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佐藤優ロングインタビュー スクープの舞台裏、混迷する世界・新時代への思い

作家の佐藤優さん。長らくテレビから遠ざかっていたが、今回NHKのロングインタビューに初めて応じた。

佐藤さんは外交官時代は旧ソ連・ロシアに情報網を張り巡らせ、秘密情報を入手。今も情報を集め、独自の分析を発信し続けている。

“新しい戦前”とも言われる混迷の時代。2024年はどうなるのか。
1時間半に及んだインタビューの全文を公開する。

(聞き手 桑子真帆キャスター)

出演のきっかけ「他とは異なる視点 伝えたい」

めったにテレビで見ることがない作家・佐藤優さん。
なぜ今、この時期にインタビュー取材に応じたのか。その胸の内を聞いた。

“一生分、テレビには出た”

桑子:今回、佐藤優さんにインタビューをすると同僚に何人かに話したら「え?佐藤さんテレビ出るの?」って、結構言われたんです。

佐藤 優さん

それは私はですね、2002年5月14日に東京地方検察庁特別捜査部に逮捕[1]されたでしょう?あの時にすべてのニュースで、昼12時と、夜7時と9時のニュースでは、おそらくNHKでは(ニュース項目の)トップだったと思いますから。

[1] 佐藤さんは2002年、東京地検特捜部に逮捕、起訴され、その後、東京拘置所に512日間勾留された。2009年、背任と偽計業務妨害の罪で懲役2年6か月、執行猶予4年の有罪判決が確定し、失職した。裁判で佐藤さんは「違法行為は一切行っていない」「国策捜査だ」などとして、一貫して無罪を主張した。

そうですね。

佐藤 優さん

ですからその時に一生分、テレビは出たかなと。

いや、そんな(笑)

佐藤 優さん

なかなかあの3つのニュースでトップに出る人っていないと思うんですね。

確かに。

佐藤 優さん

ですから一生分ニュースに出たなと思って、それでテレビは(もういい)と。ただ本当のことを言いますと、作家になる時にですね、テレビの世界で、民放でならした竹村健一さん[2]からアドバイスをもらったんです。


「佐藤さん、テレビに出ないほうがいい。実は私は、テレビと書籍の両方をやろうと思ったんだけど、結局できなかった。テレビという媒体は非常に重要な資質があって、毎回ゼロからスタートする。前回に何を話したか、何を放送したかということにとらわれずに、毎回ゼロから視聴者に向かっていく。これはやはり特別の才能(が必要)で、これは、積み重ねで書いていく作家の仕事とぶつかっちゃうんだ」と。


それからあと、「作家になりたての頃はテレビからいろいろな声が来るんだけども、テレビの消費に耐えられる人というのは、自分が見ている中でも100人に1人、いや、1000人に1人かもしれない」と。


「だから作家としてきちんと立っていくならば、テレビは一見、自分の本が売れるようになるんだけども、瞬間風速になっちゃう」と、こういうふうに言われたのが大きかったんです。


そのあと北方領土問題に関して何回か、これはNHKではなくて民放に出たんですけども、どうしても放送する側の都合が良いところが切り取られる。趣旨と違うところが2回ぐらい続いて出たので「これは私の力では扱えるメディアではないな」と、こういう風に思ったんですね。


ところがですね、2022年に心境の変化が起きたというか、テレビに出ざるを得ない状況があったんです。それは、外務省が2022年12月に外交文書を公開[3]しましてね、その中に私の書いた電報の話があったんですよ。それで、NHKの(政治部の)記者が丁寧にアプローチしてきた。「あなた自身の書いたものですから説明してほしいんだ」と。彼女は、放送の時間は短かったんですけども、1時間ぐらい実質取材をして丁寧に(映像を)撮った。「この人は真実を知りたいんだ」と(思った)。放送が終わった後も「一部しか放送できなかったんですけど、やはり、もっと放送したかったし、いろいろ知れて良かった、今後とも知っていきたい」と。


「あれ?NHKの記者たち、それにアナウンサーたち、真実を知りたいという気持ちがものすごく強い人たちが多いんだな」と。NHKは、今度話があったときにはちょっと別の対応しようと、こう思っていたんですね。ちょうどその時に倉岡さん(社会部記者)から話があって、それじゃあNHKだったら考えてみようと。考えがちょうど変わっている時に当たったんです。


[2] 竹村健一(たけむら・けんいち)(1930-2019)評論家。京都大学を卒業後、新聞記者や民間企業の社員を経て評論活動を始め、ニュース番組のコメンテーターなども務めた。「デリーシャス」などの流行語を生み出したほか、「だいたいやねえ」という語り口で人気を集めた。
[3] 外務省は、作成から30年以上が経過した公文書のうち、歴史上特に意義があり公開しても支障がなく、国民の関心も高いと判断した文書を毎年1回公開している。2022年12月に公開された外交文書には、旧ソ連崩壊のきっかけとなった1991年8月の保守派クーデターの際の記録も含まれている。外務省のホームページから閲覧できる。

慢性腎不全悪化“短いと8年くらいの余命”

佐藤 優さん

あと、もう1つはですね。私は、2022年の1月から慢性腎不全[4]がすごく悪化してしまって、透析[5]導入になったんです。それで医者から「短いと8年ぐらいの余命ということがあり得ますよ」ということを言われました。それで、まず仕事を整理しないといけないと。大学で教えるとか、人に迷惑をかけるような話ですね、これを整理して。あと書くものに関してもライフワークでやりたいと思っていること。たとえば桑子さんは大学ではチェコを専門にされて、それはまさにチェコの15世紀の宗教改革者のヤン・フス[6]についての卒業論文を書かれたと承知していますけども、ヤン・フスの主著の「教会について」というのを全部訳すと。これはまだ出版されてないんですけどね。自分しかできない、やりたいことをやると。


ところが、家内が腎移植を私に勧めてきたんですね。自分の腎臓と血液型も合うから、と。私はやはり自分の生活の不摂生、外交官時代の暴飲暴食が原因でこうなったんだから、あなたの腎臓をもらう筋合いじゃないという話をしたんだけども、医者と別途、話をしていて、医者に強く勧められたのと、「腎臓移植手術がうまくいくと、余命が倍以上になりますよ」と(言われた)。そしてハタと、やりたいことまだあるな、妻とも一緒にいたいなと思って、2023年6月27日に腎臓移植手術をして、これがうまくいった。それが終わってからちょっと心境の変化が出てきたんですよね。


2022年からウクライナ戦争が始まり、政治と宗教の問題でも様々なことがある。それからガザでも紛争が始まって、そしてまた今、自民党の派閥のパーティー券問題でもいろいろなことがあると。こういったことにおいて、私はちょっと、ほかの人と違う視点から見える、こういうことについては世の中に少し伝えていったほうがいいんじゃないかなと。


世の中とちょっと違うことを言うと、それに対していろいろな軋轢あつれきもあるんだけども、自分の思っていることを言って、一緒に国民と共に考えていきたいなと。こんなことを思うようになった時に、ちょうど桑子さんたちのチームの話があったんです。

[4] 腎臓の働きが弱まり、正常時の30%以下に低下した状態。国立循環器病研究センターによると、いったん慢性腎不全になると腎機能は回復不可能になるという。
[5] 体内から人工的に老廃物や余分な水分を取り除く治療。
[6] ヤン・フス(1370ごろ-1415)ベーメン(現チェコ西部)出身の宗教思想家。贖宥状や聖職者の土地所有を批判するなど宗教改革の先駆者として活動したが、異端と認定され、火刑に処された。

桑子:なるほど。とても良いタイミングに応じて頂けてありがとうございます。

だから別の考えだと、生まれる前からこういう形で出ることが決まっていたのかもしれません。何か大きい力が背後にあるのかもしれません。

大きな危機感

でも、やはりそれぐらい危機感を今お持ちだということですね?

佐藤 優さん

持っています。たとえば、けしからんことですよ、派閥のパーティー券がああいうふうに扱われているのは。しかもね、率直に言って額がそんなに大きくないでしょう、一人ひとりにすると。大きな役人の買収とか、そういったことをしているように思えないんですよ。ひたすら、だらしないの。だからきちんと記帳もしてないし、いくらもらったか、それからいくら使ったかわからないと。そういう小さいところでだらしない政治家たちが、大きな政治を出来ると思います?だからすごく危機的だと思うの。


あともう1つ、今の自公体制が倒れちゃった場合。以前の自公政権が倒れた時、野党の受け皿があったでしょう?民主党政権が倒れた時も自公の受け皿があったでしょう?今、野党側に受け皿があると思えない。世界で戦争が起きて、紛争が起きて、緊張が増して、日本の経済だってなかなか大変な時に大混乱が起きるということでいいんだろうかと。


しかも(パーティー券問題のニュースを)「関係筋」という形で新聞もテレビも報じていますよね。実は、村木厚子さん[7]の事件や、小沢一郎さんが無罪になった後というのは、「検察側関係者」もしくは「検察側関係筋」「弁護側関係筋」という形で(メディア側が表現を)分けていたんですね。これが再び「関係筋」になった。あまり良くないと思っているんです。どうしてかと言うと、検察から(捜査情報が)流れているのは間違いないですよね。ところが検察官は公務員です。国家公務員法100条の守秘義務がかかるわけです。すなわち捜査情報というのは守秘義務を漏洩しているわけですよね。それが露見するのを軽減するために「検察筋」とメディアは言わないわけですよ。


パーティー券がおかしな政治家を擁護しているわけじゃないですよ。しかし、民主的な手続きによって政治家は選ばれているわけですよね。検察官や官僚は資格試験で選ばれていて、国民の直接の審判を受けてない。そういう人たちが違法なリークという方法で「風」を作って政治家を摘発していくという、この方法が民主主義になじむのかと非常に思うんですね。これはなかなかテレビでの放映は難しいと思いますけれども、いま新聞には書いています。

[7] 村木厚子(むらき・あつこ)(1950-)厚生労働省元事務次官。雇用均等・児童家庭局長を務めていた2009年、障害者団体のための郵便制度を巡る事件で大阪地検特捜部に逮捕・起訴されたが、無罪判決が確定し、その後復職した。事件を巡っては、押収した証拠品のフロッピーディスクのデータを改ざんした罪で、当時の特捜部の主任検事などが有罪判決を受けた。

佐藤優さんとは 外交官とは

佐藤さんは、対旧ソ連・ロシア外交のエキスパートとして知られる。
外交官とはどんな仕事か。どんな素養が求められるのか。

1997年9月 北海道・根室 中央はブルブリス元ロシア国務長官[8] 、一番右が佐藤さん

[8] ゲンナジー・ブルブリス(1945-2022)ロシアの元国務長官。エリツィンの最側近として知られ、ソ連崩壊のシナリオを描いたとされる。

秘密情報を取る“インテリジェンス”

桑子:報じられ方の1つの単語からも、奥底にある思惑とかそういったものを読んでいらっしゃるんだなって、今もお話を伺っただけでも十分、分かりましたけれど、きょうはまさに世界を今、どういうふうに佐藤さんがご覧になっているのかというのも伺いたいなと思っているんですね。

その前にですね、まず佐藤優さんがどういう人物なのかというところもぜひ迫っていきたいと思っていまして、佐藤さんと言いますと外交官時代にロシア、ソ連のエキスパートとして現地でも日本でも活躍されて、北方領土返還交渉も活躍されました。

佐藤 優さん

しかし結果は出せませんでしたけどね。

でも、本当に尽力された方として世の中には知られているわけですけれども。

佐藤 優さん

ありがとうございます。

ただ、外交官という仕事が実際どういうものなのかって、イメージがなかなか出来なくて。実際どういう仕事をされていたんでしょうか?

佐藤 優さん

世の中のイメージですと、まずフォーク、ナイフを使うのがうまくて、ちょうネクタイをしていて、ワインのうんちくが深い、いろいろなレセプション(歓迎会)に出ていると、こういうイメージですけども、いろいろな外交官がいるわけですね。


表の外交交渉をやる。たとえばNHKのニュースの中に「冒頭撮り」というんですけれども、そこに出てきてお互い席に着くような、こういう表の外交官の仕事もある。また国民の皆さんと接する機会が多い大使館の領事部や総領事館で、パスポートをなくしてしまった時などに対応してくれる。あるいは切符をなくしてしまったんだけど、航空券をなくしたんだけど、どうやって帰ればいいか、という相談に乗ってくれる、こういう外交官の仕事もあるんですね。


ただ私は外交官の中でも情報を取っていく。それは秘密の情報もいろいろとあります。それに暗号をかけて、密かに本国に報告するという仕事と、それから各国の政治家であるとか、官僚とか、あるいはオピニオンリーダーですね、こういう人に会って日本の政策を正しく理解してもらって、日本にとって都合の良い情勢をつくるという、いわゆる「インテリジェンス(特殊情報)」という世界の、裏の仕事が非常に多かったです。ですから本来は表に出てくる人ではないんですよね。ところが(東京地検特捜部の)事件に巻き込まれてしまって表に出て来ざるを得なくなったと、こういう感じです。

「できないことを約束しない」「サードパーティールール」

桑子:とにかくあらゆる世界の人と人脈をつくるのが、まず。

佐藤 優さん

人脈をつくることは非常に重要です。私は今までいろいろな人間関係の中で、人間的な信頼関係を構築するのは非常に慎重なんです。「僕、通信アプリで300人友達いるよ」とか、そういう感じではなくて、本当に深い友達をつくるんですが、その友達を自分のほうから絶対に裏切ることはしないと。それは信条にしていて、今まで守ってきたつもりです。

ただ、外交交渉となってくると、なかなか相手の求めることに応じることもできない?

佐藤 優さん

できません。でもたとえば、その辺は実は岸田総理ってね、そういう交渉がうまいの。今、支持率が低くてね、「岸田さんは危ないんじゃないか」「力がないんじゃないか」と言われるんだけども、外交のプロから見るとあの人はすごい才能がある。


たとえば今まさに言ったような、利害が対立するような関係をどうしていこうかというのは、(岸田総理大臣が)習近平さんと、この前やってきたんですよ。「戦略的互恵関係」すなわち中国の軍事力増強とか、処理水に対して中国が文句をつけてきている科学的な根拠を無視しているようなこと、あるいは日本人が拘束されている、こういうことに関しては中国に言うべきことは言うし、それは、我々は(一緒に)できない。ただ、中国と一緒にできない部分よりも、中国と一緒にできる部分があると。そこではお互いの利益を発展させていく、ということで戦略的互恵関係と言った。実はこの戦略的互恵関係というのを持っていると、利害が対立する人との間でも信頼関係が構築できるんですね。

そこを、佐藤さんも日頃から意識していらっしゃったんですね?

