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性感染症 あなたは大丈夫? 症状・予防策など基礎知識まとめました

いま、性感染症が身近なところに迫っています。
去年、梅毒の感染者数が現在の形で統計を取り始めてから初めて1万人を超え、過去最多を記録。さらにクラミジアや淋(りん)病も若い世代を中心に感染者数が増加傾向にあり、専門家は誰もが性感染症にかかるリスクがあると、警鐘をならしています。
 
あなたは、パートナーは、家族は大丈夫?
主な性感染症の症状、検査・治療法、予防法などをまとめました。

(「クローズアップ現代」取材班)

クローズアップ現代「急増なぜ?“梅毒”過去最多の衝撃 感染から身を守るには」

総合 1月25日夜7時30分
放送から1週間 NHKプラスで見逃し配信

梅毒

去年1年間の梅毒感染者数は、過去最多のおよそ1万3000人。10年前の約15倍と大幅な増加が続いています。
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因の感染症で、主に性的な接触(性行為・オーラルセックス・キスなど)によって広がります。感染しても無症状だったり、症状が出てもすぐ消えたりすることがあり、気付かないうちに感染を広げている可能性も指摘されています。

その症状についてまとめたのが次の図です。

梅毒は大きく3つの段階に分けて進行します。

まず、感染から1か月程度の「第1期」では、原因となる細菌が入り込んだ場所を中心に、3ミリから3センチほどの腫れや潰瘍ができます。この症状は数週間で消えてしまうことがありますが、梅毒が治ったわけではありません。
痛みやかゆみを感じることは、ほとんどないとされています。

その後の「第2期」では、細菌が血液によって全身に運ばれるため、手や足など全身に赤い発疹が現れることがあり、発疹がバラの花の形に似ているとして「バラ疹」と呼ばれています。このほか、発熱やけん怠感など、さまざまな症状が出ることがあります。
この段階でも、症状が自然に消えることがありますが、梅毒が治ったわけではありません。

そして、感染から3年程度たって以降の「第3期」。全身で炎症が起こり、骨や臓器にゴムのような腫瘍ができることがあります。さらに進行すると、脳や心臓、血管に症状が現れ、まひや動脈りゅうの症状が出ることがあります。

治療薬が普及していない時代は、大きなできものができたり、鼻がかけたりすることがありました。治療をせずに放置すると、このような深刻な症状につながるので、早期に発見することが大事です。

また、妊婦が感染すると、死産や流産につながるリスクがあるほか、母子感染で子どもが「先天梅毒」になり、皮膚や骨の異常、難聴や視覚障害などさまざまな症状が出るおそれもあります。

梅毒に感染しているかどうかは、血液検査で分かります。感染の不安があるときは、泌尿器科、婦人科、性感染症専門のクリニックなどを受診して検査を受けてください。
また全国の保健所で、無料・匿名で検査を受けることができます。

梅毒は治療法が確立していて、きちんと治療を受ければ治すことができます。日本で多く使われているのは抗菌薬の飲み薬で、一定の期間、薬を飲み続けることで治療できます。
また、1回注射するだけで効果がある新たな治療薬も去年、承認され、ことしから使われ始めています。

クラミジア

クラミジアは、日本で最も感染者の多い性感染症。「クラミジア・トラコマチス」という細菌が感染することで起こり、感染しても無症状のことが多く、不妊症の原因になることもあります。
症状を次の図にまとめました。

多くの場合で無症状ですが、感染経路となり症状が出るのは、図の赤い丸の部分。
クラミジアの菌はのど、直腸、尿にも出るので、口、肛門などを使ったセックスでも感染の危険があります。

異変を感じたら、性感染症内科、泌尿器科、婦人科などを受診してください。検査では、尿や分泌液、おりものなどの遺伝子学的検査で診断します。
治療には抗菌薬が有効で、決められた期間きちんと服薬しないと菌が残ることがあります。


そのほかの主な性感染症の症状を次の図にまとめました。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルスⅠ型、またはⅡ型が病原体。症状がないことも多いですが、性器に潰瘍や水ほうができると歩くのが困難なほどの激痛になります。
一度感染するとウイルスが神経節に潜伏し、体の中に住み続けて何度も再発します。
水ほうの内容液の検査や血液検査で診断し、抗ウイルス薬の内服、抗炎症剤、鎮痛剤で治療します。

