高知県の離島で「グリーンスローモビリティー」の実証実験
- 2023年12月14日
低速で走る小型電動車を離島での観光客や住民の移動手段として活用するなどの実証実験が
このほど宿毛市で行われました。離島観光の切り札になるか注目です。
(高知くろしお支局 記者 澄田謙人)
「グリーンスローモビリティー」とは?
「グリーンスローモビリティー」は時速20キロ未満で公道を走ることができる電動車を活用した移動サービスのことで、車両を含めた総称とされています。「グリスロ」とも呼ばれ、宿毛市での実証実験では、4人乗りの「グリスロ」が配置されていました。
この「グリスロ」にはドアがなく開放感抜群です。ゴルフ場にあるカートのような電気自動車で普通自動車の運転免許があれば運転できます。
宿毛市の沖の島はどんなところ?
高知市から南西に130キロあまりの宿毛市の片島港から市営の定期船に揺られることおよそ1時間半。人口130余りの離島「沖の島」に到着です。
観光に「グリスロ」を!
釣りや海水浴、それにキャンプなどを目的に訪れる観光客が多い「沖の島」ですが、タクシーがないため、レンタサイクルで移動する人が多いそうです。
しかし、キャンプ道具を自転車で運ぶのは難しく、せっかくキャンプ場があるのになかなか使ってもらえないことが島の悩みでした。
実証実験では、この「グリスロ」をレンタカーのように観光客に使ってもらい、使い勝手などを調べていました。見学会を取材したこの日も、居合わせた観光客が「乗りたい」と宿毛市の職員に相談し、試乗していました。
群馬県から来た「離島マニア」という60代の男性
「レンタサイクルに乗ってさっきすれ違った時になんだろうと思い乗りたいなと思っていたのでうれしいです。開放感もあるので離島にはぴったりだと思います」
公共交通の補完にも期待?
「グリスロ」は観光客向けだけでなく、住民にとってもメリットがありそうです。
「沖の島」には、住民向けの乗り合いバスが走っています。しかし、このバスはもともとはスクールバスで登下校の時間帯を中心に運行されているため、決して本数は多くありません。
「グリスロ」を住民の移動手段として活用することができれば、公共交通の補完につながるかもしれません。
「グリスロ」どうする?
宿毛市は今後アンケートの結果を分析して来年度以降に本格的に導入するかどうか検討を進めることにしています。
宿毛市企画課 山中 央主査
「開放感がある“グリスロ”は沖の島のロケーションと親和性があると思います。
一方、速度が遅いことや車両の管理方法などの課題も見つかったので、本格的に導入する場合には地元の住民と協議が必要になると思います」
交通手段の確保はどの島も共通の悩みです。“グリスロ”が観光の切り札になるか、議論の行方に注目していきたいと思います。