佐藤 優さん

はい。それを意識しながらやっていくと。人との信頼関係を得るというのは実はそんなに難しいことじゃないんですよね。

そうですか?

佐藤 優さん

はい。約束を守ることです、まず。


裏返して言うと、履行できないことを軽々に約束しないことです。これが1つですね。この約束を守るということ、できないことを約束しないというのが1つと、あともう1つはね、「サードパーティールール」というのがあるんです。


たとえば私が、鈴木さんという人からある秘密の話を聞いたと。これは佐藤さんだけですよ、と聞いたと。これを「桑子さんに伝えておいたほうが絶対桑子さんのためにもなると思うし、それから鈴木さんにも迷惑かけない」と思うと、こういう情報がある時に、「桑子さん実はこういう話があるんですよ」と耳打ちしちゃうでしょう。これをしないことなんです。

しては、ダメなんですか?

佐藤 優さん

すなわち、鈴木さんに「この話を桑子さんに伝えたいと思うんですけど、いいですか?」という、事前に了承を得るんですね。それでダメだ、と言われたらその話はしない。あるいは「いいけども、僕、鈴木が言っていた話とはしないでください、ある人から聞いたとしてください」と。これを第三者に伝える時のルールで「サードパーティールール」というんですね。これを守ると人間の信頼関係は構築できるし、ビジネスにおいても外交においても、人脈は広がっていきます。

決して歪むことはない?

佐藤 優さん

歪まないし、あの人は秘密を守るという話になります。

信頼を高めることができる?

佐藤 優さん

そうです。こういうインテリジェンス、秘密情報の世界で培われている不文律みたいなものがあるんですね。それを押さえておくと結構、仕事の世界、ビジネスの世界でも役立ちます。

原点は母校・同志社大学神学部

桑子:そういうふうに、とにかく信頼関係が大事だというところに気づけたのはどうしてなんですか?

佐藤 優さん

これは、むしろ大学時代に教えられましたね。

外交官時代ではなく?

佐藤 優さん

ええ。私が出たのは同志社大学の神学部と大学院神学研究科で、当時は大学入試の模試を受けても偏差値がついてなかったりするんです。要するに判定不能と、ほとんどデータがないと。

どういうことですか?

佐藤 優さん

要するに受験競争の番外地だったんです。

誰でも入れるっていうわけではないですよね?

佐藤 優さん

ではない。試験はあって、一応ある程度の点はとらないといけないのと、それと比べて、得点になっているのかどうか分からない全員の面接があって、それの比重もかなり高い、そういう所で。卒業生の進路を見ると40人募集しているんですが、大学院に8人ぐらい上がって、就職が2人で、あと残りは行方不明みたいな感じで、そういう学部だったんですよ。


ところが先生たちが抜群にできるのと同時に、太平洋戦争中に神学部に入った人だから、キリスト教徒だということで弾圧されるし、徴兵にとられると、(ほかの兵士と比べて)倍ぐらい殴られるわけですよね。そういう覚悟をして入ってきた先生たちなので、ものすごく、生きるということに関して、学問に対して真剣だったんですね。そして、人間的に誠実であれと。特に新島襄(にいじまじょう)[9]という同志社大学を創った人が、良心というのを建学の理念にしたので。そのところが神学部ではすごく生きていて、あの神学部の中でいろいろな経験をしたこと、先生との関係とか、学生運動とかいろいろなことがあったんですが、それが小宇宙で。


そのあと、外交官になったりとか、作家になったりしていること、「あれ?どこかに原型があるな、このことって。あ!神学部の時のあのことだ」と。その時に神学部では本当に一生付き合っていくような友人と、それから一生慕うことができて、人格的な関係が続く先生との関係が出来たと。その時の人間関係のあり方を、外交官になってからも続けたという感じです。

[9] 新島襄(にいじま・じょう)(1843-1890)同志社の創立者。1864年に日本を脱出、アメリカでキリスト教徒となり宣教師などとして活動。帰国後、京都市に現在の同志社大学の前身となる「同志社英学校」を設立した。

てっきり、外交官としていろいろな人と出会う中で勝ち取ってきた価値観なのかなと。

佐藤 優さん

それもあるんですけれども、基本は神学部の時にやっていたことの延長線上の感じがしますね。

“コード”の共有も重要

佐藤 優さん

それからキリスト教というコードを知っていると。ロシアもキリスト教ですから。だから相通じるところがあるわけなんですよ。例えばチェルノブイリの原発事故[10]が起きるでしょ?すごくロシア人も不安に思うし、ヨーロッパ人も不安に思う。これは「ヨハネの黙示録[11]」に、この世が終わる時に大きな星が落ちてきて、川に落ちて水源地が汚染され、多くの人が死ぬという話があるんですね。その星の名はニガヨモギと言うと。チェルノブイリってニガヨモギという意味なんです。


聖書にはポルイニと言って、ロシア語で別の言葉を使っているんですが、ニガヨモギと言うと、みんなそれを思い出すんです。だから不安な感じになるというのが、私はキリスト教のコードを持っているから分かるわけです。


[10] 1986年4月26日、ウクライナの首都・キーウの北北西およそ110kmに位置するチョルノービリ原発で発生した事故。炉心の核燃料が溶けて爆発と火災が発生、大量の放射性物質が放出され、世界の広い範囲に拡散した。この事故で運転員や消防士などおよそ30人が急性放射線症などで死亡した。
[11] 「新約聖書」に記された文書の1つ。

桑子:そういう共通項があればあるほど、幅広い人と一緒に通じ合うことができる?

佐藤 優さん

そうです。逆に、日本の中でもイスラム教徒の人がいますから、イスラム教徒の人がたとえばインドネシアに行くとか、あるいはトルコに行くとか、サウジアラビアに行くとかパレスチナに行くということになると、普通の人よりも、より深いところまで知ることができるということはあると思いますね。

スクープの舞台裏に何が

1991年、モスクワで起きた保守派クーデター。佐藤さんは行方不明となったゴルバチョフ大統領(当時)の生存情報を独自に入手。その情報は日本発で世界を駆け巡った。
歴史的スクープを支えたのは、大切にしていた信念だった。

“顔のない男”

桑子:今回佐藤さんの外交官時代の写真を探すのをとても苦労しまして、元上司の東郷和彦[12] さんが唯一持っていらしたのがこちらなんです。

[12] 東郷和彦(とうごう・かずひこ)(1940-)元外務省局長。東京大学教養学部を卒業後、外務省に入り、ソ連課長、条約局長、欧亜局長などを歴任。2002年に外務省を退職し、現在は静岡県立大学グローバル地域センター客員教授。

右奥が佐藤優さん、右手前が東郷和彦さん
佐藤 優さん

なるほど。

覚えていらっしゃいますか?

佐藤 優さん

これはね。相手が誰か、僕いま思い出せないな。東郷さんは覚えていました?

これは、1994年から1995年頃のモスクワのレストランだと。

佐藤 優さん

モスクワの新興のレストランだと思います。

場所は覚えていらっしゃいますか?

佐藤 優さん

覚えていないです。これは東郷さんの友達と会う時ですね。私の方の友達ではないです。

本当にこれぐらいしか、お写真がなかったと。

佐藤 優さん

実はですね、写真に極力写らないように、いつも気をつけて歩いていたんです。

それは、どうしてなんですか?

佐藤 優さん

情報の業界では「顔のない男」というのが、一番の誉め言葉なんです。例えば、昔の東ドイツのシュタージ[13]の長官だったヴォルフ[14]という人は、長い間、誰も彼の顔写真を入手できなかったんです。ですから顔を知られないことが非常に重要なので、極力写真には入らない、レセプションには出ないと。(自分が)クレムリン[15]の中枢に食い込むようになった1989年ぐらいから極力写真に写らず、写真を残さないようにずっと努力し続けてきたわけなんです。


[13] 旧東ドイツにあった、反体制勢力の監視などに当たる秘密警察。
[14] マルクス・ヴォルフ(1923-2006)シュタージの対外諜報機関、HVA(情報収集管理本部)を30年余りにわたって率いたスパイ。
[15]モスクワのクレムリン宮殿には、旧ソ連時代から政府の重要組織が集まっている。

なぜ、顔を出さないことが良いとされるんですか?

佐藤 優さん

人に極力見られない所において意見交換をして情報を取るという、そういう習性の仕事だからですよね。

やはり、それも水面下で。

佐藤 優さん

そうです。ですから極力見られないようにと、これは非常に重要なんです。だから名前と顔がテレビでさらされるということになると、情報専門家はそれでもう終わりなんです。日本の場合には対外情報を専門にやる組織がないですからね。外務省がその仕事をしないといけないので、だんだんその組織の文化に染まってきたので、写真があまりない人なんです。

“出来ること”と“好きなこと”

桑子:いろいろな方に、今回池上彰[16] さんですとか、東郷和彦さんもそうですけれど、(取り調べに当たった)西村尚芳[17] 元検事にもお伺いすると、とても佐藤さんは「人たらし」だと。

[16] 池上彰(いけがみ・あきら)(1950-)長野県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHKに入局し、報道局社会部記者や報道局記者主幹、「週刊こどもニュース」のお父さん役などを務め、退職。現在はフリージャーナリストとして活動。

[17] 西村尚芳(にしむら・ひさよし)(1960-)金沢大学法文学部を卒業後、1990年に検事に任官。東京地検特捜部検事として佐藤さんの取り調べに当たる。東京地検特捜部副部長、大阪地検特捜部長、高松地検検事正などを務めた後、2020年に退職し、現在は霞ヶ関公証役場で公証人を務める。

佐藤 優さん

いや、そんなことないんですよ。

本当に人への興味をとっても持っていらして。

佐藤 優さん

いや、実はね、私はものすごい人見知りなんです。

そうですか!?

佐藤 優さん

完全にインドア派だから。東京拘置所に捕まった時も、512日間ハッピーだったの。

ハッピー?

佐藤 優さん

ゆっくり本が読めて。

そうですか(笑)。

佐藤 優さん

それから、今新宿に住んでいるんですけどね。その前までは西国分寺に住んでいたんですよ。中央線に乗るでしょう。ある程度本が売れてくると、打率3割5分ぐらいで、ちょっとお酒の入った人に話しかけられて、1時間も北方領土の話とか、北朝鮮情勢の話とかしているとクタクタになってですね。もう仕事する気にならないんで、基本すごく人見知りで、人に話しかけられたりとか、人と会ったりするのは好きじゃないんです。

ただ、人の信頼を得るということに関しては、とても長けていらっしゃるわけですよね?

佐藤 優さん

それは、ある意味仕事だったからという面もあるんですけどね。ただ外交官の仕事は、情報集めの仕事は嫌いでした。


人は、「出来ること」と「好きなこと」が違う。たとえば桑子さんだって、無二の親友のように(私と)ワインを美味しく飲んで、それで「NHKの有力なアナウンサーが今の日本の成長についてどう考えているか」ということを(私が)知ると。私が外国の外交官だったら「こういったことを言っていた、ちょっと踏み込んだ話をした、もしそれが局に知れたりすると非常にマズイ」と、そういうような内容を秘密電報で打っているわけですよね。


そうすると友人になっても友情を装って、実際はそれを利用していると。でもそれは「日本の国家のために必要なんだ」という大義名分があるから出来たので、本当にやりたくない仕事でしたね。しかし、自分がやりたくない仕事の適性がある場合が面倒くさいんです。

そういうパターンだったわけですね?

佐藤 優さん

そういうパターンでした。

歴史的スクープ “ゴルバチョフ生存速報” 舞台裏

1991年のクーデターでは、モスクワ市内に戦車が投入された。

桑子:本当に一番よく知られているのが、1991年8月に旧ソ連でクーデター[18] があった時に、当時のゴルバチョフ大統領[19] が生きているのかどうなのか、誰も分からなかった中でいち早く生存情報を入手されたと。あれは自分が普段どういうことを心がけていたから出来たんだっていうふうに考えていますか?

[18] 1991年8月、当時のゴルバチョフ大統領が進めていた「ペレストロイカ」と呼ばれた改革路線により、混乱が深まるのを恐れた保守派が起こしたクーデター。ゴルバチョフは保守派によって一時軟禁されたが、改革派の巻き返しによってクーデターは3日間で失敗に終わり、この年の末に旧ソ連が崩壊するきっかけとなった。

[19] ミハイル・ゴルバチョフ(1931-2022)旧ソ連最後の指導者。元大統領。「ペレストロイカ」と呼ばれた政治改革や、アメリカとの核軍縮などを進め、当時のアメリカのブッシュ大統領と共に東西冷戦の終結を宣言した。

佐藤 優さん

まず、私は当時まだ3等書記官ですからね、隙間産業をやらないといけないと。

隙間産業?