尖圭(せんけい)コンジローマ

HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染し、外陰部に小さなとがったイボができる病気です。ただ、イボができないこともあり、痛みやかゆみなどの自覚症状もほとんどないので、感染に気付かないことがあります。
イボを確認することで診断し、切除などの外科的治療や、薬を塗る治療があります。
また、この病気はワクチンを打つことで予防することができます。

淋(りん)病

淋(りん)菌は感染力が非常に強く、性行為だけでなく口や肛門を使った性行為でも感染の危険があります。
男性は性器から黄色の“うみ”が出ます。一方、女性は自覚症状に乏しい場合が多く、症状がある場合は緑黄色の濃いおりものや、尿道から“うみ”が出ます。進行すると子宮内膜炎や卵管炎、不妊症の原因になります。
検査では、尿や分泌液、おりものなどを採取し培養検査をします。
治療に抗菌薬が有効ですが、耐性の淋(りん)菌も増加しています。

HIV・AIDS(エイズ)

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、感染しても自覚症状がほとんどありません。感染後、未治療のまま数年~10数年経過するとAIDS(エイズ・後天性免疫不全症候群)を発症。体の免疫力が低下しさまざまな合併症を引き起こします。
近年、その治療は急速に進歩しており、ウイルスが体内で増えるのを抑える治療を続けながら、自分らしい生活を継続していくことができます。そのためにも、早期発見と早期治療がとても大切です。

予防のために オーラルセックスでもコンドームを

性感染症の主な予防法や治療法をまとめた図がこちらです。

性感染症の予防法としては、まず不特定多数の人との性的な接触を避けること。それにコンドームを使うことが重要です。
しかし、それだけでは100%防ぐことはできません。
性感染症というと「性行為でうつる」と捉えられがちですが、実はほとんどの性感染症はオーラルセックスによって、口やのどの粘膜からも感染します。特にクラミジア、ヘルペス、淋(りん)病、梅毒は要注意で、国も啓発に力を入れています。

パートナーも検査と治療を

予防に加えて重要なのが、早期に検査、治療をうけることです。治療をすれば、多くの性感染症は治すことができます。
ただし、ウイルスや菌を「カップルで持ち合っている」可能性が高いので、一人が治療しても片方に残っていると、再び感染してしまう「ピンポン感染」が起きてしまいます。
2人それぞれが検査や治療を受けることが大切です。

産婦人科医で日本大学医学部主任教授の川名敬さん(日本性感染症学会監事)は、気軽に検査を受けてほしいと話します。

川名敬さん
産婦人科医 川名敬さん

性感染症の検査を難しく考えず、気軽に受けてほしいと思います。例えば梅毒やHIVは、自治体の保健所でも無料の検査を受けることができます。匿名ですし、陽性だった場合は治療できる医療機関も紹介してくれます。大事な人を感染から守るためにも、新しくパートナーができたときや結婚するとき、妊娠を考えるときなどに検査を受けてみてもよいかもしれません。

みんなのコメント(3件)

感想
トホホ
女性
2023年7月13日
細菌感染なら性行為じゃないところでも感染していそう。新型コロナ対策下で拡大するのが解せない。
感想
ミドル子ちゃん。
19歳以下 女性
2023年1月26日
キスだけでも感染の可能性はあるので感染のリスクを低くするという捉え方が現実的なのかなと思います。
性交渉の相手が既に感染していたら高い確率で自分にも感染するかと。
自覚症状のないケースもあり自分が感染して知らずに相手に移すこともあるかと思います。感染の確率を下げる選択ができるようにしたいです。
コンドームを初めからつけてもらうとか。
自分の要望を伝えることも大事ですよね。
感想
ひろみょん
60代 男性
2023年1月26日
アンケートから「感染者の内、不特定多数の人と性行為している人の割合は男51%、女16%」と。興味深い。特定の人としか性行為しなければ拡大はしていかないはず。逆に男側の+1%(実態はもっと多いかも)感染は男が拡大していることを示している。男に対する教育がまず必要ということを強調してほしかった。
番組最後のtinderの講習会風景。参加者の女性が感染がわかった時「どうやってうつっちゃったかはっきりさせる」と。
大切なことは「まず、自分の身を護ること」としっかり身につけさせた方がいい。
これ以上に大切なことはないはず
興味深い内容でした。
ありがとうございました。