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「なぜ女装するの?」ブルボンヌさんがSOGIEを解説

コスプレアナウンサーと女装パフォーマーが「女装」を徹底的に語るインタビュー
  • 2022年09月21日

「ブルボンヌさんは女性になりたくて女装しているんですか?」
「女装の方と出会ったときに、どう反応するのがいいですか?」
そんな率直な質問を、女装パフォーマーのブルボンヌさんに、自分自身はコスプレが趣味である松岡忠幸アナウンサーがぶつけました。
そして、教えてもらった「SOGIE」というキーワード。決してかんたんではない考え方を、ブルボンヌさんがとても分かりやすく説明してくれました。

2022年9月21日に「かがのとイブニング」で放送したインタビューです。

先週の金曜日からきのうまで、金沢プライドウィークでした。
性の多様性への理解などを訴える様々な催しが行われました。
そこにスペシャルゲストとして参加した女装パフォーマーのブルボンヌさんに、きょうはスタジオにお越しいただいています!

石川県のみなさん、こんばんは。
女装パフォーマーのブルボンヌです♪
よろしくお願いします。

よろしくお願いいたします。
金沢プライドウィークが去年に続いて2回目の開催、そしてブルボンヌさんも去年に続いて2回目の参加。
金沢の街を実際に歩いて、どんなことを感じました?

「まだ少し保守的なところもある」とうかがっていたんですけれど、いざフロートに乗って練り歩いてみると、いろんな方たちが笑顔で手をふってくれました♪
わかって来てくださっている方たちはもちろん、通りかかった人も「おもしろそう♪」みたいな反応をしてくださって、何だかどんどん受け入れられている気がします♪

重ねていく、続けていくことの価値なのかもしれないですね。
ブルボンヌさんに、個人的にうかがいたいことがあります。
実は、私はコスプレイヤーなんです。

松岡アナウンサーのコスプレ姿

これは、イケメン金髪のバーナビー・ブルックスJr.というキャラクターのコスプレです。

あら、『TIGER & BUNNY』ね。
私もまぁまぁアニヲタですので♪

私はキャラクターになりたくてコスプレしているんですけども、女装パフォーマーのブルボンヌさんは、女性になりたくて女装しているんですか?

うわっ!深い質問!
じゃあ、そのあたりを分かっていただくために表をお持ちしたので、見ていただいていいですか?

人には、性にまつわる"ゲームのパラメーター"のようなものがあると考えてください。
"性的指向"というのは、恋愛や欲求の対象のこと。
"性自認"は、自分が自分の性別をどう思うかってこと。
最後に、"ジェンダー表現"
SDGsでも話題になっている"ジェンダー"って、社会が与えた性差のことなんです。世の中が思う、「これって男性のものでしょ、女性のものでしょ」というもの。
私は、"ジェンダー表現"が、子どもの頃からいわゆる「女っぽいな」という女性性をもっていて、大人になってステージの上で、"パートタイム"で女性性をどっかーんと圧縮、爆発させた表現が、こういった"派手な女装"のパフォーマンスなんですよ。

ちょっと驚いたのが、ブルボンヌさんの"性自認"についてです。
今、女装は"パートタイム"とおっしゃいました。
ブルボンヌさんの"性自認"は、"男性"なんですね!

そうなんです。私、お仕事の時以外、おうちでは、ゆるい男性の服装で、無精ひげ生やして。30年ほど連れ添っている同性のパートナーの前では、一人称「俺」だったりして。
なんか、人っていろんな顔を持ってるよね♪

私は"性自認"と"ジェンダー表現"って一致するものだと思い込んでいました。必ずしもそうじゃないと、今教えていただいて、ひとつスッキリしたことがあります。
今までもやもやしていたのが、「女装の方と出会ったときに、どう反応するか?」ということです。違和感を覚えたとしても、相手に伝わらないようにするのがマナーだと思っています。だけど、ブルボンヌさんは違和感をむしろ与えにきているよなぁと感じているんです。
そこの、「女装をどう受け止めて欲しいか?」も、本当に人それぞれなんですね。