佐藤 優さん

はい。(当時)ゴルバチョフさんが権力を持っていたでしょ?そうしたら大使館の幹部もマスコミも、ゴルバチョフさん、ゴルバチョフさん。ゴルバチョフさんに近い人というところに行っちゃうわけなの。そこに参入すると、やはりいろいろな形でも競合するし、「お前、こういったことをやるのは20年早いぞ」と(先輩から言われる)、こういう話になってしまうわけですよ。


そうすると、(会うのは)私が見ていて重要だけども日本大使館が接触していない人。2通りあるんです。1つは民主改革派、エリツィン[20]系です。でもここのところは、ちょうどモスクワ大学の同級生で、ものすごい反体制活動家がいて、大学を中退してラトビアで人民戦線を作ったロシア人がいて、彼を経て結局エリツィンの側近たちとの人脈が出来ちゃったわけです。


あともう1つ、日本大使館が全然接触していない保守派。ソ連を維持したいし、西側なんかと仲良くする必要ないし、ペレストロイカは国を誤る可能性があると考えている人たち。この人たちはこの人たちで、大した愛国者なんですよ。こういう人たちとの人脈を作ったんですね。その保守派の人脈が生きたわけなんです。


どうしてかと言うと、ゴルバチョフ派の人たちは情報(が入ってこない)、ゴルバチョフさんが幽閉されているわけだから当然、情報は遮断されていますよね。じゃあ、民主改革派のエリツィンさんたちは情報を知らない。ただ、エリツィンさんたちの人脈も役に立ったんです。エリツィンがいつ逮捕されるかと、あるいは逮捕されているのか、逮捕されていないのかというのは重要な情報だったんです。逮捕されていないということが、これはかなり早く取れたと。これはゴルバチョフの生存情報と同じぐらい、実は重要な情報だったんですけどね。


あともう1つ、ゴルバチョフが生きているか死んでいるかとわかるのは、クーデターをやっている側。ロシア共産党第2書記のイリインという人で、この人がクーデターの時の大統領代行になったヤナーエフ[21]という人の親友なんですね。その友情がすごく深くなる時に、意外な日本人が噛んでいるんですよ。アントニオ猪木さん。ソ連時代、「プロレスはブルジョアジーのショーだ」という形でスポーツと認めなかったんですけども、裏で16ミリ(フィルム)で猪木・アリ戦[22]や、猪木さんの様々な戦いが流れていたんですね。共産党の保守派は格闘技が好きな人が多いんですよ。それで猪木さんがちょうどモスクワにその年の5月に来た時に、イリインさんたちにその話をしたら、ヤナーエフ副大統領と会わせようと。それで猪木さん、ヤナーエフとクレムリンで会って、僕が通訳しているんです。


そういうような感じもあるので、日本の外交官だけれども、保守派のことを、保守派が言っていることを考えて正確に日本に報告するし、猪木さんと会わせてくれた人ということで、絶大な信頼があったんですね。


それでその人(イリイン氏)に、最初クーデターのあった日に電話をしたら、電話にまず出てくれて、これ自体が僕にとって驚きだったんですが、会えるようになったらいつでも会うからと言って、それで翌日連絡があって翌日の昼過ぎに会うと。それで公電には「ゴルバチョフさんは生きているのか?」と書いたんですけど、「殺したの?」と聞いたんです。


当時送られた公電の写し 所蔵:外務省外交史料館


「違う、生きている。しかし重い病気になって、執務不能になった」。「どういう病気?」と(聞いたら)、「ラジクリートだ」と言うんですね。その言葉、僕、分からないの。ところがメモを取るわけにいかないから、頭の中でラジクリート、ラジクリートと繰り返して、(あとで)大使館に行って辞書をひいたら「ぎっくり腰」と出ている。「これは茶番だ」と。


それで、


「ゴルバチョフなき形で、我々はペレストロイカを作る」


「20日に予定されているところの連邦条約ができたら、もうソ連は社会主義国ではなくなる。ペレストロイカの目的は社会主義国のソ連を強化することで、社会主義を破壊することではない」


「ゴルバチョフなしでペレストロイカを続けるんだ」と。


そこで「ゴルバチョフは生きている」と、これは確かだと。もう大使館に報告に行きたくてしょうがないんですよ。ところがね、「ちょっと待っていてくれ」と言って、「またすぐ来るから」と言って抜けちゃうんですね。帰るわけにもいかないし、どうしようかな、と思ったら5~6分経って戻って来て、3枚くらいの紙を見せてくれて。


いろいろな書き込みがあるんです。ロシア共産党中央委員会の声明と。あした、我々の機関誌の「ソビエツカヤ・ロシア」にこの内容が出たら、我々が勝利する。しかし、民主派の策動を許してしまった。この紙が出るかどうか分からない、と。我々としては全力を尽くすけれど、クーデターが失敗するかもしれない、ということまで教えてくれたんです。


[20] ボリス・エリツィン(1931-2007)元ロシア大統領。1991年、旧ソ連で初めて行われた民主的な選挙を通じて、ロシア共和国の大統領に就任。市場経済改革とともに民主化を推進し、欧米との関係を改善させた。
[21] ゲンナジー・ヤナーエフ(1937-2010)旧ソ連末期の副大統領で、保守派クーデターを主導し、みずから大統領代行への就任を宣言した。
[22] 1976年に行われた、アントニオ猪木氏と、当時プロボクシングのヘビー級チャンピオンだったモハメド・アリ氏との異種格闘技戦。互いに決め手を欠いたまま引き分けとなり、一部では「世紀の凡戦」とも言われたが、猪木氏の名前が海外に広く知れ渡るきっかけになった。

“仕事を建前でやるか 本気でやるか”

佐藤 優さん

その人(イリイン氏)とはずっと付き合い続けるんだけど、ある時にだいぶウォッカを飲んだ時に聞いたの。


「資本主義国の外交官である私に言えば、本国に報告するのはわかっているでしょう。何であの時、あんな重要な情報を僕に教えてくれたのですか」と。


そうしたら、彼はこういうことを言っていた。


「人間には2通りのタイプがある。自分の仕事というのを建前でやっている人と、本気でやっている人がいる。あなたは本気でやっている人だと思った」と。


「人間はね、本当の窮地に陥ると本当のことをしゃべりたくなる、誰かに伝えたくなるという欲望があるんだよ。僕の周りを見渡したら、君しかいなかった。だから君に話すことにした」と。


本当のことがどういうふうになっているか、本当にしゃべりたくなる時ってあるんだよね、と。それで笑っていましたね。それでこう言っていた。


「ソ連は崩壊するだろう。そしてその後、しばらくは混乱して、いわゆる民主的な政権ができるんだけども、必ず揺り返しがある。強力な指導者が出てきて、また西側との関係は緊張して。それがロシアなんだ、強い指導者のもとで」と。

桑子:まさに言っている通りに、今、なっているということですね。

佐藤 優さん

そう。だから今になって考えてみると、あのクーデターが成功していたソ連と、今のプーチン政権下のロシアって、あまり変わらないんじゃないかと思う。


そうすると、あのクーデター派というのはマンガみたく見るんじゃなくて、あのクーデター派が何を考えていたのかということを知るということが、実は今このプーチン政権、ウクライナに戦争を仕掛けているこのプーチン政権が何を考えているかということを理解することにもつながると思うんですね。ですから、あの1991年の出来事は決して昔話ではないと僕は考えているんですよ。

そういうことですね。

佐藤 優さん

それもあって2022年、NHKのインタビューに応じたわけです。

なるほど、つながりましたね。

佐藤 優さん

今とつながることだからなんです。

現代を生き抜くための“内在的論理”

佐藤さんの著書や寄稿で頻繁に出てくる「内在的論理」。相手の価値観や善悪、好き嫌いなどの「信念の体系」を知ることで外交、人間関係において深い洞察が出来るという。一体どういうものなのか。

内在的論理を知れば 振る舞いの真相が見える

桑子:今回、「内在的論理」ということもしっかり私たちも理解したいなと思っていて、これがどういうものなのか言葉にしていただいてもいいですか?

佐藤 優さん

たとえば、ちょっとロシアからあえて離します。チェコ、もしくはチェコスロバキアです。チェコスロバキアの初代大統領のマサリク[23]さんという人は、お母さんがチェコ人だけどもお父さんがスロバキア人で、実はチェコとスロバキアってそんなに関係は深くなかったんだけれども、マサリクにとっては死活的に重要だったんですね、一緒の国になるっていうことって。


それでスロバキア人は、アメリカに拠点があるスロバキア人たちと話をして、チェコスロバキアっていう国をつくったと。2代目の大統領になる当時のベネシュ[24]という外務大臣は、外交官として活動して非常に困ったんだと。チェコスロバキアが、新しい国家であるということを説明するのが大変だったと。「『チェコスロバキア』は新しい伝染病の名前か?」と、そういうふうに聞かれて非常に苦労したということを、冗談半分に回想録で書いています。


ただ、あの国はデモクラシー=民主主義を中心として、ドイツの当時の軍国主義と、旧ソビエトの共産主義の間で、西側的な民主主義的な価値観を守る国として誕生した。これがあの国がある、それからそのあと分裂してチェコになった、内在的な論理なんですよね。


ですから、共産主義の時代を経たあとで、現在においてもアメリカとの連携を強化して、民主主義という価値観を非常に重視する中心的な国になり、ロシアに厳しくなっているというのは、別にチェコが変わったからではなくて、チェコスロバキア建国時点のチェコに先祖帰りしたと。それで国民の多くも支持しているのは、それが内在的な論理なんですよね。


ロシアに関しては逆に、西ローマ帝国、このあとからカトリックの国やプロテスタントの国が生まれてくるんですけども、1054年に(教会が東西に)分裂[25]した時の東ローマ帝国にあった東方教会ですね、この伝統をひいているわけなんですよ。ですから、キリスト教的なある意味、東洋なんですね。あるいはキリスト教ではないユーラシアなんです。


ゴルバチョフ大統領から今回のエリツィン大統領の時までが、むしろ例外的な時代で、その前のブレジネフ[26]かスターリン[27]とか(の時代や)、帝政ロシアの時代とプーチンさんというほうがつながっているんです。ですから、良い悪いは別として、プーチンさんの論理というのは、意外とロシア人が支持しちゃっている。だからプーチンの圧政のもとでみんな苦しんでいると見ると、ある意味では独裁者のプーチンを追い出せば、すべてハッピーエンドということになるんですけども、また別のプーチンさんが出てくるだけだと私は思っているんですよ。


[23] トマーシュ・マサリク(1850-1937)旧チェコスロバキアの政治家、哲学者。プラハ大学教授を経て政治家に転じ、当時のオーストリア=ハンガリー帝国からの独立運動を指導。1920年に旧チェコスロバキアの大統領に就任した。
[24] エドヴァルド・ベネシュ(1884-1948)旧チェコスロバキアの独立運動で活躍し、マサリク大統領の下で外務大臣を務め、1935年、第2代大統領に就任。
[25] 東ローマ帝国のレオン3世が発した「聖像禁止令」をきっかけに東西のキリスト教会の対立が深まり、1054年に互いに破門。西のローマ=カトリックと、東の正教に分裂した。
[26] レオニード・ブレジネフ(1906-1982)1964年に共産党第1書記に就任。旧チェコスロバキアの改革に対して軍事介入を行うなど、社会主義陣営に対する締め付けを強化した。
[27] ヨシフ・スターリン(1879-1953)旧ソ連の初代指導者・レーニンの死後、1930年代から独裁的な権力を握る。工業化や農業の集団化を急速に進める一方、「大粛正」と呼ばれた政治弾圧を行ったり、個人崇拝を強めたりした。

“国家は引っ越せない”

桑子:ロシアそのものは変わっていないということですね?

佐藤 優さん

そういうロシア人の論理は変わっていない。しかしね、嫌な人がいると。たとえば、桑子さんがマンションに住んでいて、隣に佐藤優さんという、すごく変な人がいると。それで顔も見たくないぐらい嫌になってきたとすれば、引っ越すという手があるわけですよね。


国家は引っ越せないんですよ。そうすると、そういう国と付き合ってかないといけないと。決してあの人たちがやることを支持しているわけじゃないし、支持できないし、ウクライナ戦争は既存の国際法に反する侵略行為だけども、私はウクライナがロシアを完全に打ち負かして、ウクライナの東部地域やクリミアを回復することは、これは最初の時点から言っているけど不可能だと考えている。そういうロシアとどうやって付き合っていくのかということを、やはり考えなければいけない。

まさに、内在的論理をしっかり理解しないといけない?

佐藤 優さん

そう。それで岸田総理大臣が言っているような、中国とやっている戦略的互恵関係。これをロシアとの間でも立てないといけないと。だから、今から戦争が終わったあとのことをきちんと考えないといけないと思うんですよね。そうすると日本は意外と良い立ち位置にいるんですよ。

“分母”を意識する

2023年3月 ウクライナ・キーウ
佐藤 優さん

たとえば2023年3月、岸田さんがウクライナに行ってゼレンスキー大統領と会いましたよね。あの時NATOの基金を通じて40億円の軍事支援を行っている。ただし殺傷能力のある装備品は送らないという前提ですね。40億円を大きいお金と考えるか、小さいお金と考えるか。これは分母がないと分からないですよね。


私は常に防衛装備品の支出とか、ODAとかの分母として、日本全体の高速道路の平均建設費から、これを分母にしているんです。(平均建設費は)53億円なんです。そうすると40億円のウクライナの軍事支援というのは高速道路800メートル足らずなんです。これを見て大きいと考えるか、小さいと考えるかということなんです。


それからサミットの時に日本は車両100台、これはいったん廃車になった自衛隊の車両ですけどね。それと別に3万食の保存食糧というのを提供したと。この3万食というのをどれぐらいの量と考えるかと。

桑子:分母が何なのか。

佐藤 優さん

ええ、この場合はやはり一個大隊で考えたらいいと思うんですね。大体、一個大隊に1000人ぐらいいるとして、これ国によって違いますけどね。3食、食べたら3000食ですよね。10日分ですよね。一個大隊にして10日分の食糧支援を大きいとみるか小さいとみるか。

うーん、小さい。

佐藤 優さん

そういったことを考えると日本はあまり軍事に関しては大きな支援をしていないんですよ。しかも殺傷能力のある兵器をウクライナに渡していない、G7で唯一の国なんですね。


もちろん、これは「だらしない」と「もっと貢献しろ」という声はあるかもしれないんだけども、この戦争がいつまでも続くことがないという局面になった場合、仲介国の条件があるわけですよ。殺傷能力のある装備品を送っていないこと。だから、G7で唯一、日本はロシアとウクライナの間の平和を作り出していく時に、両方と話ができる仲介国になれるんですね。価値観の上ではウクライナや西側連合に立っても、ロシアとの関係では、日本が提供したお金で死んでいるロシア人、ケガしているロシア人が1人もいないわけですから、これは仲介国としての地位を外交的にとれるわけです。ですから、私はそこのところに元外交官としては非常に魅力を感じているんですね。

それを日本はわかっていますか?

