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部活動を地域に?高知県の現場は・・・

  • 2023年04月13日

中学校の部活動を地域のスポーツクラブなどに担ってもらう部活動の「地域移行」。高知県土佐清水市の学校を取材するとある課題が見えてきました。
(高知放送局 記者 澄田謙人)

部活動の「地域移行」って何?

今年度から中学校の部活動が大きく変わろうとしています。そのキーワードは、「地域移行」。これまで学校の教員が指導していた部活動を地域のスポーツクラブなどに担ってもらおうというのです。
その目的は大きく2つあります。1つ目は、少子化が進む中でも継続して子どもたちにスポーツや文化活動に親しんでもらうことです。
近年、少子化の影響で団体競技に必要な生徒が集まらず、個人競技の部活に入らざるを得ないケースもあります。

2つ目は、教員の働き方改革を進めることです。中学校の教員の中には、専門外の競技の顧問を務めている場合もあります。
日々の教材研究に加えて、競技の勉強もすることになり、負担になっています。

子どもたちから好評 

高知県内の「地域移行」はどこまで進んでいるのでしょうか。昨年度、国の実証事業に選ばれた西部の土佐清水市にある清水中学校を訪ねました。

この学校では、バドミントン部と硬式テニス部の指導を地域のスポーツクラブが担っています。

専門的な指導を継続して受けられるため、生徒たちからは好評です。

テニス部
生徒

小学6年生の時からこのスポーツクラブで練習していますが、同じ指導者に引き続き教えてもらえるのは、練習することが定まっていていいです。

硬式テニスを指導するのは・・・

硬式テニス部の指導にあたるのは宮本海帆さんです。

このスポーツクラブでコーチを務めています。
平日を含め週5回、学校近くのテニス場で生徒を指導しています。
宮本さんは、これまでもボランティアで生徒を指導していましたが、今回の実証事業で月におよそ4万円の指導料が支払われるようになりました。

宮本さん

仕事終わりで大変なときもありますが、コートに来て生徒たちと会うと、疲れも吹き飛ぶので、毎回の練習で教えるのが楽しいです。
ボランティアの時よりも責任が重くなるので、部員それぞれの目標を達成するために、自分の時間を割いてでも力になりたいです。

教員にも変化?

教員の働き方にも変化が生まれました。
大会の引率や申し込みなどの必要がなくなり、授業の準備などに時間を割けるようになりました。

教員

放課後の部活動や土曜日に部活動に出ることがなくなったので、その時間を使って教材研究やふだん残っている作業ができるので負担の軽減になっています。
授業の中で子どもたちの力をつけたいというのが自分の信念なので、空いた時間を使ってよりよい授業を作っていくことが、大事なことだと思っています。

スクールバスに間に合わない・・・

地域への移行を進める中で、新たな課題も出てきています。
市内には中学校が1つしかないため、遠くに住んでいる生徒はスクールバスで通っています。

しかし、バトミントン部の練習があると、最終便に間に合わないため、途中で切り上げる生徒もいます。

バト部
生徒

バスの時間に間に合うように帰らないといけないので、
みんなより早めに帰っています。
できるなら長い時間、最後まで練習したいです。

保護者も協力

硬式テニス部も午後5時から7時まで活動しているため、バスに間に合いません。
このため、保護者が協力して、車で迎えに行きます。

テニス部
保護者

片道20分ぐらいかけて迎えに来ています。時間帯がちょうど夕方のバタバタする時間帯なので、大変です。
スクールバスが練習が終わる時間に対応してくれたら助かります。

指導者にも都合が・・・

一方、指導者の宮本さんも日中は、地元のNPO法人で働いているため、練習の時間を早めるのは難しいとしています。

宮本さん

いつも早めに仕事を終わらせてもらってるので、それ以上早めるのは厳しいです。
スクールバスの時間がうまく調整できるようになれば、子供たちの負担も減るのではないかと思います

市はどうする?

土佐清水市は、保護者の要望を受けて、今年度からバスのルートを一部変更しました。

ただ、練習時間に合わせてバスを運行するには、便を増やす必要があります。
しかし、1000万円以上の費用がかかるうえ、ドライバーの確保も必要となり、実現は難しいとしています。

岡﨑哲也 教育長

増便するとなると、財政的にはかなりな負担になります。
地域移行を進めるためには、地域の人たちにより関心を持ってもらい、地域全体で協力していくことが必要だと思います。
地域の子どもたちは地域全体で育てていくという意識を持ちたいですね。

「地域移行」を進めるためには

今回取材した土佐清水市のようにスポーツクラブなどの受け皿がある地域は恵まれた方で、受け皿を見つけるのが難しい地域の方がむしろ多いと思います。
受け皿が見つかっても、活動時間などをめぐって、指導者と学校や保護者との調整が課題となります。また、自治体が支援をしようとしても予算にも限りがあります。

このように、それぞれ事情がある中でどのように折り合いをつけていくのかが重要になります。そのためには「時に1人1人が少しずつ我慢していくこと」が必要だと思います。誰か1人に負担が集中してしまうと、決して「地域移行」は長続きしません。持続可能な部活動のために行う「地域移行」が途中でつまずいてしまっては本末転倒です。
「地域移行」を進めるためには「子どもたちを地域みんなで育てていく」という思いのもと、連携を密にしていくことが欠かせないのではないでしょうか。今後も継続して取材していきたいと思います。

  • 澄田謙人

    高知放送局 記者

    澄田謙人

    スポーツ・高知市政を中心に取材
    東京の中学校でサッカー部に入っていましたが、部員が11人集まらず練習試合では相手チームから助っとをもらっていました。その後、高校1年間はサッカー、大学3年間は陸上競技に打ち込みました。 

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