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相次ぐシラスウナギ漁での水難事故

~大潮にご用心~
  • 2023年03月23日

シラスウナギ漁で水難事故相次ぐ ~大潮にご用心~

今年に入って相次ぐ、シラスウナギ漁での水難事故。
事故当日の潮の満ち干には、いずれもとある共通点がありました。

(高知放送局 記者 園田孝一郎)

シラスウナギの漁をしていた複数人が流された!

ことし2月22日の午後9時ごろ、高知海上保安部から、
「仁淀川の河口付近で複数の大人が流されている」という情報がNHK高知放送局に入りました。
現場で取材を進めたところ、沖合に流されたのは
ウナギの稚魚、シラスウナギ漁をしていた男性5人ということが分かりました。

仁淀川河口のシラスウナギ

高知市と土佐市の間を流れる仁淀川の河口付近は、
県内有数のシラスウナギ漁の漁場となっています。
漁は主に海水と淡水が混じり合う河口付近で行われるため、
岸から遠く離れて漁をすることはほとんどないといいます。
漁を行っていた男性たちに一体何が起きたのでしょうか?
 

自力で陸まで泳いで戻った男性
「流された仲間は引き潮で帰ってこれなくなった」

目撃者の男性
「潮が外に流れていく引き潮の時間帯に海へ入っていった」

※その後、男性たちは沖合900メートル付近で全員無事救助。

海での活動に慣れた人ですらも流されてしまうこの引き潮、
実はただの引き潮ではなかったんです。
 

強い引き潮を生む大潮にご用心

水難事故防止への啓発チラシ(提供:高知海上保安部)

今年1月中旬にシラスウナギ漁が解禁されて以降、
シラスウナギ漁の水難事故は、すでに3回も発生しています。
高知海上保安部が原因を調査したところ、事故があった日には
いずれも「大潮」という共通点がありました。
 

大潮の時期は満潮と干潮の差が激しくなり、
通常よりも強い引き潮が発生します。

これを受け、高知海上保安部は大潮の日に合わせて
シラスウナギ漁を行う人たちに注意を呼びかける啓発活動を行っています。

高知海上保安部交通課 中渡瀬 真也課長
「今日は大潮なので河口付近の引き潮が強くなります。
 漁を行う日は事前に天気だけでなく、
 潮せきもしっかりと把握するようにしてください」

地元の漁師の男性
「ベテランの漁師は、大潮の日には絶対沖合には出ないです。
 このあたりの波に詳しくない若い人が多く流されているように感じます。
 私も岸から離れて漁を行わないよう、改めて気をつけます」

もし海で流されてしまったら?


こうした引き潮の危険性は、シラスウナギ漁だけではありません。
春から夏にかけて、釣りや潮干狩りなどで海で遊ぶ機会も増えてきます。
もし、引き潮に流されてしまったらどうすれば良いのでしょうか?
 

高知海上保安部交通課 中渡瀬 真也課長

「漁やマリンレジャー問わず、海で活動する際には必ずライフジャケットの着用と
 防水ケースに入れた携帯電話の携行をお願いします。
 流された時は体力を消耗しないよう、流れに逆らって泳がないことと
 パニックになって海水を飲まないことがとても大切です。
 そして、流れが落ち着いたら118番(海上保安庁への緊急ダイヤル)に電話して
 救助を要請してください。」

温かくなるこれからの季節、マリンレジャーを楽しむ前に
少しだけ海の危険性について話し合ってみてはいかがでしょうか?

  • 園田孝一郎

    高知放送局 記者

    園田孝一郎

    2017年入局
    司法・警察を中心に取材
    ウナギは蒸さずに焼く
    関西風派です。


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