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隈研吾さん、なぜ予土線に?

  • 2023年05月30日

世界的な建築家の隈研吾さんがJR予土線を盛り上げる団体の総合アドバイザーに就任し、5月28日に松山市で会見しました。愛媛県と高知県を結ぶ予土線は利用者の減少に歯止めがかからず、JR四国の中でも採算が悪い路線のひとつです。隈さんは予土線をどう変えようとしているのでしょうか。

(松山放送局 橋本ひとみ) 

(撮影:山下文子)

【予土線とは】
愛媛県の北宇和島駅(宇和島市)と高知県の若井駅(四万十町)を結ぶ全長76.3キロの路線。1キロメートル当たり1日に平均何人の乗客を運んだかを示す輸送密度は220人(2022年度)。国が示すバスなどへの転換を含めて協議を進めるべきとする輸送密度1000人を大幅に下回っている。JR四国が赤字路線のあり方をめぐって自治体と協議を始めたいとする対象区間の1つ。

総合アドバイザーに就任

隈研吾さんが就任したのは「JR予土線圏域の明日を考える会」の総合アドバイザーです。
この会は予土線を存続させるために沿線上の魅力を高める活動をしています。
会長は宇和島伊達家13代当主の伊達宗信さんが務めています。

隈さんは横浜市出身。一見、愛媛とはあまり縁がないように思えます。
記者会見を開いた隈さんに聞きました。

Q:予土線の総合アドバイザーに就任した経緯は?

(隈研吾さん)
「宇和島市にある伊達博物館の建て替えの設計を手がけたことが愛媛とつながるきっかけでした。その後、去年11月に会のみなさんに誘われて初めて予土線に乗ったときに景色の美しさに衝撃を受けました。草木が生い茂る坂を上ると広がるのどかな盆地の景観。
四万十川の渓谷を上から眺めたり、トンネルをくぐったり、こんなに景色の変化に富んだ素敵な路線があったのだと思いました。
これをなんとか守っていきたい、そんな思いから総合アドバイザーを引き受けました」

しまんトロッコ(撮影:後藤茂文)

Q:これからどんな活動をするのか?

(隈研吾さん)
「総合プロデューサーは仕事の幅が広いのでいろんなことができると思います。例えば駅舎を少し手直ししてみたり、ベンチをデザインして置いてみたり・・・
予土線は世界に通用するブランドになり得ると思っているのでそれを発信するためにポスターやホームページの作成をしても面白いかなと思っています。
また沿線の食もおいしいものばかりなので食も含めた文化とも連動しながら盛り上げていきたいです。
ローカル線の経営で困っているのは日本だけではないので、観光資源として予土線は大きなモデルになるのではないかと感じています」

Q:どのように地域と関わっていきたいか。

(隈研吾さん)
「まずは地域の住民の人と話すのが一番大事だと思っています。
多くの人の思いをくみ取りながらどんなことをしていくのか束ねるのも私の役割だと思っているので 年齢問わずいろいろな形で出会って話を聞いていきたいです」

地元は大きな期待

隈さんの総合アドバイザー就任に地元は大きな期待を寄せています。

「JR予土線圏域の明日を考える会」の伊達宗信会長

「隈さんが参加することは心強い。予土線は100年以上の長い歴史があり、当初は地元の有志が力を合わせてつくった貴重な鉄道。利用頻度が多い地域の住民のみならず、県外の観光客にも来てもらえるように地域の歴史や魅力をたくさんの人に知ってもらえるようにしたい」

橋本ひとみの感想

私は小学生から高校生まで東京都内で電車通学だったため、小さい頃からたくさん鉄道に乗る機会はありました。しかし鉄道はあくまでも「移動手段」であり、地下鉄を多く利用していたこともあって景色を気にしたことはありませんでした。私はまだ予土線に乗ったことはありませんが、今回の会見を聞いて風光明媚な自然の中を走る予土線のことをもっと取材したくなりました。隈さんがおすすめしていた沿線のおいしいご飯も堪能したいと思います。

  • 橋本ひとみ

    橋本ひとみ

    2021年入局の記者で行政担当。関心分野は図書館政策と子育て支援。趣味はお香やキャンドルを集めることで、部屋はお寺のような匂いがします。

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