そうですね。私たちはわざとそこを強調して、世の中が思う男性的なこと女性的なことってなんだろうね?というのを、あえて疑問に思ってもらうためにやっている表現がルーツなんです。"ドラァグクイーン"なんて世界的に言われている表現です。主にゲイの男性が、世の中が思う女性性をデフォルメしたモンスターみたいになって突き付ける。
だけど、普通に女性として生きている方は、わざわざ目立ちたくないという方もいるし。
そこは、本当に人それぞれですね。

"性自認"も女性で、だから女性の姿をしているだけという方は、そこはそんなに気付かれたくない、普通に受け入れて欲しいということですよね。

「埋没したい」という気持ちの方も、いっぱいいらっしゃいますよね。

そういうことをうかがっていて、これまたコスプレイヤーとして思い出すことがあります。特に昔は、地方のコスプレイベントって、たいてい女装コスプレ禁止だったんです。

あら、寂しい。

私も寂しいと思って、どうしてですか?と聞いたら、
「不快に思う方がいるから。」と言うんです。
女装の受け止めが上手にできない人も、やっぱりいると思うんです。そういう方には、ブルボンヌさんはどういう風に声をかけますか?

例えば、"露出"みたいなことになってくると、やっぱりTPOってとても大事だと思うんです。
だけど、服装をチョイスするという意味で、「なぜ生物学的な性に絶対紐づけなきゃいけないのか?」というところで言うと、「他人が変に思うからダメだぞ」というより、やっぱりご本人が一番生き生きと着たいものを着て、「あなたはそういうチョイスなのね。」とお互い思いあえる方が、お互いを縛りあって不自由にするよりは、楽しいのかな、楽なのかなと私は思いますね。

不快に思う気持ちにも、きっと何かがあるんでしょうけどね。

いわゆる"常識"というものがあって。
でも、それって時によって変化するんですけどね。

そういったところって、"慣れ"も必要なのかなと思います。
2回目となった金沢プライドウィーク。会場にお越しいただいたみなさんから、いろいろとメッセージをNHKで集めたんです。
いくつか紹介しましょう。
「北陸信越も帰れる故郷に!」

北陸信越も帰れる故郷に!

深い...。今は帰りづらいってことよね...。

「昨日より今日、今日より明日、生きやすくしてく...!」

一歩、一歩で。
本当に、時代によって常識も文化も変わっていきますからね。

ただ、こうやって世の中が背中を押してくれていると逆に、生きづらさをまだ周りに言えていないことに、後ろめたさを感じちゃう人もいるのかなと思ったりするんです。
そういう、石川県の、生きづらさを抱えている人に、最後にブルボンヌさんからエールをお願いします。

どうしても、メディアに出るのは、こういうちょっと奇抜な人が多いです。でも、実はアンケートなどでも、当事者の8割以上は、周りの誰にも自分の本当の思い、姿を言えていないという現実もあるんです。そういう意味では、今、言えていないということは、全然普通です。
ただ、"正直になった自分"らしく生きたことで、本当に「世界が開けた」という思いでいらっしゃる方もいっぱいいるんです。
だから、もしも自分の人生、自分らしく生きたいなと思った時には、いろんな所、サイトとか見ていただければ、勇気づけられるメッセージや情報がいっぱいあると思います。
私は、「自分を好き」な人がいっぱい増えてくれたらいいなと思います。

メッセージ、届いたと思います。
ブルボンヌさんでした!

ありがとうございました!石川県大好き♪

  • 松岡忠幸

    NHK金沢 アナウンサー

    松岡忠幸

    出身地 長崎県長崎市
    単身赴任生活3年目に突入しました。
    毎日、基本的に三食自炊を続けています。

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