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コロナ禍で仕事が激減しても、“推し練習”で乗り切ったハナシ

新型コロナウイルスの感染拡大から2年。あれから私たちの生活は一変しました。
「コロナで心が塞いでしまいそうな時に、光になったのは推しの存在だった」と語る女性。コロナで仕事が激減。誰にも会わず、落ち込む毎日の中、発想の転換でコロナライフを充実した推しライフに変えたのです。その方法とは…?

(#教えて推しライフ 取材班 ディレクター イノウエ/筆者も推し活中)
※この記事は、あさイチ『#教えて推しライフ』の放送をもとに作成しています。

推しは大河ドラマ&朝ドラ出演のあの俳優!

東海地方に住む、野中裕梨さん(44)です。
推しは、朝ドラ『半分、青い。』で繊細な演技を見せた俳優・佐藤健さん。
これまで、大河ドラマ『龍馬伝』、ドラマ『天皇の料理番』『義母と娘のブルース』『恋はつづくよどこまでも』など、数々の作品に出演。多くの人の心をつかんできました。

野中さんが「この作品に勝るものはない…」と豪語するのは、代表作のひとつ、『るろうに剣心』です。
ダイナミックなアクションに圧巻の演技力、役を作り上げていく努力には脱帽したといいます。
ちなみに、野中さん、映画は上映期間中47回も鑑賞したというツワモノです。

野中さんは、作品ごとに全く違う姿を見せてくれる佐藤さんの演技力に毎回、心を突き動かされてきたといいます。

野中裕梨さん

「本当に心がすごくきれいで、それでいてこの天から授けられたすばらしい見た目をもっていながらも、誰よりも負けずぎらいで頑張り屋さんで、とことん自分を追い詰め、もうこれ以上頑張れないところまで頑張っているからこそ、彼の作品は人を感動させることができるんだなと思っています」

本格的な推し活をし始めたのは、3年前から。
日用品を収納していたスペースをつかって「健コーナー」を完成させました。

一番の宝物は、佐藤さんの演技をいつでも見ていたいとコツコツと買い集めたDVD。出演した全作品をそろえました。

「宝です!一緒に棺おけ入れてくださいって思っています!」
とDVDを抱きしめながら語ってくれました。

コロナで仕事が3分の1に…窮地に追い込まれる

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が野中さんのもとにもやってきます。

野中さんの仕事は、「葬儀司会者」

「本日は、公私ともにお忙しい中、故何とか何とか様の通夜の儀にご弔問をいただき、誠にありがとうございます…こんな感じでやっていました」

お葬式の進行、故人を偲(しの)ぶナレーションの作成、そしてお亡くなりになった方の送り出しまで…遺族や参列者の方に寄り添って仕事をしてきました。

それが、「密になる」という理由から、大規模の葬式が激減。
司会を呼ばれることもなくなってしまったといいます。

コロナ前には、40件ほどあった仕事が、たった6件まで落ち込みました。

野中裕梨さん

「忙しい時は休みもなくて、1日2件お葬式を担当させていただくこともありました。それが一気になくなっちゃって…」

小学校、中学校と放送部に所属していた野中さん。
声を使った仕事がしたいと漠然と思っていた中、自身の祖母が他界し、その時の葬儀司会者のナレーションに感銘を受け、縁がありこの仕事についたといいます。

野中裕梨さん

「葬儀司会の仕事は、大変でしたけど、時にはご遺族の方から、「いい葬儀だった」とお褒めのお言葉をいただくこともあり、やりがいもあって、大好きな仕事だったので、これからどうなるんだろうと不安にもなりました」

仕事がなくなり、自宅での時間が増えるように。
野中さんの夫は海外での仕事が多く、このときも長期間家を空けていました。
コロナという理由から友達にも会うことができず、精神的にも不安定になっていったといいます。

発想の転換!おうち時間は“推し練習”に

それでも、めげませんでした。
「どうせ暇だし、あらためて過去の作品を見てみよう」と動き始めた野中さん。
朝から晩まで一人で勝手に「イッキ見!」状態に。
なんと、全156話ある『半分、青い。』は3日間で完走するスピードで見まくっていたといいます。

そこで、「毎日ただ、見るだけではもったいない」と野中さんは、あることを思いつきます。

それが…
「作品を見ながら、佐藤健さんの相手役になりきってセリフを読みあげる」という推し活。

律:「律のそばにいられますように」
すずめ:「読むな」 (※ここを野中さんが朗読)
律:「よう書いたな、この短冊」
すずめ:「律しかだめだ、私の律は律だけなんで」 (※ここを野中さんが朗読)

これは、セリフを読み上げることで、普段使わない口の周りや舌の筋肉が鍛えられると野中さんが編み出した、推し活×練習、「推し練習」たるものなんです。

野中裕梨さん

「見ているうちに、このセリフ難しそうだから口の勉強になるかなと思うようなものは、あえて言ってみたりして、うまく言えないと巻き戻ししてもう一回言ったりとか。私も負けずぎらいなんで、言えないと悔しいんですよ(笑)」

司会の仕事には、発声練習がつきもの。
それがコロナで人に会う機会が極端に減り、全く声を出していなかったため、今はこの推し練習で技術を磨いています。推し活をしながら技術向上、まさに一石二鳥です。