佐藤 優さん

わかっていると思います。それからあと、日本は(LNG=液化天然ガスの)エネルギー量の約8%をサハリンから輸入していますよね。それから居酒屋に行くと結構、かにフェアがやっているじゃないですか。

やっていますね。

佐藤 優さん

アメリカは、ロシアからの海産物を全面的に入れなくしたので、かにがダブついているんですよ。それが日本に来ているんです。それから、2023年の1月から6月までの統計を見ますと、ロシアからの穀物輸入が(前年同期比で)なんと5倍になっているんです。これはおそらく日本の商社が東南アジア諸国に転売しているんですね、穀物輸入が制裁かかってないですから。あと医薬品の輸出が(前年同期比で)8倍になっているんです。日本は医薬品の輸出に規制をかけていませんので、それですからいわば駆け込み需要みたいなものですよね。そういうことを考えると、日本の対ロシア政策というのは、実は価値の体系[28]のところではかなり厳しめなことをロシアに言うんですが、利益の体系と力の体系、ここのところではかなり独自路線なんですね。


[28] 国際政治学者の高坂正堯(こうさかまさたか)(1934-1996)は、国家が「力の体系(軍事)」、「利益の体系(経済)」、「価値の体系(価値観、イデオロギー)」の3つの体系から成り、国家間の関係、国際政治とはこの3つのレベルが絡まり合った複合物だと指摘している。

岸田外交の変化 サインを読むインテリジェンスの目

桑子:可能性をしっかり持ったままということですね。

佐藤 優さん

そういうことなんですよ。ロシアの新聞の「イズベスチヤ」なんかを読むと、「岸田さんはなかなか狡猾なんじゃないか」と。戦略的外交をやっているんじゃないかと。価値観を重視するんだけど、それは西側諸国との関係に限定されていると。ロシアに対しては厳しい人だと。しかし、サウジアラビアやアラブ首長国連邦やカタールに行く時には、価値観とか人権とか言わないと。東南アジアでも言わないと。何を考えているんだろうか?それじゃあエネルギーだ、と。安定的に日本にエネルギーを確保するためだったら、この人は戦略的に何でもする人だぞと、これロシアの新聞に出ているんです。


そしたらね、ハタと思って。2023年9月19日に岸田さんが国連で演説をするんですね。NHKでも日本の新聞でも、人間の尊厳とか、命を大切にするということが強調されるんですが、私は別のところに注目しているんです。「イデオロギーや価値観で国際社会が分断されていては、現下の世界の深刻な問題は解決できない」という趣旨のことを言っているんです。あれ?日本、価値観外交やっているんじゃないかと。イデオロギーや価値観では問題は解決できないと言っているんですよ。あの演説以降、「価値」と岸田さんは言わないんですね。それから、あの演説全文読んでみると、「民主主義」という言葉が1つもないんです。

どういう意図なんでしょう?

佐藤 優さん

おそらく、2つのことを岸田さんは考えています。1つはグローバル・サウス[29]。G20のサミットのところにゼレンスキーさんが行って演説をしたいと言ったら、インドのモディ首相が、「今回はちょっと遠慮してください、ここでは経済の問題を話しますから」と。こういうのを見て、日本がエネルギーや資源を確保するためにはグローバル・サウスとの関係が大切と。そうすると価値観一本で押していくと、日本の国家総合的な戦略、特にエネルギーや資源戦略においてはプラスにならないと。


あと、もう1つは(アメリカで)トランプさんが元気づいていることですよね。トランプさんは、このウクライナの戦争をバイデンさんの戦争だというような考え方をしていますから、「私が(大統領に)なったら止めるんだ」と。そうすると今ここでウクライナに関して踏み込み過ぎると、トランプ政権になった時の軌道修正が大変。だからおそらく、バイデン政権が続く可能性とトランプ政権に変わる可能性の両にらみを始めたので、それを国連という場で、プロたちにはわかるようにシグナルを出したと。


[29] 明確な定義はないが、冷戦時代に「第三世界」と呼ばれていた東南アジアや、アフリカ、中南米などの新興国や途上国を指すのが一般的。

いろんな国の全部がつながって物事が動いていると。

佐藤 優さん

それを新聞に書いたら、ある首相官邸の幹部から電話がかかってきて。「佐藤さん、外務省から説明受けた?」って言うの。「(説明は)受けていない」と、「書いているとおりだよ」って(答えた)。「あまり大きい声で路線転換したと外交の世界で言えないこともあるからね、でも書いてもらうことには、もう佐藤さんは民間人だから、構わないから」と(言われた)。ですから、そういった形で普通の人には気づかない、政府は実は大きな政策転換をしているんだというのは、私には見えることがあるんです。それはちゃんと物証があって、誰もがアクセスできる首相官邸のホームページで、それでその中で首相の演説の中でそれが出ているわけですね。

誰もが高いレベルで深層心理に迫るというのは難しいことだと思うんですけれども、佐藤さんが常に物事の奥の奥を見ていらっしゃるんだなというのは、全てに共通しているなと思ったんですが。

佐藤 優さん

と言うか、なんとなく見えてしまうことがある、というだけの話ですね。

パレスチナ問題、ウクライナ侵攻 どう見るか

2024年1月 ウクライナ・キーウ

桑子:もう1つお伺いしたいんですが、今こうやってイスラエル・パレスチナの、ロシアのウクライナ侵攻もずっと双方の対立が続けば続くほど、そのもとで暮らす人たちの命は失われていくわけですよね。

佐藤 優さん

その通りです。今ここで、イスラエルとパレスチナの紛争と見るか、イスラエルとハマスの紛争と見るかということで、見え方が全然変わってくるんですね。


実は日本政府はね、2023年10月7日にあの事件が起きて、10月11日までと11日以降の日本政府は同じ政府と思えないくらい変わっている。7日から、11日の岡野外務事務次官が表明するまでは、今までのパレスチナ紛争と同じで「イスラエルとパレスチナの間の紛争で、これに関しては双方が自制しなさい」と、こういう立場だったんです。ところが11日にドラスティックに日本政府は立場を変えて「これはハマスの『テロ攻撃』に対するイスラエルの掃討作戦である」と。それで、ハマスというテロ集団を中立化する、敵対活動をなくさせるということを日本政府は理解していると。ただしその作戦遂行に際しては人道に配慮してくれと、基本イスラエル側に立つと。立場を大きく変えたんですね。

そうですね。私が伺いたいのは命がどんどん失われること。ロシアがウクライナに侵攻した時に、その直後から即時停戦を訴えてらっしゃいますよね。それはどういう心理からなんですか?

佐藤 優さん

この即時停戦というのは、ウクライナとこのガザの問題はだいぶ違う。ウクライナを巡る問題というのは、ウクライナ東部に住む、ロシア語を日常的にしゃべって、正教を信じていて、自分たちのアイデンティティはロシア人とウクライナ人が複合しているんだけれど、ロシア人の要素の方が強いという人たちの処遇を巡る問題で、最初は地域紛争だったんですね。しかも「ミンスク合意」[30]というのがあって、一応これは国連にも登録されている条約です。ロシア系の人たちが実効支配している領域においては特別な統治体制を作るように憲法を変えると。軟着陸できる一応な仕組みはあったわけです。ですから着陸の可能性があった。


それからロシア人もウクライナ人を皆殺しにするということは考えていないです。ウクライナ人もロシア人を皆殺しにするということは考えていないです。ですからここにおいてはお互いに折り合いをつけることはできると。停戦というのは、それによってロシアが占領している地域を認めることにはならないわけです。


とにかく銃を置いて人が死ぬことをやめて。それでそのあと、外交交渉で問題を解決していくと。この方向性は可能だと。こういうふうに考えているからなんですね。


[30] 2015年にまとめられた、ウクライナ東部地域の紛争終結への基本合意。▽ウクライナは親ロシア派の支配地域に特別な地位を与える、▽国際監視のもとウクライナ法に基づき選挙を行うなどの内容が盛り込まれた。

沖縄、命、平和とリアリズム

東京出身の父、沖縄・久米島出身の母のもとに生まれた佐藤さん。命の大切さを実感するからこそ、リアリズムの視点から見た外交・防衛を訴えている。

母が生き抜いた沖縄戦

桑子:命がまず大切だ、そう強く思われるようになったのはどうしてなんですか?

佐藤 優さん

私の場合にはこの「かりゆし[31]」を着ているというのが、私のアイデンティティの中で沖縄の人間であるというのが半分、いや半分と言うか8割ぐらいあるんですね、実は。それは、母が沖縄の出身で、14歳の時に非常に例外的なケースなんですが、日本軍の軍属[32]として軍と行動を共にしているんですね。それで映画にもなったハクソー・リッジの戦い、前田高地の戦いで、あそこに地下ごうを作りながらね、ちょうどガザの地下みたいな地下ごうを日本軍が作って抵抗をしている時に、私の母はその中にいた。ガス弾を投げられて、マスクをつけ遅れた人はみんな横で窒息して死んじゃったんです。母はガスマスクをすぐつけたんだけれども、ちょっとガス吸っちゃって、親戚でぜんそくの人はいないんですけども、母は戦後ぜんそくで苦しんで、ステロイド剤が出来るまで、かなりぜんそくで苦しんでいました。


その経験をしてそこで九死に一生を得ると。そして首里の攻防戦に参加して、その時に手りゅう弾を2つ渡されるんですね。いざとなったら自決しろと。不発に備えてもう1つだと。


摩文仁(まぶに) [33]まで行って、ごうの中で潜んでいる。日本軍が組織的な抵抗をやめたあとの、17人でその穴の中に潜んでいたんですよ。ある時、米兵に見つかっちゃって。それで母親が手りゅう弾の安全ピンを抜いて叩きつけようとしたんですね、横のサンゴ礁の壁に。そうしたら、隣にいる「山部隊[34]」という所の髭ぼうぼうの伍長が「死ぬのは捕虜になってからも出来る、ここは捕虜になろう」と、両手を上げてなんとか生き残った。


太平洋戦争末期の沖縄戦では、軍民合わせておよそ20万人の命が失われた。


でも母は死ぬ瞬間まで「自分が手りゅう弾をあそこで爆破させたら、自分だけじゃなくて16人を巻き添えにして殺していた」と、これを非常に言っていたんですよね。それで命は何よりも大切なんだということは、母に子どもの時から沖縄戦の体験を通じて言われた。


だから沖縄の新聞というのは、ウクライナ戦争に関するトーンが違うんですね。要するに「ロシアけしからん」ということなんだけれども、ウクライナのゼレンスキーさんが国民みんなに銃を持たせて、火炎瓶を持たせて抵抗しろと呼びかけていることに対しては、当時の日本軍の徹底抗戦を呼びかけていたあの時の姿と二重写しになる。だから沖縄の新聞は早くから即時停戦を訴えているというのは、そこと二重写しになっているからなんですね。その影響は私の中ではあると思う。それに、この問題は外交的に解決できると思うんです。


[31] 「かりゆしウェア」。沖縄伝統の染織物や文化、自然などをモチーフにした服で、夏の軽装として定着している。
[32] 軍隊に所属している軍人以外の人のこと。
[33] 現在の沖縄県糸満市南東部。沖縄戦で最後の激戦地となった。
[34]旧陸軍第24師団の通称。アメリカ軍との徹底した持久戦を命じられた。

リアリズムの防衛戦略・平和思考を

桑子:そこに希望をもってらっしゃるわけですね。

もう1つ、今後この日本がどうなっていくのか。2024年の新春の新年早々の番組でもあるので、今のこの日本をどういうふうにご覧になっているのかっていうのもお伺いしたい。

社会を包む空気は、台湾有事だとか、防衛費増額とか、そういう声。あとは「新しい戦前[35] 」という言葉も聞かれますけれども、どういうふうに映っていますか?


[35] 2022年末、民放のテレビ番組に出演したタレントのタモリさんが、来年はどんな年になるか問われたのに対し「新しい戦前になるんじゃないでしょうかね」と発言。2023年の「新語・流行語大賞」にノミネートされた。

佐藤 優さん

スローガンを先行させないでリアリズムで見ることが重要だと思うんですね。


ロシアがウクライナを侵攻した、だから中国がきっと台湾を侵攻すると言うんだけども、そこでもうワンクッションおいて考えないといけないと思うんですよね。ロシアは今回こういった侵攻をすることによって国際的に孤立しましたよね。こういうような孤立というのは果たして中国にとって得かどうか。あるいは台湾を攻撃すると。よく軍事専門家は台湾の半導体工場をまず中国は攻撃するんじゃないかと(言う)。私は、それはないと思うんですね。中国自身、半導体が入らなくなっちゃいますから。

自分が困ります。

佐藤 優さん

そう考えるんだったら、平和裏に解決する方が得だと、中国が考えるシナリオは本当にないのか。あるいは、アメリカとのGDP競争で、中国がアメリカのGDPを上回るような状況になれば、台湾の中でも国民党の人たちを中心として中国とのむしろ友好的な関係を構築して協力してきたいと。国共合作みたいな方がいいと。こういうような人たちもいるわけで、単純に台湾有事で防衛力を増強しろという話にはならない。


あともう1つは沖縄の状況ですね。沖縄の場合には歴史的に中国と特別な関係がある。この歴史の記憶は今でも生きています。1879年にいわゆる琉球処分[36]。沖縄の廃藩置県が行われるまでは琉球藩という名前ですが琉球国があったわけですよね。この琉球国というのは1854年には琉米修好条約。1855年には琉仏修好条約。1859年には琉蘭修好条約という、当時の帝国主義列強3国から国際法の主体として認められているわけです。こういう自分たちの記憶がある。


それから廃藩置県の時、「頑固党[37]」と言われるような人たちは中国に渡って、中国の支援を非常に望む、こういうようなこともあった。こういったいろいろな経緯からして、中国と沖縄の関係というのは、沖縄以外の日本とはかなり違うわけです。それで中国と戦うというようなことを前提で防衛力の増強をすると、果たして沖縄が(沖縄以外の日本に)ついてくるだろうか、ということも考えないといけない。非常に重要なところなんですね。


そういったところを抜きにした短絡的な議論が多すぎる感じがします。もちろん防衛力を増強することは極めて重要です。ただ今回のところでも、この装備が必要だと、この装備にはいくらかかると、そういった「箇所付け[38]」がされた上でのお金なのか。それともまずお金だけ決まっちゃって、これからあと「箇所付け」していくかということなのか。率直に言って後者だと思うんですよ。これはあまり良くない。


あともう1つ。もっと僕は自衛隊で今やってほしいことはですね、自衛隊員の官舎が古くて酷すぎる。現在の水準に合わせた形で官舎内に居住しないといけない。居住環境を1960年代から70年代初めぐらいのままにしておくというのは、部屋も狭いし建物も良くない。それから自衛隊員の処遇ですね、様々な。そこも危険な任務に従事するその人たちに合わせることで、もっと処遇を良くしておくと。そういうのにきちんと箇所付けしてほしいんですよね。それで、装備品については何が必要かと、これを冷静に考える。


[36] 1872年、明治政府は琉球国を琉球藩として、当時の清との通交を断つことなどを求めた。しかし琉球が従わなかったことから、1879年、政府の処分官が軍隊と警察を率いて首里城の明け渡しを命じた。これにより琉球国は事実上滅び、沖縄県となった。
[37] 琉球処分に反対した、当時の清を支持する士族集団。
[38] 具体的な事業に予算を割り当てること。

沖縄の内在的論理 エリート・専門家が自覚すべき事

桑子:中国と沖縄の関係性が歴史的に見るととても特別だと、そういったことを現代の人たちはしっかり理解して事を運んでいけるでしょうか?

