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宮崎にベトナム人が多い理由は?農業人材の確保へ県が連携強化

  • 2022年10月24日

県はベトナムの国立農業大学と人材育成で連携することを発表しました。
宮崎で働くベトナム人は、技能実習生を中心におよそ2400人と外国人全体の半数近くを占め、つながりが深くなっています。
県が初めて結ぶ海外の学校との連携合意。なんでベトナムなの?狙いは?記者が取材しました。

ベトナム人が多い理由は?

冒頭でも紹介しましたが、宮崎で働くベトナム人は2400人と県内の外国人全体の半数近くを占めています。こうした状況は宮崎だけのものではなく、おとなりの鹿児島でも2021年10月末時点で、ベトナム人の数は4815人と外国人労働者の半数以上を占め、最多となっています。

では、なぜベトナム人労働者が増えているのか?ベトナム人の技能実習生を雇っている方にお話しを伺うと「勤勉で家族思いという人柄が多い」という印象で、雇うことに関心を抱く経営者が一定数いるそうです。

また、すでに宮崎や日本に来たベトナム人実習生がいることで、実習先として選ぶ際も安心感があるということです。SNSなどで宮崎にくる前から連絡をとって、情報を得ている場合もあり、現地でも日本語学校があるなど、既にある程度のレールができあがっているといいます。

ベトナムの国立農業大学ってどんなところ?

そうした流れを受け、県が人材育成などでの連携を合意したベトナムの国立農業大学。農業分野を中心に14学部、およそ3万人の学生がいる総合大学です。

今後、ベトナムで農業を学ぶ人材を宮崎に受け入れ、農家でインターンシップを行うなどするということで、ゆくゆくは人手不足が進む県内農業の担い手確保にもつなげる狙いです。

グエン・ティ・ラン学長は「農業分野はお互いに重要な産業で、今回の連携合意で持続的に発展させることを願っています」と話していました。

宮崎県が海外の大学とこうした連携合意を結ぶのは初めてで、河野知事は「将来的には農業以外の幅広い分野で連携を深めていきたい」と話していました。

実はグエン学長は宮大出身

今回、県がベトナムを代表する農業大学と連携することができたのは、グエン学長が以前、宮崎大学に留学していたという縁がありました。

現在48歳のグエン学長は平成14年から平成19年まで宮崎大学農学部の獣医学科に留学していました。犬の感染症の研究に熱心に取り組み、「獣医病理学」の博士号を取得。その後、母国に戻って40代の若さで国立農業大学の学長となりました。

かつての学び舎である宮崎大学を訪問したグエン学長は、鮫島 浩学長と交換留学や共同研究をさらに活発に進めていくことを確認しました。また、みずからが卒業した研究室も訪れ、自分のネームプレートがまだ残っていることを確認したり、後輩にあたる現役の学生と交流したりしました。

グエン学長(ベトナム国立農業大学)
くる前は、久しぶりの宮崎で少し緊張もしていましたが、慣れ親しんだ景色を見ることができて嬉しいです。宮崎大学に留学できたことは今でも誇りに思っています。

こんな交流も

県内に住むベトナム人たちと交流を深めようと今年7月に開催されたサッカー大会。県ベトナム協会のサッカーチームのほか、宮崎日大高校のサッカー部と宮崎青年会議所の同好会のメンバー、あわせておよそ50人が参加しました。

県ベトナム人協会では、地元のアマチュアチームとも試合を行うなどして、互いの交流の場としているということで、試合中は、お互いが倒れた選手に手を差し伸べるなど、フェアプレーの精神が随所に見られました。

大会を企画した宮崎青年会議所・国際交流委員会の倉田猛委員長は「高校生とベトナム人が接する機会を作ることができて良かったです。今後も外国人が住みやすいまちづくりのため、交流を深めていきたい」と話していました。

今回の連携をきっかけに、宮崎で働きたいと思うベトナム人が増えて、それが人手不足が進む農業の担い手確保につながり、さらには、ベトナムの知見も宮崎にもたらしてくれることを期待したいと思います。

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