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金利上昇の兆し 「住宅ローン」について専門家に聞いた7つの質問

“マイホーム”を手に入れるとき、多くの人が利用する「住宅ローン」。いま変化の兆しが起きています。

日銀は、長期金利の変動幅の上限を0.5%程度として金利の上昇を抑えてきましたが、この上限を事実上1%まで容認しました。この金融政策の運用の見直しを受け、9月、大手銀行は相次いで住宅ローンの固定金利を引き上げました。

はたしてこの先も固定金利は上昇し続けるのか?変動金利はどうなるのか?金利が上がった場合、住宅価格にどのような影響が及ぶ可能性があるのか?そしてこれから家を買う予定のある人が気をつけるポイントは?取材した3人の専門家に話を聞きました。

(クローズアップ現代 取材班)

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住宅ローン金利の行方を大きく左右するのが、日銀の金融政策です。固定と変動の住宅ローンは、日銀がコントロールする「長期金利」と「短期金利」にそれぞれ影響されます。
(住宅ローン金利比較サイト運営会社 塩澤崇COO)

Q変動金利なぜ低い?

日銀のマイナス金利政策によって短期金利が低く据え置かれており、加えて銀行間の変動金利の競争が激化しています。銀行にとって住宅ローンは、貸し倒れ、延滞が少ない優良な貸し出し先です。さまざまな金融商品の取引につなげられる点でも、住宅ローンの獲得競争は、この10年から20年、激化の一途だったと思います。

特にネット銀行の存在感が、最近大きくなっています。ネット銀行がプライスリーダーとなって、変動金利を引き下げていて、それに対抗するかたちで、メガバンク、地方銀行も下げていっているのが現状だと思います。

今、一番低いところでは、変動金利が0.3%を切っているものもあります(9月15日時点)一昔前ですと、ありえない水準で貸し出す銀行が増えてきています。

Q変動金利が上がると返済額はどうなる?

これから変動金利も上がるんじゃないかと不安の声も最近高まっています。どういう選択をするかが、ユーザーの一番悩ましいところだと思います。

例えば、元本3,500万円で、平均的な変動金利0.4%で35年借りた場合、毎月返済額が8万9,000円で、金利の総額は3,751万円となります。

もし仮にですが、金利が0.3%上がり0.7%になった場合、毎月返済額が9万4,000円、その返済額は3,947万円となります。月々の返済額も5,000円ぐらいアップしますので、0.数%の差であったとしても、それなりの負担の増にはなるかなと思います。

Q変動金利に影響を与える 日銀の政策の行方は?

金融政策の予想ができる人はたぶん誰もいないと思いますが、今後1年というところで言うと、日銀はマイナス金利政策を維持すると思います。賃金上昇を伴う物価上昇、これが実現されるかどうかがマイナス金利解除の大きなきっかけになるはずですが、まだ距離感があるかなと。

そもそもこの金利がマイナスというのは異常な事態と思いますので、いつかはマイナス金利が解除されると思います。ただ、私自身は、日銀が上げるとしてもゼロ金利か、もしくは0.5%程度に収まるんだろうなとも思っています。

(不動産調査会社 井出武 上席主任研究員)

Qマンションは手が届かない?実態は?

平均年収とマンション価格とを比較した年収倍率というのを出していますが、全国47都道府県、ほとんどが高くなっています。“年収の5倍”が買いやすい倍率というふうに言われる中で、いま5倍の新築マンションは全国的にほぼありません。

東京は極めて高い水準になっていて、直近の2021年の資料で14.69倍という倍率になっています。北海道では9倍ですし、青森県では11倍とか、東京だけの問題ではありません。

全国的にマンション価格が高くなっているのに対して、年収が伸びを欠いているというのが非常に大きいとみています。

Q住宅価格 今後どうなる?

金利というのは住宅マーケットにおいて、非常に重要な要素になります。金利が下がっていくと、マンション自体は住宅ローンが組みやすくなるという点があって、価格は上がりやすい状況になる傾向があります。それだけではなくて、投資マネーを引き寄せる結果になり、需要が高まって、マンション価格は高騰する一連の流れができたと思います。

今後は、住宅ローンの変動型の金利が上昇するかどうか、ここが一つの大きな見極めポイントになるのではないかと見ています。つまり、日銀が政策金利を上げるかどうか、この決定にかかっていると言えます。ここが住宅市場に大きな変動をもたらすきっかけになるのではないかというふうに思います。

時間をかけて金利を上げていくようであれば、ソフトランディング的な動きになり、あまり住宅市場に大きな影響を与えないという見方もありますが、金利を急激に上げてしまうと、当然、大きな刺激になる可能性があると思います。

(ファイナンシャル・プランナー 深田晶恵さん)

Qこれからの時代に家を買うポイントは?【返済期間について】

返済期間は「65歳マイナス『ローン開始年齢』」が一つの目安です。 新築マンションの場合は引き渡しが来年・再来年というケースもあるので、 「ローンが始まる年」を65歳から引く。 それがその人にとって最長の返済期間になります。

65歳までのローンであれば、 60歳以降に収入が下がったとしても、5年分だったらなんとか乗り越えられるかもしれません。

Qこれからの時代に家を買うポイントは?【借入額について】

例えば「変動金利」よりは割高ではあるものの「固定金利」の水準で返済額を出してみて、余裕を持って返済できる額かどうかを確認することを勧めます。

返済額を見て「これぐらいならば大丈夫かな」と思えたならば、次に確認するのは、ローンを返しながらも貯蓄ができるかどうかです。その目安が、少なくとも年間60万円から70万円。 不測の事態が起こったときに、50万円ぐらい出費するケースもあるためです。

さらに、65歳までに完済できるかどうかを確認すること。目安として、一般的に収入が減り始める60歳時点のローン残高を出してみることです。この時点で、500万円~600万円の残高が目安です。

将来、定年は延長になっている世の中になるとは思いますが、60歳以降、給料が50代のときのままという世の中かどうかはわからないし、役職定年で収入が下がる可能性もあります。

「これじゃあ返せない」ってなったときは、それは借入額が自分の身の丈に合っていない、身の丈以上の借入額だというシグナルなので、借入額を下げて調整をすることを勧めます。物件価格の再検討をするということは、つらいけれども、やらないと自分にリスクを積み重ね過ぎるということにつながります。

これからの時代、住宅ローンを組むときはリスクを大きく見積もることがより大切になると思います。 家を買う人は、金利が上がることを前提として準備を進めてほしいと思います。

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