佐藤 優さん

一般の国民が、いわゆる琉球処分で何があったかを理解するのは難しいと思うんですね。でも例えば大城立裕[39]さんという、沖縄で最初に芥川賞を取った人が「小説 琉球処分」という小説を書いていますから、それを読むと沖縄の人たちの内在的な論理というのは分かるわけなんです。


沖縄の基地問題についても、1952年には、沖縄における米軍専用施設というのは日本全体の10%だったんですね。残り90%は沖縄以外の日本だったわけですね。それが現在はその70%が沖縄にあると。これは日本国内の分母が減ってきて沖縄の基地が減らないからですよね。あるいは普天間の海兵隊にしても、あれは元々沖縄になかったですから。岐阜や山梨にいましたから。そういうことを沖縄の人は知っているんだけれども、沖縄以外の日本の人はなかなか関心が向かないんですよね。


そのギャップが非常に激しくなっている中において、日本の国家統合をきちんと維持することを考える。要するに沖縄が日本から離れていかないということをきちんと考えるならば、この大枠の中で「沖縄は中国に近いから軍事的に協力しろ」というやり方をすると、いま沖縄の人たちは黙っていますけども、あるところで僕は臨界点に達すると思うんです。


私はね、父は東京生まれですから、母の土地である沖縄と、父の土地である日本は1つであってほしいと思うんですよね。そのためには沖縄の状況、沖縄の歴史的な環境、置かれている状況に対する共感というのを持つことが非常に重要です。日本人というのは実は共感力がけっこう強い人たちですからね。


だからもう少しそこのところで、政府の中心にいる、あえて使いますと政治エリートたちが、もう少し幅を持って物事を考えないといけないと思うんですね。中国にしてもそう。中国を敵視してアジア人とアジア人が戦うなんていう、こんな愚かなことは絶対にしないと。ロシア人とウクライナ人、見た目では区別つかないですからね。中国人と日本人が戦っても同じことになりますからね。


そういうことをしないために外交官だった人間は何ができるだろうか。政治家は何ができるだろうかということを考えると。それと同時に、軍事は軍事の専門家たちが最悪の情勢に備えてきちんとした「箇所付け」をして、こういうケースに備えたこれが必要なんだということを、情緒的な議論ではなくて、むしろ閉ざされた扉の中で専門家たちが議論をしていくことが重要だと思うんですよ。国民みんなが国防についての議論を啓発して話さなきゃいけないというのは、私はあまり健全な状態じゃないと思うんです。


これは、外交についてもそうです。要するに非常に専門的な知識が必要とされる領域のところに関して情緒的な議論が先行するようなやり方は、結果として国益、これ二重の国益ですね、国家益と国民益を毀損する可能性があると思うんですよ。


[39] 大城立裕(おおしろ・たつひろ)(1925-2020)作家。アメリカ軍統治下の琉球政府に勤めながら創作活動を始め、当時の沖縄が抱える矛盾や不条理を描いた小説「カクテル・パーティー」で芥川賞を受賞した。その後も沖縄をテーマにした小説や戯曲などを発表。

危うさをはらんでいるということですね。

12式対艦ミサイル
佐藤 優さん

はい。たとえばですね、イージス・アショア[40] は日本、諦めましたよね。イージス・アショアの弾は1回で2発出さなきゃいけない。この弾の値段というのはおそらく特定秘密になっていると思います。ただ、報道ベースによると2発で50億円から100億円の間ぐらいです。間をとって75億円にしておきましょう。北朝鮮のミサイルを1基作るのにいくらくらいかかるでしょうか?大体、1億円と推定されているんです。日本の防衛予算って、イージス・アショア関係の部分はガラス張りになっていますよね。75で割ってあげましょう。そうしたら(日本が持つ迎撃ミサイルの)数が出てきますよね。これが、マキシマム(最大)の弾数です。それよりも10発多く北朝鮮がミサイルを作れば、イージス・アショアは突破できるんです。


実はこういうのは「飽和作戦」といって、イスラエルが「鉄の屋根(=ミサイル防衛システム)」を持っていますけども、2000とも3000とも言われるロケット砲をハマスが撃ってきたら、防衛しきれなかったんですね。それと同じことです。


そうすると、反撃能力という形でスタンドアローンミサイルを考えている。このスタンドアローンミサイルを日本で今後使っていくとなれば、トマホークということになると思うんですけれども、これは日本の企業で作れますしね。1台、1億円ぐらいで作れるはずです。安全保障の論理とは経済のことも含めてだから。

※トマホークを「迎撃ミサイル」としていましたが、誤りでしたので修正しました(2024年2月7日追記)


[40] 弾道ミサイルに対処できる海上のイージス艦と同様の機能を、地上の施設として整備した、地上配備型の迎撃ミサイルのシステム。配備に向け検討が進められてきたが、2020年に断念された。

事実・認識・評価

佐藤 優さん

敵基地攻撃能力[41]なんていうのは、私はこういった言葉が踊ること自体、おかしいと思うんですよ。だって我が国って仮想敵国を持っていないはずですから。仮想敵国がないんだったら、敵という概念がないはずですよね、一応建前としては。仮に「あの国、危ないな」と思っても、それは公のところで言う話じゃなくて、閉ざされた扉の中で仮想するという話ですよね。


それからサイバー空間とか出てきた時に、どこが基地なんですか?そうすると、敵基地なんていう時代錯誤の概念で議論することがおかしいと思うんですよね。そうすると、反撃能力というのはその意味においては21世紀的で現実的ですよね。だから、そういう冷静な議論がもう少し必要だと思うんですよ。


これはたとえば、前の通信傍受法[42]にしても、「通信傍受法」と言う人と「盗聴法」という言葉を使う人で、どっちの言葉を使うかでもう結論が分かっているわけですよね。あと「平和安保法制[43]」という言葉を使う人と「戦争法」という言葉を使う人で、どういう結論か分かっちゃうわけですよね。


[41] 敵の基地を直接攻撃できる能力のこと。政府は法理論上、自衛権の範囲内に含まれるとしながらも政策判断として保有しないとしてきたが、2022年12月、「反撃能力」と名称を変更した上で、保有を盛り込んだ安全保障関連の3つの文書を決定した。
[42] 薬物犯罪や組織的な殺人などの捜査で、ほかの手段では事件の解明が難しい場合に限り、捜査当局に電話やインターネットなどの傍受を認める法律。2000年施行。
[43] 安全保障関連法。集団的自衛権の行使を可能にすることなどが盛り込まれた。2015年成立。

桑子:なるほど。ことば1つとってみても。

佐藤 優さん

だから私は、平和安保法制、あるいは一部の人が言う戦争法についてですが、必ず両方の言葉を言いながら、1回冷静になって。「事実」、こういう事実があります。その次に「認識」。この人たちはこのことについてはこう認識していますと。そしてその後「評価」。これを分けて考えていくという、これが実は外交とか政治においてはすごく重要なアプローチだと思うんです。

2024年 どう生きるか

終わる見通しが立たない紛争・戦争。主要国では大統領選挙が相次ぐ。国内でも政治不信が募る中、迎えた2024年。私たちはどの道に進めばいいのか。

混とんの幕開け

桑子:2024年、世界はどこへ向かうというふうに見ていらっしゃいますか?

佐藤 優さん

世界はですね、混とんとしていきます。ですから、どこに向かうということが分からない1年になると思います。こういうことになるので、すごくみんな不安になってくる。たとえばアメリカでも、(2024年11月の大統領選挙で)トランプさんが勝つかバイデンさんが勝つかで、アメリカがどこに向かってくかということが大きく変わってくるわけですね。


それから日本でもですよ。この(自民党の)各派閥のパーティーにおける裏金問題。これは深刻さをますます増してきて、いま言われている派閥だけにとどまらないということになると、自民党全体を揺るがす状況になってきて、もし総選挙ということになれば、これは政権交代の可能性さえ出てきますよね。しかも政権交代の受け皿が明白に見えないところで、日本の針路がどうなるかということについて今、明確に予測できる人って誰もいないと思うんですよ。

日本も混とんに?

佐藤 優さん

はい。それからあと、生成AIの成長のスピードが非常に加速しています。ある臨界点を超えて非常に進んでいる中において、生成AIとどう付き合っていくのか。あるいは我々の知識というのはこれからどういうものが必要とされるのか。


あと逆に加速ということならば、これは首都圏を中心に、あと京阪神も一部ありますけど、中学受験が非常に加速化しています。難関中学に合格するためには高校2年生ぐらいまでの知識を詰め込むことが最低条件になっていて、中堅中学に合格するためにも中学3年生ぐらいまでの知識が不可欠になっています。そうすると、中学受験も経験した人とそうでない人の間では、入っている情報量にかなりの違いがあるんですね。私は同志社大学で教えていますけども、顕著に感じます。こういうことになると、どこに今日本が向かってくのかすごく混とんとしている状態なんですよ。

ほんの少しの勇気を

桑子:とてもいろいろなレベルが違い過ぎる人たちが一堂に会して。私たちは何を大事にしながら生きていったらいいんでしょうか?

佐藤 優さん

私はね、ちょっと古い考え方だと思われるかもしれないけども、ロシアやドイツでは「魚は頭から腐る」と言うんですよね。要するに社会の指導的な部分、ここのところを強化していかないといけないです。ですから今の政治腐敗というのは非常に深刻な問題なんですよね。ですからきちんと教養をつけるとともに、健全な意味での愛国心ですよね。これはね、健全な意味での愛社精神にもつながると思うの。

会社の愛社精神。

佐藤 優さん

要するに自分個人の利益のためじゃなくて、この会社が、社会においてきちんとした役割を果たせるようにすると。この国というのが、国民のためにきちんとした役割を果たせる。そのために自分は何ができるんだろうかと。それで、少しリスクを冒しつつでも、自分たちが変わっていって、他者のためになんらかの具体的な努力をする。こういうことの集積だと思うんですよね。


今ものすごく生活も不安になっているし、物価も上がっているし、自分の身を守ることで精いっぱいと、そう思っているなら、本当はちょっとリスクを冒せばもう少し別のことが他者のためにできると思う。こういうところをやっていくことじゃないかなと。


あともう1つは政治の信頼を回復するとともに、官僚たち、あるいは学者たちは、その分野において他の世界の専門家たちと(比べて)絶対に負けないという、客観的に見てそれが分かるレベルに力をつけてほしいです。井の中の蛙であってはいけないと思います。それですから、これは叩かれるんじゃないかとか、あるいは、お前腰抜けじゃないかと言ってなじられるんじゃないかということを、おびえるんじゃなくて、冷静に見てこう考えた方が日本のためになる、こう考えた方が国民のためになるということについて、みんなほんの少しだけ勇気を持って言っていかないといけないんじゃないかなと思うんですね。

「平和のための」装備海外移転も

桑子:日本が「ハリネズミ」というような例えもされていましたけれども、今の日本がどういう状況で、今後どういうふうにあるべきだと考えてらっしゃいますか?

佐藤 優さん

時代がまず、多極化というと良い言い方だけれども、帝国主義的な勢力均衡(と言える)。自分の国益を実現するためには武力による威嚇も恐れないという国が増えてきている、というのも事実です。その中において日本の防衛力の整備ということだけじゃなくて、私は防衛装備の海外への移転というものは、もう少し積極的に進めないといけないと思うんです。


ただしそれは戦争のための装備の移転ではないです。ですからウクライナに装備を移転するようなことというのは、これは日本が直接関係のない事柄に巻き込まれるんで私は反対です。しかし東南アジア諸国に関しては、アメリカが価値観民主主義を強調するがあまりに、私はどうもちょっとアメリカとの防衛協力というのが不十分になっている面がある(と思う)。そこに中国がたくさん今、兵器を売っているんですね。兵器というのは、1回売るということだけではなくて、メンテナンスも入ってくるんです。そうすると今、東南アジア(の兵器は)は中国仕様になりつつある。


「日本の防衛産業は日本国内でしか使われないから割高だ」ということも言われるんだけれども、それよりも国家戦略的に抑止力を担保するため、私は東南アジアに日本の防衛装備品が出て行って日本仕様になっていくということが、日本の経済にとってもプラスだし、安全保障のハード・ソフトの両面において、アジア太平洋地域で強化する上で非常にプラスになると思う。


こういう発想を持っていると言うと「あれ?佐藤は思ったよりタカ派だな」と、こういうような反応があると思うんですけれど、私は、これはリアリズムから来ていると思うんですよ。と同時に、外交を通じて日本が戦争を起こさないのはもとより、戦争に巻き込まれない。これは必ず外交によって方法があるんです。譲歩をすれば、それはどこかで均衡点は見つかるんです。


そういうことをやっていくことで、外交の比重と、あともう1つは安全保障、それからプラス経済ですね。それから日本の安全保障の根幹はエネルギーです。エネルギーを安定的に確保できること。あと人口減少。みんな少子高齢化を心配するんですが、実は中国・韓国と比較した場合、日本は少子高齢化のテンポが遅いということで、東アジアの優等生なんですね。これは裏返して言うと、たとえば日本のファストフード店に行っても英語使わないでいいでしょう。ということは、グローバリゼーションに乗り遅れているという点でもあると思うんです。ただ、これはある種の文化拘束性なんですね。こういうことを考えると、そんなに悲観するような人口動態でも実は東アジアの中ではないと思うんですよ。

