
相手の気持ちも大切に からだとこころの話② Vol.15
性教育動画『からだとこころの話』2本目は、「性的同意」です。「性的同意」とは、セックスはもちろん、手をつなぐ、ハグやキスなど、すべての性的な行為をするときに、それをお互いが積極的に望んでいるか、気持ちを確認することです。知らず知らずのうちに、大切な相手の心と体、自分自身の心と体を傷つけないためにも、「性的同意」は必ず必要です。
あなたが大切に思っている相手やパートナーといっしょに考えてみませんか。
『相手の気持ちも大切に』
「好きだから一緒にいたい。ふれたい」って自然な気持ち。
でも、待って。ふれる前に、相手の気持ちを言葉でしっかり確認しよう。
「イヤ」と言われたら、もちろんダメ。
返事がないのも、ダメ。
その場の雰囲気で相手の気持ちを判断するのもダメ。
“YES”は「いいよ」と言われたときだけ。
心と体、どちらも大切にしよう。
(監修:順天堂大学 教授 西岡笑子、慶應義塾大学大学院 特任准教授 本田由佳)
性的同意をとるとき、どんなことに気をつければいいか。ジェンダー平等や多様性など、人権の尊重に基づいた「包括的性教育」の普及に取り組んでいる順天堂大学 保健看護学部 教授教授の西岡笑子さんに聞きました。
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性的同意のポイント(順天堂大学 教授 西岡笑子さん)
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●2人が対等な関係であることが大前提
上司と部下、教師と生徒、先輩と後輩のように社会的地位の上下関係や力関係がある場合、地位や力が弱いほうは、その後の関係性を考えて「NO」と言いづらいという実態があります。
●相手が「NO」と言える環境が不可欠
相手が泥酔していたり、寝ていたりしたら、同意はとれません。相手が恐怖を感じている場合は、言葉が出なかったり、動けなくなったりすることもあります。
●1つの行為への同意は他の行為への同意ではない
相手が2人だけでお酒を飲むことに、2人で個室で過ごすことに同意していたとしても、それはキスやセックスに同意したいうことにはなりません。必ず、その都度、言葉で確認することが大切です。
積極的な同意のない、強引で一方的な性的行為はすべて性暴力です。
西岡さんは、「本来、好きな相手とふれあったり、性行為をすることは、お互いを豊かにしてくれるはず。でも、どちらかの気持ちが少しでももやもやしたり、嫌な気持ちになったりするのは、同意が尊重されていないことに原因があることが少なくない」といいます。
内閣府の調査*では、およそ24人に1人、そのうち女性のおよそ14人に1人は「無理やりに性交等をされた」被害経験があります。加害者は「交際相手・元交際相手」が28.9%で最も多く、次いで「配偶者」(16.2%)、「元配偶者」(10.6%)、「職場・アルバイト先の関係者」(8.5%)など顔見知りがほとんどで、「まったく知らない人」は12.0%です。また、加害者が親族や交際相手以外だった人に加害者の立場について聞いたところ、職場やアルバイト先の上司や先輩、学校・大学の教職員や先輩など、自分よりも社会的な地位が「上位だった」が55.3%に上りました。(*内閣府2021年3月『男女間における暴力に関する調査』)
さらに被害にあったときの状況について、「相手から不意をつかれ、突然に襲いかかられた」が26.8%と最も多く、次いで「相手から、『何もしない』『変なことはしない』『乱暴しないなどとだまされた」、「相手との関係性(関係が壊れる、仕事への影響等)から拒否できなかった」がそれぞれ23.2%となっています。

“イヤよイヤよも好きのうち”ではありません。相手が何も言わなければ、それは“NO”です。
同意のない性行為はすべて性暴力です。