舞いあがれ!五島のばらもん凧 NHK長崎・木花アナ現地リポ
- 2022年10月28日

朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」。さだまさしさんの語りでお話は進んでいきますが、語っている正体が「ばらもん凧」。ばらもん凧ってどんな凧なのか?五島を訪ね、取材してきました。
NHK長崎放送局アナウンサー 木花牧雄
「ばらもん」とは、地元の言葉で元気者などを意味する「ばらか」からきているとも言われています。子供の健やかな成長を願って、男の子の初節句(旧暦の3月3日)に揚げられてきたものです。
それにしても、独特のデザインが際立つばらもん凧。もっと詳しく知りたい!ということで、長崎県の伝統的工芸品に指定されている工房の三代目、野原一洋さんのもとを訪ねました。

工房の中はまさに凧の博物館。五島列島では地域ごとに様々なばらもん凧があります。野原さんの祖父である先々代が資料をもとに復元した、さまざま地域のばらもん凧も見ることができます。


ばらもん凧は、鎧兜の武者が鬼に立ち向かっている姿を表現しています。噛みつく鬼の顔の下にあるのは、兜の首の部分(しころ)です。つまり後ろ姿というわけです。鬼にがっぷり噛まれていてもひるまない強さ。後ろ姿を相手に見せない勇ましさを感じます。
語りを担当している、さださんは、鬼にかみつかれている状態で語っているということなんでしょうか…。
さて、ばらもん凧の一番下の部分は、野原さんの工房では嵐を表す渦を描いています。鬼や嵐に立ち向かう強さが凧いっぱいに表現されているんですね。

そしてばらもん凧といえば、揚がった時の「ぶ~ん」という音も特徴の一つです。

この音は凧の上についている「うなり」によるもの。弓のように曲げた竹にぴんと張ったひもなどが、風を受けてふるえることで空に響いています。厄を払うという意味もあるそうです。ここにも子供の健やかな成長を願う思いが込められているんですね。
そんな野原さんの作業場には、全長2m50㎝の大きなばらもん凧が展示されています。

Q. どんな時にこの凧を見上げているんですか?
A. 製作途中に行き詰まったりしたときに、ゆっくり眺めて気持ちを落ち着かせています。
Q. 今はばらもん凧は贈答用として人気で、飾り物として楽しむが多いそうですね?
A. 凧である以上は揚げても楽しんでほしいですね。祖父も「凧は揚げてなんぼ」と言っていました。お客さんから「今日、凧が揚がりましたよ」と聞くと一番の誉め言葉としてありがたく思います。
五島で昔から親しまれ、五島の空に舞いあがってきた伝統の玩具。私も鬼岳で舞いあげてきました!
