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春に3日の晴れなし

  • 2024年04月25日

    このことわざの意味は文字通り
    「春は晴れが3日間続かず、天気の変化が早い」という意味です。
    では、どうして春は天気の変化が早いのでしょうか?
    (NHK高知放送局 気象予報士 岡田良昭)

     

    上空の偏西風が大きく関係しているんです。

     

    偏西風とは日本の上空を流れている大規模な強い風の流れのことで、
    季節によって流れる位置が変わります。
    夏は日本の北に、冬は南に偏りやすくなります。
    春はちょうど日本の上空を流れるので、偏西風の影響が大きく天気の変化が早いんです。

     

    春の偏西風の位置

    この日本の上空を流れている偏西風にのって
    高気圧と低気圧が交互にやってくるので天気が短い周期で変わります。

     

    低気圧と高気圧が交互に通過


    移動性高気圧はだいたい時速40〜50キロくらい、
    自動車と同じくらいの速さで西から東に移動し2日前後の晴れの天気をもたらします。
    そのあとは低気圧がやってきて雨が降ることが多くなります。
    そのため、「春に3日の晴れなし」ということわざができました。
     

    分かっていただけたでしょうか? 

     

    さてここからは一歩踏み込んでみたいと思います。
    低気圧がやってくると「雨」、高気圧に覆われると「晴れ」ですが…

    これはなぜでしょうか。

    前提として、低気圧は「反時計回りに風が吹き込む」。
    高気圧は「時計回りに風を吹きだす」。
    これは小学生の時に習いましたね。
     

    低気圧と高気圧の風の流れ

    低気圧は「風が吹き込む」ので中心に集まってきます。


    この集まった空気はどこに行くのでしょうか。

    イメージしやすいように垂直方向に切ったイラストで見ていきます。
    低気圧は周りから風が集まるので、

     

    低気圧は反時計回りに風が吹き込む

    集まった空気は行き場をなくして空に持ち上げられます。

     

    上昇気流が発生

    これが上昇気流です。

     

    雲ができ雨が降る

    地表付近の空気が空に持ち上げられると冷やされて雲ができ、雨を降らせます。


    一方で、高気圧が晴れるのはこれと反対です。
    地表付近が高気圧で覆われてると、時計回りに風を吹きだすので、
    中心付近は空気が少なくなります。
    その少なくなった空気を補うために上空から空気が補充され、これが下降気流となるんです。

     

    下降気流は晴れる

    上昇気流と反対で晴れます。
     


    ということで、低気圧が雨、高気圧が晴れとなります。
    春は天気が短い周期で変わりやすいので、
    ぜひ天気予報をこまめにチェックしてください。



     

      • 岡田良昭

        NHK高知放送局 気象予報士

        岡田良昭

        「こうちいちばん」気象キャスター

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