サポーターと一緒にフレイル予防 全国に広がる健康長寿をめざす取り組み

更新日

セルフケア・対処やせてきた食欲がない口がおかしい物忘れをする意欲の低下脳・神経足・脚全身こころ

健康寿命とフレイル

男女別の平均寿命と健康寿命

健康上の問題がなく日常生活を支障なく送れる期間「健康寿命」。最新データでは男性72.7歳、女性75.4歳です(厚生労働省 2019年)。徐々に延びてきましたが、平均寿命との差はまだ大きく、男性で8.7年、女性で12.1年あります。

健康寿命と大きく関係しているフレイル

健康寿命に大きく関係するのが「フレイル」です。フレイルとは加齢などによって心身の機能が低下した状態です。そのまま放置すると要介護状態に進んでしまいます。しかしフレイルの段階できっちり対策をすれば、要介護になるのを先延ばしでき、健康な状態へと戻ることもできます。

全国に広がる「フレイルサポーター」

フレイル予防に取り組んでいる自治体

東京大学教授の飯島勝矢さんは、全国の市区町村に呼びかけて「フレイルサポーター」という取り組みを進めています。フレイルサポーターは講習を受けて認定され、住民のフレイルをチェックするなどさまざまな活動を主体的に実施します。サポーターもチェックを受ける住民と同じ65歳以上です。これまでに80を超える自治体でフレイルサポーターが結成されています。

指輪っかテストでフレイルチェック
ふくらはぎ周りをはかってフレイルチェック

こちらは西東京市のフレイルサポーター。定期的に住民に集まってもらいフレイルをチェックしている様子です。筋肉の不足を調べる「指輪っかテスト」「握力」「片足立ち上がり」などの測定や、質問票による「栄養・運動・社会活動」のチェックを次々に行います。

西東京市のフレイルサポーターが行っている「片足立ち上がり」

参加した住民は「あの世に行くまで自立した生活をしたくて参加しました」「同じ年齢でこうした方(サポーター)もいるんですね」などと話しています。サポーターの一人は「この活動が生きがいです。皆さんにフレイル対策を呼びかけるからには、自分もしっかりウォーキングなどをしなければと頑張っています」と話しています。

親近感・独自のアイデア

参加者にとってフレイルサポーターは同じシニア世代。親近感が生まれ、わきあいあいの雰囲気の中でフレイルへの意識を高めることができます。「専門家が知識を教える」やり方とは違います。

フレイルのチェックだけでなく、サポーターが考案した独自の活動もよく行われます。たとえば、和歌山県紀の川市のフレイルサポーターは、たんぱく質たっぷりの健康メニューを作って広める活動をしています。(下の写真)

独自のフレイル予防を行う和歌山県紀の川市の活動

誰かと一緒にフレイル対策を

フレイルサポーターの活動に限らず、フレイル対策は誰かと一緒に取り組むことがコツです。みんなで励まし合ったり成果を確認し合ったりすることが継続につながります。

たとえば、仲間たちが集まってカラオケに出かけて行き大きな声で歌うこともフレイル対策になります。その際、カラオケが月1回なら週1回に増やしてみましょう(感染予防には注意しつつ)。また、カラオケの後にはレストランなどに行って栄養の良いものをしっかり食べて楽しく語り合いましょう。健康長寿のヒントは身近なところにあるのです。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2022年4月 号に掲載されています。

きょうの健康テキスト
テキストのご案内
※品切れの際はご容赦ください。
購入をご希望の方は書店かNHK出版お客様注文センター
0570-000-321 まで
くわしくはこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    延ばそう!健康寿命「フレイル予防 全国の現場」