国力生かし 平和へのプレーヤーへ

2023年7月 リトアニア・ビリニュス
佐藤 優さん

それと同時に、今人口が非常に増えているのはインドネシアです。


2050年には5億人になってもおかしくないですし、2100年では10億人になってもおかしくない。インドネシアには2023年まで、液化天然ガスの輸出をするプラントがあったんですね。そのプラントがいま輸入になっているんです。エネルギーの消費も増えているんです。そうするとインドネシアとの関係を非常に強化するということが、21世紀の日本を考えた場合、きわめて重要なんです。ところが外務省でも総合職でインドネシア語が(出来る職員が)入っていないから、インドネシア語のキャリア外交官はいないんです。そうすると、インドネシア語のキャリア外交官を作って、若い頃からインドネシアで勉強させて人脈を作っておくとか、こういうソフト面が重要なんですね。


アジア太平洋地域において日本というのは、日本の議論だと中国が攻めてきたらどうなるか、北朝鮮にやられたらどうなるかと、「ハリネズミ」になってしまうんだけれども、実は日本は国力がすごくあって、仕掛けていくことができるプレーヤーであると。その時に日本は防衛においても抑止力を強化するという、平和に向けた防衛協力、また外交においても平和的なイニシアチブっていうのを発揮することができると思うんですよ。


たとえば、かつて6か国、6者協議[44]というのがありましたよね。あの6者協議というのを、ロシア・ウクライナ戦争が終わるようなタイミングで呼びかけてみて、プーチンさんと、習近平さん、韓国のユンさん、それから金正恩さん、あとバイデン大統領になっているかトランプ大統領になっているか分からないけれども、その人たちに東京に来てもらったらどうですか。それで、アジア太平洋地域においては戦争を絶対に起こさない枠組みをつくろうと。そういったことを日本が主張していったらどうでしょうか。


あるいは、岸田さんには僕、ぜひイスラエルへ行ってほしいと思う。そしてハマスに対するテロとの戦いについては、日本は理解すると。それと同時に何ともリンケージさせないで自分の政治信念を述べさせてくれと。私は世界で初めて核が使われた国の広島の出身です。私は世界の戦争で最後に核兵器が使われた町が長崎だということ、これを変えてはいけないと強い信念を持っていますと。この価値観を私は強く訴えたいと。


イスラエルは核保有に関しては曖昧戦略をとっていますけれども、イスラエルも核使用のリスクがあり得るわけなんです。特に今後のレバノンからの攻撃、ヒズボラ[45]からの攻撃が激しくなったら。またイランが核開発をしている。ここに対するけん制では、核廃絶という方向に向けて、岸田さんならではの発信が出来るはずなんですよね。こういうことは積極的にやって、もっと国際秩序を作っていく主体であると。積極的、能動的な働きかけを、今でもできることがたくさんあるんだったら、やったらいいと思うんですよ。


その1つとしてこの前、習近平さんと会った(時の)戦略的互恵関係というのは、やはり非常に良かったと私は思っています。それから国連演説でも人間の尊厳ということを、価値観・イデオロギーでは世の中の問題を解決できないということを言ったというのも、良かったと思うんですよね。ただ何であの方、国内で自分がそういったようなことをやっているということを、自分の言葉できちんと説明しないんでしょうね。説明すれば国民も理解すると思いますよ。


[44] 北朝鮮に核開発計画を放棄させるため、北朝鮮、日本、アメリカ、中国、韓国、ロシアがメンバーとなり、中国を議長国にスタートした。2005年には北朝鮮がすべての核兵器と核計画の放棄を受け入れることなどを明記した共同声明が採択されたが、北朝鮮はその後も核開発を続け、2008年を最後に中断されたままになっている。
[45] 1982年、レバノンを攻撃したイスラエルに抵抗する民兵組織として発足した、イスラム教シーア派の組織。イランを後ろ盾とし、国内では政党としても活動し国政に強い影響力を持つ。

貧困化する社会と若い世代へ

佐藤さんは母校・同志社大学の学生を相手に、フランスのエリート養成校で使われる教科書を用いて、ゼミ形式の授業を行っている。貧困化が進み、閉塞感が強まる社会に生きる若者たちに何を伝えようとしているのか。

2023年12月 京都 同志社大学「新島塾」での佐藤さんと学生たち

教養は役に立つ

桑子:日本しか持っていない役割っていうのが、きっとあるはずなんですね。

佐藤 優さん

我々の等身大の力というのを、もっと認識すること。それから教育においても文科系と理科系を分けちゃっている。高校までの教養というのは、世の中に出てから実はすごく役に立つわけですからね。だから、こういうようなところを改めて、やはり数学はきちんと数Ⅲまでみんなやる。


実は理系の人の方が社会科、政治経済や倫理は強いんですよ。それは、大学入試センターが作っている入試問題で覚える量が少ないので、倫理、政経をとるからということで、政治や哲学のことは理科系の子の方が知っているんですよ。むしろ理科系の人たちが弱いのは英語。中学と高校で比べると、英語と数学は高校で極度に難しくなってしまうので、両方ともマスターすることができるのは相当早回しで勉強しているか、元々記憶力と情報処理能力がすごく高い子じゃないと無理だから、どちらかがおろそかになっちゃうんです。


こういうようなところを変えて、高校レベルまでの学力がみんな身につくようにするだけで、日本の大学、それからその先のイノベーションも見違えるように変わってくると思いますよ。

自信を持ち 柔らかくあれ

桑子:今、講義でも若い人たちとふれ合っていて、今の日本の若者はどういうふうに映っていますか?

佐藤 優さん

そこは、非常に期待が持てると思います。ただし、どういう大人とふれたかによって。試験というのは焼き入れみたいな感じがするんですね、金属の。松岡敬さんという、前の同志社の学長とその話について雑談したら、「俺は金属(が専門)だから、そこがよく分かる。焼きを入れるとものすごく切れは良くなるんだけども、折れやすくなる」と。


もろくなっちゃうと。そういうのを与えていつも競争させていると。そうすると会社の中に入っても同期が1歩先になって、デスクになっちゃうとか、あるいは同期が部長になると急にやる気をなくすとか、世の中を斜めに見るようになると。こういうような感じになると良くないんだけども、若い子はなりやすいですよね。

もっとこう柔らかくあれ、ということですか?

佐藤 優さん

もっと柔らかくあるし、上手な住み分けを覚えろと。自分に自信を持てと。みんな力があるんだよと。こういうメッセージをきちんと出しつつ、大人の存在は重要になってきますよね。

大人はそれを見られているんだ、という自覚を持たないといけないですね。

貧困だからこそ“贈与の連鎖”を

佐藤 優さん

私は今63歳ですけどね、社会に出たのは25歳の時ですから。25歳からから63歳まで、そんなに手を抜いて生きてきたと思っていないんですね。ところが、透析中にあるトレンディードラマを見ていたんです。ちょうどそのトレンディードラマがはやっている時に私は外国にいたんです。1991年にすごくはやったトレンディードラマで、そのリメイク版が2020年ごろに出来ているんですね。30年経って、貧しくなっているんです、ドラマの中の風景が。医大生が1991年はスポーツカーに乗っているんだけれども、2020年になったらセダン車と。それから、みんなふだん少なくともカフェバーとか高級レストランとかで飲み食いしていたのが、家飲みとか。住んでいるところがワンルームマンションだったのが、質素なアパートであるとか。それを見た時にハッとしたんですよね。30年経って、貧しくなっていると。我々はこれに責任があるなと。気づかなかったと。


そこでハタと思ったのが「教育」だと。我々がやってきたことの良かった面も、失敗したと思う面も、次の世代、若い世代に正直に伝えていくと。


そして私は上の世代から結構助けてもらった。神学書も結構くれて。いま返そうと思ってもその先生たちは天国に行っちゃったからいないと。ただその先生たちも先輩から恩恵を受けていたので、縦の「贈与の連鎖」みたいなの作れないかなと。そういう大人と学生時代に出会っていると、社会に出てからも大人に対する見方が変わってくると。

桑子:下の世代に対する見方も変わってくるんですね。

佐藤 優さん

ですから、そこのところでもう1回、人間と人間の関係を、信頼関係を強化してくということを、大きな理屈を立てていくということよりも、自分の手の触れる範囲でどうやって、やっていけるのかなと。


「親ガチャ[46]」にしても親の元に偶然生まれたっていうことだから、それは自分の実力じゃないですよね。じゃあその実力というのは、どういう親から生まれたかというのは、さらに遡っていくと、神様がそういうふうに決めたわけだから。そうすると、それは神様からもらったものだから、神様に返さないといけないわけですよね。神様にダイレクトに返せないから、周りの人に返すんですよ。


ですから、自分が恵まれた環境にあると思った人に関しては、それは自分の力じゃないんだから、それは社会に返さないといけないと。また自分がちょっと大変な状況だということだったら、遠慮なく助けてくれと言っていいと思うんです。



[46] ゲームのアイテムやカプセル入りおもちゃを抽選で入手するシステムと、子どもが親を選べないことを掛け合わせた造語。2021年の「新語・流行語大賞」のトップテンに選ばれた。

その関係性って素敵ですね。

佐藤 優さん

そういうことが率直に言えると、環境の良いところにある人というのは、それは自分の力じゃないから社会に還元しないといけないと。厳しいところにいる人は頑張りすぎない、助けてくれと。そういうふうに言うと、助けてくれる人必ず出てくる。こういうふうに私は思っているんですよ。

それが上手く連鎖すればとても良い社会になると思います。

佐藤 優さん

そのためには、視聴者のみなさんの中で、自分の周囲で出来る可能性があったら、無理をしてはいけないんだけれども、ちょっとだけ勇気を持って少しやってみると。結局この集積じゃないかなと僕は思っているんですね。

平和の道へ

混とんの幕開けとなった2024年。
平和の実現のために何ができるのか。日本はどう進むべきか。必要なものとは。最後に聞いた。

人は常に集団を作り 排除の論理を働かせる

桑子:世界を見渡すと、争いごとが各地で起き、混とんとしていて、そうした中で私たちが人と信頼関係を築くことの大切さ。やはりそこには内在的論理ということもあると思うんですけど、その大切さがなぜ今、大事なのかということを聞かせていただけますか?

佐藤 優さん

今それをやっていかないと、我々は殺し合いの道に入っていっちゃうからなんですよ。


ウンベルト・エーコ[47] という小説家で哲学者、イタリアの人なんですね。この人が「永遠のファシズム」という本を書いているんです。なんでファシズムみたいな、あんな乱暴な体制が生まれてくるのかと。エーコさんによると、人間が群れをつくる動物だからと。群れを作って「あいつらはトカゲを食べる、だからあいつらはとんでもないやつらだ」と。「あいつらはニンニクを食べる、だからあいつらとんでもないやつらだ」と。放っておくとそういうふうにして、人を排除して自分たちのグループのほうが優越だと思っている、こういう特性があると。それだから常に「ファシズムはいけないものなんだ」「そういうことをしてはいけないんだ」と、こういう教育を続けていかないと、人間はそれをやっちゃう。


自分たちと違う集団、自分たちから見ると異常なこと、残虐なことをしているように見える人たちがどういう理屈をもっているのか、それをきちんと理解すると。自分では自分の姿が見えないので、自分の中の内在的論理って意外と見えないんですよね。


[47] ウンベルト・エーコ(1932-2016)イタリアの哲学者、小説家。14世紀のイタリアの修道院で起きた連続殺人事件を描いた小説「薔薇の名前」が世界的なベストセラーに。このほか数多くの哲学書や小説を発表した。

難しいですね。

佐藤 優さん

でもそれが、理解していくということなんですね。同志社大学の神学部を中退して、戦前の大正時代から昭和の初めに活躍した高畠素之(たかばたけもとゆき) という人がいるんですね。現在、完全に忘れ去られています。マルクスの資本論を(日本で)初めて訳した人なんです。ところがね、マルクスの資本論を訳していたら、マルクスの資本論というのは人間観があまりに甘い、マルクスは進化論を知らないからだと(考え)、国家社会主義者ファシズムのような考えを主張した。若くして死んじゃったから、それが実現しないで良かったんですけどね。もし5・15事件、2・26事件に高畠が関与していたら、すごく大変なことになったと思うんです。


そういう人がいるんですが、この人が同じようなことを言っているんですよ。人間には優勝欲、要するにマウントしてくという欲望がある。人は、こういうような形での競争に入っていって、人と人がばらばらになって、自分の方が相手より偉いんだと、勝っているんだと、こういうふうになってしまうことがあると。だから彼は、社会を強化しないといけない、一種の社会主義が必要なんだ、ということを言っているわけなんです。人間が群れをつくる動物だと。群れが固まっちゃうと、ほかの群れを排除していくというのは、群れつくる動物である以上、どうしても出てくると。

“殺し合いの道”避けるため 日本がイニシアチブを

佐藤 優さん

それを続けていくと殺し合いになっちゃうんだと。それを避けるために、我々は恐らく知恵というのをもらっていると思うんですよね。自然にやると大変な悪を引き起こすのが人間なんだと。それをストップさせることが重要だと思うんです。


キリスト教の場合には、全ての人に罪があると考えるんですね。罪が形になると悪になる。悪が体現すると悪魔になるんです。ですから、バイデンさんから見るとプーチンさんは悪魔なんです。プーチンさんから見るとゼレンスキーさんとバイデンさんは悪魔なんです。本当の悪魔のように見えるわけなんです。そういう価値観を持っている人たちの論理を進めてくと、世界は破滅しちゃうんですよ。そうすると我々が、その人たちがそういう考えを持つのはいいんだけれども、それじゃあ世の中が破滅しちゃうから、みんな上手に住み分けていきましょうと。こういったことを言ってかないといけないと思うんですよね。


ヨーロッパの列強がアジア諸国を植民地化した中で、日本とタイは植民地にならなかった数少ない国ですよね。でも日本は、この植民地支配を打倒しようと思って、それで逆に、基礎体力をつけるためには植民地を持たないといけないという形で、アジア諸国に侵略してしまった。ある意味では善意でやった帝国主義だから歩留まりがなかったんですね。アメリカやフランスは悪事を働いていると思っていましたから、適宜、歩留まりがあったわけですよね。


