海辺に自生する植物
- 2023年06月06日
梅雨が明ければ、いよいよ夏も本番!太平洋に面した高知県は海辺の植物も豊富です。牧野富太郎博士も足を運んだ桂浜を訪ね、そこに自生する植物を取材しました。
(高知放送局 五十嵐優衣)
高知を代表する景勝地「桂浜」
雄大な太平洋を臨む高知市の桂浜は、県内屈指の景勝地として高い人気を誇ります。
現在ここで見られる植物は20種類以上。ここにも牧野博士が訪れた記録が残っています。
案内してくれるのは、土佐観光ガイドボランティア協会の重岡政人さんです。
重岡政人さん
「牧野富太郎博士は、昭和9年8月1日に150人ぐらいのグループと、ここで植物の採集をしたという記録があります」
牧野博士は72歳の頃、桂浜で植物採集会を行いました。その植物は今もここで見ることができます。
牧野博士が大好きだった植物
まずは、牧野博士が大好きだったという植物を見せてくれました。アコウの木です。
アコウは県内では足摺岬や室戸岬でも見られます。イチジクに似た甘い実を付け、それを食べた動物が実を落とし、このような場所で成長したそうです。
海辺に自生する植物は、潮風や強い直射日光などの過酷な環境でも生きるために独特な特徴が見られます。例えば、アコウの木は表面に張り出した根が印象的です。
気根と呼ばれる無数の根が、強い風から樹木を支えるのに役立っています。また、他の植物に当たる日光を遮るため別名“絞め殺しの木”とも呼ばれています。
重岡政人さん
「牧野博士はアコウの木を大変気に入っていたので、高知の五台山の近辺でもアコウの森を作りたいという気持ちがありました」
初夏に見ごろのハマヒルガオ
さらに、浜辺を歩いていると、見覚えのある花が見ごろを迎えていました。
ハマヒルガオです。見たことがある人も多いのではないでしょうか。海辺の砂浜に生える代表的な植物で初夏に花を咲かせます。牧野博士もここで観察したそうです。
道ばたや野原に咲くヒルガオとの違い、みなさんは分かりますか?
ヒルガオは葉の形がスペードの形になっているのに比べ、ハマヒルガオはハート型になっているんです。
比べてみるとおもしろいですよね。
牧野博士も採集したハマグルマ
続いて紹介してくれたのは、岩にへばりつくように咲いている黄色い花です。
こちらは、ハマグルマです。主に海岸沿いの砂浜や海辺に自生しています。少し変わった別名があるそうです。
「触ってみてください」
「ザラザラしていますね」
「別名”ネコノシタ”(猫の舌)」
葉の両面にかたい毛が生えていて、ザラザラとした感触があります。これが猫の舌のようであることからこの別名が付いたそうです。葉には多くの水分を蓄えていて、暑さに強い植物です。
重岡政人さん
「桂浜ではここでしか見ることができないんです。牧野博士が昭和9年に採集に来たときはいっぱい採集した記録があるんですが、今はここだけです」
牧野博士も採集した桂浜の植物。その独特な特徴を観察してみるのも、おもしろいかもしれません。