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家族と絶縁し、孤独を感じる女性34歳が自分なりの幸せな生き方を見つけようとVR空間に飛び込んでみたら…少しだけ私の人生もなんとかなるかもと希望が持てた/『プロジェクトエイリアン』出演者のその後

現実社会では出会わないような4人が、自分が何者かを伏せたままVR空間上でエイリアンのアバターに身を包んで交流する番組「プロジェクトエイリアン」。

参加者の1人で、家族から虐待を受け、“自ら絶縁の道を選んだ”ぶりあださん(34歳/仮名)。3匹の猫と一緒に暮らす今の生活は他人に気を遣うことのない自由さがあるのですが、頼る家族のいない生き方から強い孤独も感じてきました。VRでの交流を経て、いったい何を感じ取ったのか、取材しました。

(「プロジェクトエイリアン」ディレクター 中村 貴洋)

家族から愛されたくても愛されなかった

『プロジェクトエイリアン』では、VR空間を舞台に、見た目に影響されないアバターでの交流を通じて、ジェンダーや国籍などを理由とした“分断を乗り越える”きっかけとなる場を作ろうとチャレンジしています。家族から虐待を受けていたというぶりあださん。当時の心境を語ってくれました。

ぶりあださん

「うちの家族は男を大事にする家庭でした。弟がいたんですが、“学費は弟に全部つぎ込むからお前につぎ込む金はない、だからお前は中卒でどっか嫁に行って子ども産んで孫を見せろ”って母に言われて。それがいちばんショックでした。シンプルに殴る蹴るの暴力はいつもされていて。ある時プールで泳いでいる私の背中を、母が足でガーッとしばらく沈めてきて。その後、母親はゲラゲラ笑っていました。それでも、私は子どもでしたからね、当たり前に愛してほしいという感情は奥底に眠っていました」

ぶりあださん

「私が優秀だと認めさせれば、親は私を愛してくれるんじゃないかと思って。勉強を頑張ったりして成績が学年トップクラスになったんですけど・・・でも、あまり効果はなかったですね。愛されたくても、愛されなかった。つらかったですね」

その後、大学進学とともに親元を離れましたが、家族とのつながりから抜け出せなかったと語ります。

ぶりあださん

「家族のつながりから抜け出すべく、実家からだいぶ離れた大学に進学しました。1人暮らしを始めて、ようやく息が吸えるような感覚になりました。これで親から逃げられたと思ったんですけど…私が就職したあと家に突然やってきてお金をせびるようになって…数万円をコンスタントに取られていました。断ったら…母親が『誰が育ててやったと思ってるの。家族なんだから当然じゃない!』ってどなられて。“家族”って何なんだろう…と思っちゃって。一方的に言われると息苦しくなるというか、自分には価値がないんだみたいな気持ちになりました。これはもう愛されるの無理だろうなって。そのあと、警察と役所の人に相談して、住所がバレないようにとか、そういう対応はできることは全部やって、絶縁をしました」

家族と絶縁し、今は3匹の猫と暮らしているぶりあださん。
穏やかな日々を過ごしていますが、心の奥では頼れる家族のいない孤独が残り続けていると語ります。

ぶりあださん

「今は猫を家族として迎え入れています。猫が私に寄り添って眠ってくれることにびっくりしたんです。なにもないのに。それが心地いいんです。これが“家族”なんだと思って、涙が出たんですよね。殴らないし、命令もしないし。でも…さみしいです。だって他の人は何かあったら家族に頼れる。でも私はいないんです」

VR空間で“エイリアン”になってみて気づいたこと―

番組では、現実社会では交わり合わない4人が外見や素性を伏せて、エイリアンのアバターに身を包みVR上で一緒に月面旅行をしてもらいました。ぶりあださんには、プロジェクトエイリアンの世界はどのように映ったのでしょうか?

ぶりあださん

「最初はちょっとダメかもしれないって思っていました。私以外はみんな親との関係はいいんだろうな、私の話は共感が得られないかもって。でも受け入れてくれたのかわからないけど、自分のことを話せてよかったなって思いました。みなさんなんとなく画面の向こうの、遠くの人のイメージがあるんですけど、もっと身近で隣で起こっている出来事なんだっていう意識を忘れないようにしていきたいなと思いました」

今回ぶりあださんにとって特に印象に残っているのは、宗教2世の女性・グリーさん(34)の存在でした。

ぶりあださん

「グリーさんの話を聞いていると、グリーさんが両親に望まれるようにふるまっているように思えて、環境は違うけど昔の私を見ているように感じました。でもグリーさんにはグリーさんの両親への思いがあることもあの場で知ることができました。愛の形って、親と子どもでイメージしているものが異なることってあると思うんです。その愛の形が合うかどうか、親子ですり合わせをする必要があるなって、改めて思いました。私自身、その愛の形が私には合わなくて、家族といるときよりも今のほうがずっと穏やかに過ごせていますから私の選択は間違ってなかったなと。それに、グリーさん自身が幸せを見つけるために頑張っていこうという決意を聞いて、私ももう少し頑張れるかなと思いました。私、幸せですって歩いていけるように真っすぐに人と向き合って、一つ一つ出会いを大事にしていきたいなと思いました」

他者との交流のハードルを下げ、さらには距離感を縮めることも可能なVR空間。「VR×社会課題」プロジェクトでは、今後もVRの有効活用法を模索していきたいと思います。

みんなのコメント(1件)

感想
たまき
40代 女性
2023年11月12日
とても良い番組です。動かず見入っていました まず、みなさんが愛について日頃から思っている事が素敵です ぶりあださんの告白に涙が出ました 子供は本能的に親に愛されたいと思っている気持ち。一言でまとめると親って最高に幸せな生き物ですね 私は現在小学生と中学生の子と旦那との4人暮らしですが 改めて親としての幸せを考えさせてもらいました また、ぶりあださんとリラさんのはっきりした考えを、穏やかに話してくれたシーンに感動、考え方に私も同感と、素敵な方たちだなと思いました 私も、出産は親のエゴだと思っています 私もこれは捻くれた意味合いではなく、思っています。私自身はある程度気の合う両親の中で育ってきました 子供は親の支配下じゃないし、親にならせてくれてありがとう。健康でいてくれてありがとう。この気持ちのなか、あと10年前後で大人になる我が子と過ごしていきたいと思いました。