"絵金"が描いた花鳥風月
- 2023年04月03日
幕末の土佐藩で活躍した絵師・金蔵、通称「絵金」が花鳥風月を描いた作品を紹介する企画展が高知県香南市で開かれています。どのような企画展なのでしょうか。
“絵金”とは?
「絵金」は、幕末から明治初期にかけて活躍した絵師・金蔵の通称です。「絵金」は歌舞伎や浄瑠璃の名場面を描いた芝居絵が有名なことで知られています。「血赤」と呼ばれる濃い赤い色を使い、「異時同図法」と飛ばれる異なる場面を1枚に描く作風が特徴です。「絵金」の芝居絵は二つ折りのびょうぶに歌舞伎などの名場面を描いた「芝居絵びょうぶ」などがあり、高知県内を中心におよそ200点が残っています。
おどろおどろしいだけが“絵金”じゃない!
「絵金」が描いたのは、芝居絵だけではありません。植物や自然の美しい景色を描いた作品も残しています。高知県香南市にある展示施設「絵金蔵」では2023年の3月28日から7月2日まで「絵金」が描いた「花鳥風月」の作品5点が展示する企画展が開かれています。
「てっせんと小鳥」は、墨の濃淡を使って描いた白描画です。鳥が好きだったという「絵金」。子鳥の名前は明らかになっていません。躍動感のある筆遣いで小鳥を描く一方、てっせんが風になびく様子を優しい筆遣いで表現しています。
高知県須崎市の民家にあったというふすま絵の「山荘秋景図」は秋の紅葉のさびしく、はかない情景が描かれていて絵金の多彩な表現が感じられます。
絵金は、おどろおどろしい芝居絵のイメージが強いと思うが、それ以外にも季節の美しい情景の作品や、植物や鳥の白描画も描いている。
鳥だったら飛んでいる様子が伝わるように描き、植物だったら風に吹かれている様子を描いているので、そういった絵金の画力の高さも見てもらいたい。
“絵金”の作品を見たい!
「絵金」の作品をもっと見てみたいという方に朗報です。「絵金」の作品を一堂に集めた展示会が2023年4月22日から6月18日まで大阪・阿倍野区のあべのハルカス美術館で開かれます。高知県以外では半世紀ぶりに大規模な企画展になるそうです。「絵金蔵」に保管されている作品はもちろん、高知市の朝倉神社に保管されている作品などが3部構成で展示されています。ぜひこの機会に「絵金」の作品をご覧になってはいかがでしょうか?