「舞いあがれ」NHK宮崎 航空大の教官に取材！都築ポイント真相

学生たち一人ひとりが育ってきた環境が異なるので、同じように教育しても同じように成長することはまずないです。そのときに宮崎ではこうだったという必要な情報を帯広に渡し、帯広ではこうだったという情報を宮崎に渡し、最後の仙台へ引き継ぐことは必ず必要です。
教育効果を高めるために必要な情報を、必要な教官に引き継ぐことはとても大切なことです。ただ、学生を四六時中監視して、減点項目を引き継ぐというような仕組みはないですね。笑
教官たちはどうすれば学生が成長できるかということ考えていると思いますよ。

舞ちゃんたちの世界でも仲間と協力しながら、“航空学校”の難しい課題をクリアしていくんですけど、現実の「航空大学校」の世界でも同期の学生の絆は本当に強いです。

これまで経験したことがない挫折をどう乗り越えていくか、これは1人ではなかなか超えられない壁です。だからこそ仲間を頼るし、仲間意識が生まれて濃密な2年間を過ごしている。そこは本当にドラマも現実も同じように作られていると思います。

基本的には人間育成だと思っています。パイロットとしての操縦教育をしながら、学生が人間として成長することを心がけています。航空人材ひいては航空会社の基幹要員や幹部を育てるというのが航空大学校の使命に含まれています。
パイロットとしては「エアマンシップ」といいますが、コンプライアンス、モラル、向上心を持つこと、素直さ、謙虚さ。すべてパイロットに必要な要素です。操縦の良し悪しだけではなく、人間として成長できる環境を整えたいと思っています。

成長する学生は、人の話を聞くだけではなく人の話を理解できる人が多いですね。学生ができると思った訓練を実行するのか、教官が提案した方法をやろうとするのかで大きな差が出てきます。
私が指導することに対して否定する学生はいませんが、本質的な部分で自分の思いを引きずったまま操縦かんを握るのか、教官の言っている意図を理解して操縦かんを握るのか。
学力が高い学生の多くは、これまで自分がやってきたことに対しての成功体験があるので、自分の思いをそのままやりたいと思ってしまいがちです。そこで謙虚さなどの「エアマンシップ」が高い学生が求められています。

操縦教官として大切にしていることは2つあって、
1つは「人間を育成」すること、もう1つは「不適格者を排除」すること。
特に不適格者の排除は難しい側面がたくさんあります。人一人の人生を預かっていますから。ドラマで描かれる鬼教官こと大河内教官もそういう側面を、脚本家や制作スタッフの皆さんが大事にしてくれたからこそ生まれた人物だと思っています。