観光客満足度UPへ 人気観光スポット“下灘駅”
- 2024年03月13日
「海が見える絶景の駅」として人気の愛媛県伊予市下灘駅。
とにかく景色が美しいんです!目の前いっぱいに広がる伊予灘をバックに、記念写真を撮ったり、ゆっくりと海を眺めたり。全国から多くの人が集まる人気の観光スポットです。しかし訪れた人たちには、ちょっとした困りごとが・・・。そんな観光客の満足度アップをはかるため、下灘駅が変わろうとしているんです。
(NHK松山放送局 加藤彩子)
特集の内容はNHKプラスで配信中の3月8日(金)放送の「ひめポン!」(NHKGTV午後6時10分~)でご覧いただけます。詳しくはNHKプラスでご覧ください。
人気の観光スポット“下灘駅”
下灘駅の取材に訪れたのは3月上旬の日曜日。まだ肌寒い季節ですが、全国から多くの観光客でにぎわっていました。
みなさんのお目当ては、目の前に広がる海。美しい景色とともに多くの人が記念写真を撮っていました。ちなみに、みなさん譲り合って写真を撮っていたので、混んでいたとしても“映え”写真は撮ることができます。
観光客
「東京から来ました。きれいな景色で写真撮りたいと思って来ました」
観光客
「奈良県と兵庫です。海なし県に住んでいるので、海を見ると感動しますね」
ただ、観光客のみなさんにはちょっとした困りごとがありました。
「列車の本数が少ない」
周りに観光スポットもないため、写真を撮り終えたら寒いベンチで時間を持て余している人もちらほら。
下灘駅が変わる① 観光スポット道の駅へ送迎
そんな状況を変えるために2月、新たな取り組みがはじまりました。そのひとつが近くの観光スポット、道の駅を往復するシャトルバスの運行です。
歩くと1時間以上かかりますが、バスだと10分ほど。地元の野菜や果物などお土産を買うことができるうえに、食事も楽しむことができます。運賃は片道100円です。
埼玉から来た観光客も「時間を持て余していたのでよかった!」と言っていました。
シャトルバスの運行は観光物産協会が始めた実証実験で、現在(3月11日時点)は終わっていますが、観光物産協会では次の展開を考えているそうなので、お出かけの際はぜひ調べてみてください!
下灘駅が変わる② 土産物店ができました!
もう一つの新しい取り組み、それは駅の中に土産物店ができたことです。
売り場は小さいですが、下灘駅限定のグッズや地元の特産品を使ったお菓子など15種類の商品が売られています。
店長は高木綾子さん。地域おこし協力隊として、4年前に伊予市に移住してきました。
地元の魅力を伝えたい、という思いから地元こだわりの商品を扱っているのだそうです。
高木綾子さん
「いまちょっとまだこれだけなんですけど、商品を増やしていきたいなっていう風に考えています」
その高木さんには強力な助っ人が。JICA海外協力隊員の3人です。
3人は海外で活動する前に行われる研修=地域の課題解決に取り組む、に参加するため伊予市にやってきました。店にとっても、ひとりひとりのスキルを活かしてもらえることは大きなメリット。石川県出身の三浦香凜さんは、得意な語学力を生かして、台湾からの観光客の接客を行っていました。折しも新型コロナ影響で運休していた松山と台湾を結ぶ定期便の運行が、4年ぶりに再開したばかり。これからはインバウンド客にも期待ができます。
地元ならではの商品を!
店に置く商品は、試食会などをしておいしかった地元のもの、そして下灘駅に来る若い観光客に人気が出そうなものと決めているのだそう。
高木さんが目をつけたのが、お米を使ったお菓子「ポン菓子」。こだわりは地元愛媛産のお米だけを使っていること。カラフルなパッケージに、手に取りやすいサイズや量、値段なども参考に選びました。
交渉の結果、3月の中旬から商品を置けるようになったということです。
「自分が住んでみてとかいろいろ周ってみてここの食べ物屋さんおいしかったよとかこの景色が今の季節だったらすごくいいよとかそういったものはお伝え出来たらいいなと思うので、魅力も一緒に伝えたいなと思っています」
下灘駅は夏はひまわり、秋はコスモスが楽しめる花壇も人気なんです。
花壇は地元のボランティアの皆さんが手入れしたもので、高木さんはお店の収益を花壇の費用などに充てたいそうです。「温かで魅力的な地元の人たちとの交流も、下灘駅にしかないものですよ」と高木さんは話していました。
取材を終えて
この記事を書いている1か月前に愛媛県に来たばかりの私。まずは観光地を巡ってみよう!と思った場所の1つが下灘駅でした。しかし行ってみると、たしかに周りに何もない!(もちろん、それがいいところです。)もし旅行で愛媛県に来たとしたら、時間を持て余すから観光の予定から外してしまうな、と思っていました。そんな観光客を楽しませたいという、地元のみなさんのおもてなし精神が、いろいろな新しい取り組みにつながっているのだなと感じました。
NHKプラス配信終了後は下の動画でご覧ください。