そういうことを考えて、戦後の日本というのは「小さく縮こまっていれば大丈夫だ」ということになったんだけれども、今アメリカの力も弱っていて、ヨーロッパの力も弱っていて、グローバル・サウスの力が強くなって、ロシアも中国も自己主張を強めている。しかも軍事力を背景に自分の主張を展開してもいいという動きが世界的に広まっている中において、日本がかつて、自分たちがそういう道で破滅したということを踏まえた上で、平和のイニシアチブをとる中心的な国になると。


ただそれは観念的な平和論じゃなくて、日本の防衛力をきちんと整備して、それから防衛装備品は日本仕様で使えるような領域というのを拡大していくと。ただそれは戦争を起こさないための抑止としての装備品ですよね。そんなようなことを総合的に考えていく。そうすると、従来型の左とか、右とか、リベラルとか、保守とか、こういう考えの枠では全部対応できなくなっちゃうんです。だからそこは柔軟に考えていくと。こういうことが重要だと思うんですよね。

桑子:決して誤ったメッセージが伝わってはいけないですからね。

佐藤 優さん

その通りです。誤ったメッセージを伝えないようにするためには、相手が誤って受け取っている時に、それが正確に日本に伝わってくるような、そういうチャンネルが必要なんですね。

そこが、信頼関係ですね。

佐藤 優さん

信頼関係です。信頼関係というのは、時には耳障りなことでも伝えてくれるという、こういう信頼関係ですよね。ですからこっちも遠慮しないで、言うべきことは言わないといけない。そのためには我々の本当の利益は何かを確定しないといけないですからね。そういうことを真剣に考えざるを得ない年というのがことし、2024年になると思います。

【佐藤優(さとう・まさる)】

1960年生まれ。同志社大学神学部卒業。同大学大学院神学研究科修士課程修了後、1985年に外務省に入省。対旧ソ連・ロシア外交に従事し、モスクワの日本大使館勤務を経て、本省の国際情報局分析第一課主任分析官を務める。2002年に東京地検特捜部に逮捕・起訴されるが、その経験をつづり「国策捜査」の実態を訴えた「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」で作家デビュー。元外交官としての視点や人脈、幅広い知識を背景に多数の著作を発表している。2020年には、すぐれた文化活動に携わった個人や団体に贈られる菊池寛賞を受賞した。

【脚注の参考文献】
「岩波キリスト教辞典」編/大貫隆、名取四郎、宮本久雄、百瀬文晃、岩波書店、2002
「新編西洋史辞典」編/京大西洋史辞典編纂会、東京創元社、1983
「最新版 沖縄コンパクト事典」編・出版/琉球新報社、2003
「自壊する帝国」著/佐藤優、新潮社、2008
「沖縄・久米島から日本国家を読み解く」著/佐藤優、小学館、2009
「顔のない男 : 東ドイツ最強スパイの栄光と挫折」著/熊谷徹、新潮社、2007
「われらの北方領土 2022年版」編/外務省、2022
「国際政治:恐怖と希望」著/高坂正堯、中央公論新社、1966

【脚注の参考ウェブサイト】
国立研究開発法人 国立循環器病研究センター https://www.ncvc.go.jp/ ※NHKサイトを離れます
沖縄県 https://www.pref.okinawa.jp/ ※NHKサイトを離れます
東郷和彦オフィシャルサイト https://kazuhiko-togo.com ※NHKサイトを離れます

担当 「クローズアップ現代」取材班の
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みんなのコメント(58件)

感想
納得できませんでした
30代
2024年3月17日
佐藤氏はハリネズミにならないこと、殺し合いにならないため他者(主にロシア)の主張もきちんと聞くべきと主張されていましたが、ロシアのプロパガンダも受け入れろということでしょうか。
佐藤氏の相互理解は他者のプロパガンダを受け入れることのように聞こえてしまいます。
感想
平和を願う一市民
60代 女性
2024年2月8日
素晴らしいインタビューでした。佐藤優さんのお名前は存じておりましたが、この番組でお話を伺ってお人柄と考え方を知りました。論理立てたその主張には説得力があり、世界の不穏な動きや国内も政治腐敗が言われる中、このような方がいらして希望を持つことができました。ありがとうございました。クローズアップ現代には同様のプログラムを今後も期待しています。頑張ってください。
感想
40代 男性
2024年2月6日
物事を他の人とは違う観点から深く考えているすごい人だと思うのですが……教育の話あたりから急に理想主義的に。頭がいい人には凡人がやる失敗がわからないんだろうか。
感想
KO
60代 男性
2024年2月3日
番組を拝見しました。佐藤さんのような外交官が、教育の大切さを語っておられたことが心に残りました。大学で教育に携わっておりますが、現在の日本の教育制度に限界を感じてを感じております。「教育」に関して、佐藤さんのご意見がどこかに記されていれば、ぜひ参考にさせて頂きたいと考えております。
感想
山田くん
40代 男性
2024年1月31日
フルインタビューを掲載してもらえる事に感謝です。大ボリュームでとても贅沢なのでもっと多くの人に知ってもらいたい。
1年前に熱心に丁寧な取材をされたNHK記者がきっかけで今回の出演に繋がったというのも、外交官時代に人と人との信頼関係を大切にしていた佐藤さんらしいと思いました。
感想
マグリットダリ
70歳以上 男性
2024年1月31日
大変貴重な事実を知ることができました。佐藤優氏の歩まれた道に潜む歴史の事実は何よりも価値があると思います。ゴルバチョフは生きている、相当インパクトある歴史に残る情報だったでしよう。番組内での佐藤氏の言葉、重みがあり、もう少し若い時に知りたかったです。永遠のファシズム。人間は群れを作る特性。スローガンを先行させず事態をリアリズムで捉える。軍事は情緒的な議論ではなく、閉ざされた世界のなかで専門家による議論を深める。国防について国民に議論を啓発して話さなくてはいけない。情緒的な議論が先行すると国益、国家益と国民益を損なう可能性がある。魚は頭から腐る。政治不信、教養と健全な愛国。勉強になりました。そして、番組終盤、人間と人間の信頼関係を強化していく。厳しい時でも頑張りすぎない、助けてくれる人は必ず出てくる。縦の贈与の連鎖、オードリーが息子たちに読み聞かせたサムレベンソンの詩を思い出しました。
感想
gizin
60代 男性
2024年1月30日
戦争法が生まれていく昨今。平和裏に解決する方法など。現在の日本はスローガンを用いて戦前へと変わりつつある。南西諸島は、自衛隊の基地だらけ。アジア、地域のイニシアチブを取ることが、日本の将来への選択肢の1つかと思いました。
提言
春日良一
60代 男性
2024年1月29日
他者の論理を知り相互理解を探る。停戦の実現。などの提言を傾聴するにつけて、オリンピック休戦の実現を思います。パリ五輪の7日前からパリパラリンピックの7日後までの五輪休戦が国連で決議されています。戦時でも武器をおいてオリンピアに集まる思想でプーチンもゼレンスキーも政治的戦いを克服するように仕向けるスポーツ外交が有効です。本来の五輪思想が手立てになると思うのです。
感想
ちも
50代 女性
2024年1月29日
混沌とした世界も、細かな事実の積み重ねを正しく観る事で、理解できる、素晴らしいインタビューでした。これからもこういったプログラムも放送いただけると、嬉しいです。ありがとうございました
感想
さかなねこ
50代 女性
2024年1月28日
くろげん録画して夢中で2回も見たけどこうしてフルインタビューの記事になっていたとは!今日になって気づいた!ありがたい。とんでもなく大事な考え方です。知れてよかった。出版してほしいくらいです。
感想
団塊ジュニア
40代 男性
2024年1月28日
NHKプラスで2回拝見しました。
単純な善悪二元論に陥らず、幅広い視点で物事を捉えることが大事だと感じました。
能登半島地震を巡っても、立場の違う人たち同士の激しい応酬が起きています。
単純な決めつけは、分断を生むだけだと思います。
感想
一ちゃん
70歳以上 男性
2024年1月28日
佐藤さんの言動には注目してきましたが、今回のインタビューでは、氏の価値観について深く理解できました、繰り返し読み返したいと思います!そこから、こんな自分にも出来ることを実践出切ればと思いました。
質問
Shoei
20代 男性
2024年1月28日
有り難いお話を聞かせていただき
誠に感謝申し上げます。
佐藤優さんの本を数年前から読むようになり、
佐藤さんのお考えに共鳴させていただいております。
今回のインタビューで特に痛感したことは、高校までの勉強が教養を深めるのにとても大切だということです。
なので、改めて高校までの勉強をして、教養を磨き、彩り豊かな人生を歩んで参ります。
もしよろしければ、私のような27歳の世間知らずの若者に、おすすめの本を紹介していただけないでしょうか?
感想
松村 訓明(まつむら のりあき)
50代 男性
2024年1月27日
観させていただきました。ロシアのウクライナ侵攻については、佐藤様がおっしゃっている「命を大切にするための停戦」に深く賛同します。一刻も早く停戦が実現して、ウクライナ国外で避難していると言われる800万人もの方々が平穏な気持ちで生活できるようになることを願っています。一人でも多くの方が今回の番組を観て、平和の大切さに気付いていただきたいです。また、日本は平和国家を標榜しています。そうであれば日本政府は停戦が実現するためのリーダーシップを執っていただきたいと強く願っています。拙いコメントをお読みいただきありがとうございます。
感想
ホゴカズ
70歳以上 男性
2024年1月27日
たった今、はじめて佐藤 優氏を知りました。早速、本屋に行こうと思っています。楽しみです。
感想
大地塾生@関西
40代 男性
2024年1月27日
佐藤さんの考えや思想、さらに誠実な人柄までも理解が深まりました。
放送では理解出来なかったり聞き漏らした部分がありましたが、テキストでは自分のペースで読むこちができ、しかも、親切に注釈がついていたので有り難かったです。
佐藤さんの教え子になったつもりで、次の世代に繋いでいきたと思います。
感想
ガンボ
50代 男性
2024年1月26日
心理的安全性と建設的な議論。これが本当に大切ですね。
感想
50代 女性
2024年1月26日
国としても個人としても、「ハリネズミにならない」ように心がけて冷静に状況を見極め、社会のためにできることを見つけて行動する重要性を教えていただきました。
ただ、複雑な競争にさらされ、ルサンチマンの渦巻くネット言論に囲まれている現代では、恐怖や不安や焦りを募らせ、ハリネズミ化してしまう危険が常にあると思います。佐藤さんの場合、信仰に支えられていらっしゃると拝察しますが、(そう考えると、今日のお話も「信仰・希望・愛」の実践なのだと納得しますが、)自称「無宗教」の日本人の一人として、我々自身の「内在的論理」を見つめ、鍛えていく必要もあるように思いました。健全なヒューマニズムやリアリズムなら良いですが、浅薄な現状追認や事大主義、刹那主義や拝金主義に陥っていては、恐怖や焦りに振り回されてしまうと思うからです。
感想
まさお
70歳以上 男性
2024年1月26日
素晴らしいインタビューだ!得るものがたくさんある。こういう世界認識をしている人を見つけ出し、生でご本人に発言させた事は意味がある。迫力がある。もっと勉強と行動しなければと強く思った。
感想
みのるお
50代 男性
2024年1月26日
 奥様からの腎移植が成功し健康を取り戻されたようで、うれしい限りです。2006年に出版されたばかりの「国家の罠」を読んで以来のファンです。書籍になったものは90%以上読んでると思います。ネットに上がる動画もほぼすべて見ています。
 ウクライナ情勢に対する分析も、政治と検察に対する見方も、さすが高い見地からの深い分析で、感心すること仕切りです。
お身体に気を付けて、ご活躍を応援しています。
感想
キムテツ
60代 男性
2024年1月25日
 ウクライナでの戦争が長引くなかで、プーチンの考えを知りたい思いから、昨年、佐藤さんの著書を数冊読ませていただきました。その中で、政治、経済など広範な佐藤さんの深い考えや、長い拘置所生活を楽しむ精神力に魅力を感じて、以来、ネット上で佐藤さんをフォローさせていただいています。
 その佐藤さんが、クロ現に登場されるということで、感激して拝見しました。また、このネットの対談記録はテレビよりも内容が格段に濃くて楽しませてもらいました。
 私の亡母は長いこと透析を続けていましたが、佐藤さんは奥様の献身でお元気になられたとの事、本当に良かったです。これからも日本の行く末に警鐘を鳴らし続けてください。
感想
だらだら
60代 女性
2024年1月24日
まさかあの佐藤優さんの姿がテレビで観られるとは感激でした。以前民放ラジオ番組で佐藤さんのトークを聴いており。難しい政治の話題も?み砕いて話してくださったり、ときにちょっとした面白いエピソードなどを挟んで、それは楽しいものでした。知の巨人と呼ばれながらも、猫好きだったり、情に厚いお人柄も含め、大好きな作家です。今回この企画を実現してくれたNHKスタッフに感謝します。
感想
フルーツパパイヤ
50代 女性
2024年1月24日
佐藤優さんの出演とあり、録画して何度も見ました。
深い洞察力と平和への思い、含蓄のあるお言葉を拝聴しました。
佐藤さんの本はたくさん読んでいますが、沖縄に心を寄せていることに、感謝しています。
世界で戦争が多発する中で、今ほど佐藤優氏の言葉が必要な時代はないと思います
クローズアップ現代でまた企画してほしいです。
感想
国憂う人
60代 男性
2024年1月24日
久々に佐藤さんの元気な姿にあえてうれしかったです。
出来る範囲で、少し勇気を出して進むのが良いことと思いました。
感想
KENKEN
50代 男性
2024年1月24日
知人がFacebookに「佐藤優さんがクロ現に出演される」と投稿しているのを見て、すぐに録画して視聴しました。佐藤優さんの著作は十数冊以上読んでいますが、表面的な事象のその奥にある本質に迫ろうとする気迫と斬新なアプローチにいつも目からうろこが落ちるカタルシスを感じています。今回も「内在的論理を理解すること」「どういう行動原理で動いているかを把握すること」の重要性が語られていましたが、とても30分で語りつくせる内容ではなく、NHKのweb版で全文掲載いただいたことに感謝します。自分自身のライフワークである日中関係改善へのアプローチにも通じる示唆に富んだ質の高い内容でした。また今回平和へのメッセージの原点が沖縄戦を生き抜いてこられたお母様にあったと知り、益々親近感が湧きました。大病を克服されての作家活動、これからの益々のご活躍を祈っております。NHK取材班の皆さまにも感謝です!
感想
84さん
60代 男性
2024年1月24日
内在的論理、、、ちょっとした属性の異なる文化への思慮、尊敬、慈愛
とても心に響きました
トルストイの名言「他人の幸福の中にこそ、自分の幸福もある」
日蓮の遺訓「人のために火をともせば・我がまへあきらかなるがごとし」
混迷する時代に、この利他の哲学が輝き光るのは心の奥底では人類が希求してやまないからでしょう
佐藤優さんの箴言は今回のレポートだけでは足りない気がします
他の書籍、対談なども進んで学ばせていただきます
感想
雪と生きる
男性
2024年1月24日
参考になります。NHK、やはり、民放とは違う存在と、思います。
感想
きよしママ
60代 女性
2024年1月24日
初めてのTV出演ということで、驚きました。録画していますが、きっとアタマがついていけないと思い、先にこちらの記事を拝見しました。
知らなかった歴史の側面、大学時代に得られた恩師や友人のお話、お母さまの平和への強い思い。
とても大きなお仕事をされ、深い知恵にあふれた、佐藤優さんという人の、人間味にふれたような気がして、感慨深く思いました。
これからも、どうかお元気で、私たちや 次の世代のために、大切な発信を よろしくお願いいたします。
文章化して下さってありがたいです、何度も読んで、少しでも理解します。
感想
もりぐみ
60代 女性
2024年1月24日
テレビで見てNHK+で見て、ちゃんと理解できてないと思いますが驚きがありました。戦争を始めたロシアは悪いと今も思いますが、それでは世界は変わらないというのは腑に落ちるというか、そうだなと思います。
感想
とーさん
女性
2024年1月24日
TVでは見れなかったので記事として読んだ。面白かった。岸田首相の評価には気づかない側面があった。一元外交官の意見としては見るが、冷静な意見を述べているととらえた。記事で読めて良かった。TVだったら理解が追いつかなかったかもしれない。ありがとうございました。
感想
NO。
70歳以上 男性
2024年1月24日
いやはやこんなに精密な内容の話は初めて読みました。世界は案外分かりやすい内容で動いてるだなと思いました。佐藤さん良く体力的に対応してくれましたね。しかしこのお話後3回読みます。良く勉強します。有りございました。敬具。
感想
gosei1950
70歳以上 男性
2024年1月24日
ニュース直後にチャネルをBSに切り替えるのが遅れて拝見することができ幸運だった。一度観ただけでは印象しか残らなかったのでプラスで観て、更にこの取材全文を読むことが出来た。(2ヶ所ほど辻褄の合わない数字があるが)この全文は佐藤優氏の現在を知る上で大変貴重。「内在的論理の理解」には素養も訓練も必要で、単に勉強せよというのではなく、大人もそのように考えてみせる行動態度が必要と考えます。今回の企画に感謝します。
感想
クラちゃん
60代 男性
2024年1月24日
久々に深い教養、洞察、愛情を持つリアリストの話が聞けて大変嬉しく思いました。自民党の不祥事まさにだらしないという表現の通りだと思います。それに対して俄かに正義の味方のような野党の物言いも笑止と言わざるを得ません。佐藤氏の仰る混乱の一年となりそうです。今後も貴重な見識をご披露いただきたくお願いします。
感想
りり
60代 女性
2024年1月24日
佐藤優さんと手嶋龍一さんの対談本「インテリジェンス武器なき戦争」を読んでからすっかりお二人のファンになり、本やメルマガで佐藤さんの発信を追い続けてきました。その後、モスクワで暮らす機会があり、佐藤さんの本を読みながらなるほどと実感できるようなことが何度かありました。今回のインタビューは、佐藤さんの著書を読まない方たちにも、佐藤さんのモノの見方や考え方を伝える貴重な機会だったと思います。特にウェブ版で全てのやりとりを読むことが出来て大変幸せでした。
クローズアップ現代は社会を多面的に捉えて伝えて下さるNHKの貴重な番組と思っております。番組スタッフに感謝。これからも応援しています。
感想
いぬ子
40代 女性
2024年1月24日
中学生と小学5年の子どもたちと一緒に観ていました。
内在的論理を理解しようとする気持ち。
良いか悪いかは別として、相手を理解することの大切さが子どもたちにも響いていたようでした。

