府県の中で最も長くなっています。一体なぜか?その秘密を探りました。

宮崎の子育て時間が長い理由は?

取材をさせていただいた会社員の春田隼平さん。
県平均の6倍、1日およそ3時間を子育てにあてています。勤めているのは宮崎市内のデザイン会社。
忙しく働いていますが、定時の午後6時になると業務を切り上げて会社を出ます。会社から自宅までは車で20分ほど、4歳の娘の虹香(にこ)ちゃんが迎えてくれました。この時点で時間は午後6時45分です。

宮崎が「夫の子育て時間1位」を獲得できた理由はここまでの春田さんの行動にも表れています。

ひとつが住まいと勤め先が離れておらず、通勤時間が短いこと。片道およそ28分と山形県と並んで全国で最も短くなっています。

もうひとつが遅くまで働く人が少ないこと。「仕事を終えて家に帰り着く時間」は午後5時57分で全国4位。トップの愛媛県と3分しか違いません。

この日家に帰った春田さんは、先に帰宅していた妻の遥香さんが作った夕ご飯を3人で食べると、お皿洗いや翌日の弁当の準備をして、子どもとお風呂に入り、午後9時すぎに虹香ちゃんが寝つくまで、一緒に過ごしていました。

春田隼平さん

2人の子どもなのでちゃんと2人で育てるのは当たり前で、家事や育児も半々ぐらいで、お互いが余裕を持ってできるようにと考えています。東京などは通勤時間が1~2時間ぐらいがざらなので、それに比べれば宮崎はいいのかなと思います。

妻の遥香さんは現在はフルタイムの事務職員として働いていますが、将来、独立してカフェを開く夢を持っています。

春田遥香さん

自分でお店を持つために学校に通おうと考えていて『まだ子どもが小さいけどどうかな』と夫に相談したら『全然大丈夫だよ』と言ってくれました。
自分のしたいことをしやすくなっていますね。

勤め先の協力も不可欠

春田さんの勤め先が「残業なしの定時退社」を原則としていることも、子育て時間の確保につながっています。そのためには無理な納期を指定してくる取引先からは受注を受けないようにする徹底ぶりです。

竹原沙織 専務

今のままでは独身の人たちもいずれ家庭を持ったり介護が始まったりして、働けなくなってくるし、そもそも企業の未来としてこのままでいいのかと考えました。
もっと自分も『こういう働き方でいいんだ』や『こういう主張をしてもいいんだ』という空気を作るように努力しています。

そもそも「子育て時間」の定義は?

『育児』といっても色々ありますが、今回の調査では、春田さんの子どものように就学前の場合は、子どもの遊び相手や送り迎え、習い事などへのつきそいなど、身の回りの世話すべてが『育児』に該当するということです。例えば「子どものサッカー教室への付き添い」も入ります。

今回の調査では『育児』に家事や買い物などを加えた『家事関連時間』というくくりでも調べており、宮崎県の共働き世帯の夫の『家事関連時間』は1時間12分で、こちらも全国5位と好成績でした。

宮崎県の夫が育児や家事に関わる時間は前回、5年前の調査よりも大幅に延びています。
こうした動きについてジェンダーの専門家に話を聞きました。

四方由美 教授(宮崎公立大学)
夫が育児などに参画することは妻側の働きやすさにつながると思いますが、単に働く時間だけではなく組織の中で責任あるポジションを任せられることにつながります。
家庭は社会の基本的な単位の1つなので、家庭で男女共同参画が進むのは政治や教育というほかの分野にも波及していくと思います。宮崎がジェンダー先進県になることを期待しています。

  • 山本華子

    宮崎局・記者

    山本華子

    2021年入局
    宮崎市出身。生理の貧困など女性に関わる問題を取材

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