野中裕梨さん

「自分でナレーションも作って練習することもありますが、それだと、自分がしゃべりやすい言葉を自然と使っているんです。でも、セリフやっぱりすごく勉強になる。自分がしゃべらない言葉をしゃべるというのがセリフ音読のいいところだと思います。
これで練習を重ねて、もし突然、『明日仕事行ってね』と言われてもすぐ行けるようにという自分の中の心構えもできましたね」

さらに、この推し練習を重ねることで、佐藤健さんの新たな魅力にも気付けるようになったといいます。

野中裕梨さん

「朗読することによって、作品のこともそうですけど、彼のことも知っていくうちにどんどんどんどん理解度が上がっている。主人公の気持ちになれるんですよね、本当の意味で、健君はもしかしたらこれを感じ、こういう気持ちを感じてこの役をこういうふうに演じてるのかなと思ったりします」

「推しは光」 いつか仕事復帰する日まで…

2022年6月の段階で、野中さんは仕事復帰をしていません。
いつか、状況が落ち着いたら仕事を始めたいと思っているといいます。

「声を活かしたい」と、野中さんはいま、SNS上の音声コミュニケーションシステムを使って、ファン同士で語る交流会の司会を行っています。

その中では、野中さん自身が、映画のシナリオを読み上げ、みんなで感想を言い合ったり、時には、自分と同じようにコロナによって打撃を受けた飲食業やサービス業のファンの人と話をしたり、ともに励まし合っているといいます。

野中さんは、つらい時期が続いても、推しの存在があれば前を向けると信じています。

野中裕梨さん

とにかく光なんです。一言で言ったら光。私の人生に光が輝いてきた感じです。そして、原動力です。健君のことをこんなに好きになって、推し活がこんなにも楽しいことを知って、今本当に毎日が楽しい。コロナで大変ではあるけれども、誰もが大変な時代だからこそ、いつでも前向きに、前を向いて、物事をよく捉える考え方をする健君に私は影響されて、常に今笑顔で過ごせています」

推し活を仕事に還元するパワーとは

推しのことを尋ねると、とても楽しそうに笑顔で話してくれる野中さん。
大好きだった仕事を奪われたにも関わらず、オリジナルの推し活で逆境をはねのける力には本当に驚かされました。
そして、推し活と仕事をわけて考えるのではなく、双方にとってプラスになることを探る野中さんの発想力、私も見習いたい…!と思いました。
「すごいですね」と尋ねると、「健くんが努力しているからです」と言い切る野中さん。

「作品をみていると、ここまでのことができるようになるまでどれだけの努力をしたんだろうと思うんです。その時に、自分には努力が足りないなと思って。本当にパワーをもらっています」
“推しが努力するから、私も努力する”、推しと呼応するように生きる姿はとてもすてきでした。

推しは、つらい時に支えてくれるだけでなく、時に叱咤激励を送ってくれ、私たちを成長させてくれる存在でもあると教えてもらった気がします。

ほかにも番組に寄せられた声にはこんな形で仕事に活かしている人が…
「推しが『青年海外協力隊』のボランティアをしていたことに感化。
文房具メーカーに勤める私は、一部が募金になる文房具を企画しました。
さまざまな団体と連携して発売し100万円以上寄付できた」
(東京都在住・30代・斎藤工さん推し)

そして、野中さんと同じように推し練習をしている人も!
「声楽をやっています。オペラの楽曲を歌うときなどに相手役を推しだと思って歌っています。最近声や表情につやがでてきたねと言われています。推しのおかげでいい歌が歌えています」
(東京都在住・40代・この方も佐藤健さん推し)

千差万別の推し活。
ぜひ、みなさんもこんな推しライフを送っている!というエピソードがありましたら、コメントをお寄せください。

この記事のコメント投稿フォームからみなさんの声をお待ちしています。

担当 イノウエの
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みんなのコメント(3件)

感想
おはぎ
40代 女性
2022年7月11日
#教えて推しライフ のコーナー、毎回楽しく拝見させていただいています。

その中でもこの野中さんの回は非常に印象深く心に残っております。
「推しは光」という言葉を聞いて、まさにそれだ!と感銘を受けたからです。
この一年コロナ禍にあり、自身もコロナに感染したりと色々ありましたが、推しは光という言葉通り、推しに助けられ、推しが原動力となって毎日笑顔で過ごせています。

今回、このように文章となって再び野中さんを拝見でき嬉しく思い思わずコメントさせていただきました。
感想
purple
40代 女性
2022年7月7日
昨年野中さんの推し活されてる姿を観ました。アメリカ在住でコロナ禍のロックダウン、全く外出も出来ない状況が2年近く続き、暗くて辛い時期でしたが、彼女の「推しは光」という言葉に共感しかありませんでした。 推しの存在があり、推しが活躍してる姿、作品、全てが「光」となり、推しは希望そのもの。そして野中さんが辛い時期でも諦めない強い姿にとても勇気をもらい、海外という離れた場所で今後どんな状況がやって来ても、推しの存在を希望で乗り越えられる! と思えるようになりました。 これからも野中さんのように常に前向きに明るく笑顔! を心がけたいと思います♪
感想
ちいさん
40代 女性
2022年7月7日
昨年のこちらの放送も拝見しました!私も佐藤健さん推しなのですが、彼には本当にたくさんの力をもらい、生きる希望だと思っていたので、この方の「推しは光」と言う言葉に、それだ!!!とめちゃくちゃ共感しました。
あれから1年、たくさんの推し仲間ができ、
今は一緒に誕生日会をしたり、ロケ地を巡ったり、健さんのおかげで毎日楽しい日々を送っています!