親がうるさく言うよりも大切な事が沢山子どもたちに伝わったそんな番組でした。
感想
カズジー
男性
2024年1月24日
佐藤優さんの原点は母親が過酷な沖縄戦をたまたま生き延びてこれたこと、それと大学でのいろいろなまなびだったという。命が大切であることと内在的な動機とか動きを認識して現実的な対応をとることなど。
彼がなぜ刑事訴追され、有罪になったのか、アメリカの指図がなかったのか等興味深い。
感想
たかだ
50代 男性
2024年1月24日
相当面白かった!身近な人間関係、職場の意見の対立でもその背景にある「内在的論理」を考えることから始まる。ゆっくり全文読みたい。
感想
小雪
40代 女性
2024年1月24日
佐藤優さんがNHKに出演されるとは思いもよらず家族みんなでテレビの前にかじりつきました。
更にインタビュー全文記事を載せてくださっていることに感謝致します。切り取り編集放送ではなく、放送できなかった部分を全文公開する。これは、視聴者と佐藤優さんご本人の双方にとって非常に有益なことです。ありがとうございます。
私はちょうどこの冬に佐藤優さんの著書『先生と私』『15歳の夏』上下を読みました。大変感銘を受けました。
佐藤優さんがわずか15歳で東欧諸国を一人で旅をし社会主義の国々を見て周り、濃厚に様々な国の人々と交流したことは、優さんに大きな影響を与えていて、そのことは今回の放送での相手の背景を理解する「内在的論理」と繋がります。
また、少しだけ勇気を持つ、困った時は助けて!と言っていい。各人ができることをするという、その集積。子育てにおいても勇気づけられる放送でした。
感想
はる
60代 女性
2024年1月24日
「他者を知り、助け合える世界へ」身近な考えが違う人の話をしっかり聞き、相手を知る。そこから解決の糸口ができる。「スローガンではなくリアリズムで見る」スローガンにおどらされず、ワンクッションを置く。素晴らしい内容でした。
感想
りありすと
男性
2024年1月24日
内在的論理の把握、本当に大切だと思います、優さんの言う通り!論破の技術でなく、共有できるゴールを見つける技術が必要だと考えます。
感想
むらさきタマネギ
70歳以上 男性
2024年1月24日
戦争を起こさないための道を説いた今夜の佐藤優さんへのインタビュー番組は、今世界で起きている戦争についてどう捉え、考えていけば良いか、それを考える道筋を視聴者に提示してくれるものでした。
「(日本は)平和のイニシアチブをとる中心的な国になると。」その通りだと思います。そうなって欲しい。戦後これまで積み上げてきた平和国家日本の姿勢を更に一歩踏み出して、停戦そして平和を実現するために積極的に動く国であって欲しい。
また、この記事を読んで、番組からだけでは分からない、より豊かで深い思考に触れることができました。

「クローズアップ現代」は、私にとって大切な番組です。これからも、いろいろなテーマに切り込む番組であってください。
体験談
書生
40代 男性
2024年1月24日
以前に週刊スパのインテリジェンス人生相談させて頂いた者です。
佐藤さんのお陰で自分の頭で考え道を選ぶ事が出来ました。お陰で今でも社会の一員として地域に貢献出来る仕事を続ける事が出来ております。
映像で動いてる佐藤さんの姿を見るととても胸が熱くなりました。本も何冊も読ませて貰っていますが30分の肉声の方がすっと腑に落ちるという経験をさせて頂きました。
今後の執筆活動を側で見守らせて下さい、寒さ厳しき折どうぞご自愛ください。
感想
グローブ
60代 女性
2024年1月23日
佐藤優さんのことが少し身近に感じた。好きなことと、出来ることは違うとおっしゃっていたのが印象に残った。本意ではないと思うが、池上彰さんの様に、これからもテレビで日本の特にこれからの人の為に解説や、考えを伝えて言って欲しい。
また初めてネットでロングインタビューを読んだが、内容の濃さに驚いた。テレビでも全て流せばいいのにと思った。岸田さんの事は見直した。沖縄の事も初めての視点だった。いつか機会があれば是非インタビュー全てを観てみたい。
感想
まさあき
40代 男性
2024年1月23日
こんばんは。
本日佐藤優さんと桑子さんの対談を拝見いたしました。
非常に興味深く、良かったです。
私も学生ならば、佐藤優さんの元で学びたいと思いました。ニュースでは解らない深い事実があり、表面だけで判断してはいけないと改めて感じました。佐藤優さんの書籍読んでみます。
ありがとうございました。
感想
人類の願いは平和
60代 男性
2024年1月23日
佐藤優さんの日本が進むべき世界平和の道に賛成です。感動しました。日本はロシアの侵略を止めるようにリーダーシップを取り、アジア地域では平和宣言を取り決める。この考えを世論として政府に実行させるよう頑張ります。
感想
スリーピー
60代 男性
2024年1月23日
「内在的論理を理解する」私もこれが最も大切と思いました。東の端の国、日本からすれば、遠く離れ、異文化を有する東欧、中東諸国が歩んできた歴史というものは複雑で理解しにくいため、思考停止に陥り易いもの。限にイスラエルーハマスの戦闘については、何が根底にあって戦争が終わらないのか、思考の入り口で足踏み状態です。2024年は少しでも思考停止を解除すべく、一歩を踏み出したいものです。
感想
Qさん
70歳以上 男性
2024年1月23日
お元気そうで、奥様に感謝です。世界の為にこれからまだまだ頑張ってください 応援してます。まずはテレビ出演ありがとうございました。
感想
まみ
60代 女性
2024年1月23日
とてもわかりやすい言葉、本当に褒め言葉として「人たらし」の称号がぴったり。内容が広範にわたり難しいのに引き込まれて最後まで見た後勢いでインタビュー全部を読んでしまいました。面白いです。大量なので読み返すのもたいへん、できたらこのまま本にしてください。おねがいしますm(__)m
感想
匿名
50代 女性
2024年1月23日
思い切った内容というか。反感は当然、買い得るであろうとの、印象でした。
特に、魚は頭から云々以下。飛躍すれば、それは恐怖政治礼賛か!との解釈も可能?様々な受け止めがありましょうから。個人的には、クリーンでオープンも時と場合を間違えてはならない。また、その場合、記事中盤にあったような、本気で仕事をしている専門職かどうか。そこは気にし続けたいところと考えています。
感想
ミー
50代 女性
2024年1月23日
佐藤優さんのテレビ出演に驚き、82歳の母と真剣に視聴しました。品格と意思の強さと優しい眼差しが印象的でした。話すスピード、重要なことを、私などにも理解できるように話して下さるのがすごいなぁと思いました。テレビ視聴でき、想像していた以上のお人柄を実感しました。NHKさんと、佐藤優さんに感謝しています。また、お元気なお姿を拝見し、嬉しく思いました。
佐藤優さんの著書で、家庭や職場などで困難に直面した時には先生の言葉に励まされて乗り切る事が多々あります。私の先生だといつも思いながら拝読しております。若い方だけでなく、私達も学びの欲求があり、より良く生きる力をもらっております。ありがとうございました。
感想
トヨちゃん
70歳以上 男性
2024年1月23日
素晴らしいインタビューでした。佐藤氏の話にどんどん引きずり込まれていった。モノの見方、考え方がこれまでの自分の思考の遥か離れたところにありました。これからの日本の政治、経済、外交を佐藤氏のような慧眼の士に担ってほしい。
感想
50歳 自営業
50代 男性
2024年1月23日
はじめまして!
ニャース7からの流れでほぼほぼ拝見しています。
30分という短い時間で色々な事案に対して放送されていて大変だと思いますが、私個人としては今回の様な非常に内容が濃い案件はニュースウォッチ9まで延長してやるべきだと思います。
受信料を払っている自分としては(笑)
スポンサーを気にする民放とは違う番組作りをして頂きたいです。久しぶりに惹き込まれる内容でした。有難うございました
感想
野次馬
70歳以上 男性
2024年1月23日
斬新な考えや提言が随所にみられるすばらしい内容です。
本になると繰り返し読めて良いですね。
感想
こうてん
70歳以上 男性
2024年1月23日
今の日本、世界に大事な意識すること、認識すべきことがかなり網羅されいると思う。佐藤さんの卓越した認知力、世界を憂う叡智に学び、驚嘆することがあまりにも多過ぎる思いです。感謝!
体験談
まあちゃん
男性
2024年1月23日
本当のインテリジェンスとはこう言うことと分かる内容でした。単に活劇的なスパイ活動と誤解されているようですが地に着いた情報を収集することが正しい判断に結びつく筈です。しかし往々にして判断するリーダーの思い込みや独断で間違った結果を導くケースが多すぎるように感じました。
感想
パクメル
60代 男性
2024年1月23日
非常に示唆に富む番組でした。
特に国益とは、国家益と国民益の和であるという定義はストンと腹落ちしました。昨今の官僚(政治家はそもそも考えてる?)は、国家益しか考えておらず日本の将来が心配です。
感想
youji
70歳以上 男性
2024年1月23日
普段、あまりTVを観ませんが、たまたま
クローズアップ現代を観たところ、桑子真帆アナが佐藤優さんとの対談を興味深く拝見させていただきました!
難しい事は、分かりませんが、ロシアのプーチンのような相手さえも、理解を深める必要性をお話しされていた事は、新しい刺激になりました!
感想
すずちゃん
60代 男性
2024年1月23日
あの佐藤さんがテレビに?と驚くとともに今夜の放送を楽しみにしておりました。
以前、佐藤さんが著された本をいくつも拝読させていただき感銘を受け自らの知識向上に努めさせていただきました。
大病を患われたことは存じ上げませんでしたが、お元気で若い方々に自身の意思を伝えられている姿に感動し勇気をいただきました。誠にありがとうございました。
佐藤様の今後、益々のご活躍とご健勝を心から祈念申し上げます。
また、他局にはできない方々とのクロ現での対談を楽しみにいたします。
桑子アナよろしくお願いいたします。