筑西 国立科学博物館と連携 「YS11」や「ゼロ戦」航空博物館
- 2024年02月15日
国立科学博物館が民間施設と初めて連携し、所蔵する戦後初の国産旅客機「YS11型機」などを展示した航空博物館が茨城県筑西市で、オープンしました。どんな施設なのか取材しました。
(水戸放送局 記者 清水嘉寛)
NHKプラスで見逃し配信 2/21(水) 午後7:00 まで
筑西にオープン!航空博物館
今回、筑西市にオープンしたのは、「科博廣澤航空博物館」です。
筑西市の民間施設「ザ・ヒロサワ・シティ」のテーマパークの中にある1800平方メートル余りの格納庫に、航空機8機が展示されています。
展示している機体の多くは国立科学博物館が所蔵するもので、これまで東京・上野の本館や羽田空港などで保管されてきました。
戦後初の国産旅客機
こちらは、「YS11型機」の量産1号機です。
この機体、日本の航空技術の発展を伝える貴重な歴史資料です。
YS11は昭和40年から平成18年まで、日本の定期路線を運航していた戦後初の国産旅客機です。
敗戦後、航空機を造れなくなった期間を経て、再び立ち上がった日本の技術者が造り上げました。
その量産1号機は、歴史的にも価値が高く、多くのファンがいます。
1998年に現役を引退しましたが、日本の科学技術史を語るうえで欠かすことができないとして、国立科学博物館が引き取り、羽田空港の格納庫で保管してきました。
YS11を筑西市に搬送
その後、YS11は筑西市の博物館で展示されることになり大がかりな搬送が行われました。
いったん解体して搬送し、現地で組み立てる作業を行います。
2020年3月。解体された機体が羽田空港の格納庫を出発。深夜、運ばれました。
そして翌日、筑西市に到着。
組み立て作業も含めて約3か月かけ、大がかりな作業を終え、再び披露される日を心待ちにしていました。
ゼロ戦や「タロ」「ジロ」救出ヘリも
「科博廣澤航空博物館」では、このほか、旧日本軍の戦闘機「ゼロ戦」が展示されています。
組み立ての際、あわせて修復作業も進められ、翼の部分を補強したほか、以前の修復で当時は使われていなかったプラスのねじが使われていたためマイナスのねじに替えるなど、当時の姿により近づけられました。
こちらは、ヘリコプターの「シコルスキーS58型機」です。
飛行機の燃料の問題などから南極に置き去りにしたカラフト犬の「タロ」と「ジロ」を昭和34年に救出するのにも使われました。
国立科学博物館では、保管や展示に向いた広いスペースで多くの人に見てもらえるよう、今回、初めて民間施設と連携してテーマパーク内で展示することにしたということです。
国立科学博物館・研究推進・管理課の関根則幸課長は「私たちの航空遺産をようやく公開できて大変うれしい。YS11に馴染みのある人から子どもまで、幅広い世代に実物の迫力を味わってほしい」と
話していました。