『らんまん』牧野博士が愛した桜 仙台から来た‘仙台屋’
- 2023年06月30日
『らんまん』で「仙石屋(せんごくや)」の桜が出てきました。万太郎(神木隆之介)にとっても祖母のタキ(松坂慶子)にとっても、思い出深い桜のようでした。
実は高知に牧野富太郎博士が愛した‘仙台屋’(せんだいや)という桜があります。どんな桜なのか取材してきました。
(高知放送局 キャスター 佐藤好)
高知名物の桜 なぜ‘仙台屋’?
訪れたのは、高知県立牧野植物園。園内で最も古い、樹齢60年以上の‘仙台屋’を、樹木医の藤井聖子さんに案内してもらいました。
毎年3月に見ごろを迎える‘仙台屋’。その華やかな姿は遠目からでも美しく、高知名物と称されるほどの桜です。
花びらの外側にかけて濃いピンクが広がる、特徴的な花を咲かせます。
でも、高知名物なのになぜ‘仙台屋’なんですか?
高知の中須賀で「仙台屋」という屋号で商売をしていた佐伯さんという方がいて、その方が郷里の仙台から連れてきた桜なんです。それで、屋号から取って‘仙台屋’と呼ばれるようになりました
この桜のルーツは仙台にあったんですね!実は私も仙台市出身です!
本当ですか!牧野博士が名付けたスエコザサも仙台で発見された植物ですし、高知と仙台は意外とつながりがあるんですよね!
仙台から来た植物が何十年も高知で愛されているなんて、私もうれしいです
牧野博士 ‘仙台屋’に特別な思い
桜をこよなく愛していた牧野博士。中でも‘仙台屋’には特別な思いがあったと言います。
牧野植物園の設立に尽力した武井近三郎さんに博士が宛てた手紙の中に、こんな記述がありました。
「高知市の中須賀町にセンダイヤザクラが今も残っておれば高知名物の桜にするべし」
高知名物にするべし…‘仙台屋’に魅了されていた様子が伝わります
牧野博士は、東京都練馬区の終(つい)の住まい(現在の練馬区立牧野記念庭園)にも‘仙台屋’を植えていました。桜が大好きだったのでいろいろな種類を植えたかったと思いますが、おそらくスペースの関係で厳選していて、その中の1つが‘仙台屋’。それほど思い出深い桜だったのではないでしょうか
博士の意思継ぎ ‘仙台屋’を守る
牧野植物園には30本近い‘仙台屋’があります。中には台風の影響などで傷んでしまった木もありますが、植物園はこれからも博士の思いを受け継ぎ、‘仙台屋’を守り続けたいとしています。
仙台から来た‘仙台屋’ですが、花が大きく、濃いピンクをまとう姿には、土佐の雰囲気が出ていると思うんです。牧野博士が「名物にするべし」といった桜なので、これからもずっと高知の名物として、高知の皆さんのシンボルツリーとして、大切に残していきたいです
私も同じ仙台から来た身として、‘仙台屋’が高知で元気に生き続けることを期待しています。今度は開花した姿も見に来ます!
ぜひ、お待ちしています!