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ローカルフレンズ南大隅町編① 情熱のミニトマト

  • 2023年07月28日

    ローカルフレンズ鹿児島、初回の放送は南大隅町から!

    町唯一のミニトマト農家・田淵格さん。一度はふるさとを離れ、家族への思いを胸に南大隅町に戻ってきました。田淵さんが作るミニトマトには、その人生がぎゅっと詰まっています。

    鹿児島局ディレクター 赤﨑英記

    自撮りに慣れない40歳

    皆さんこんにちは。NHK鹿児島放送局ディレクターの赤﨑英記、鹿児島生まれ鹿児島育ちの40歳です。ローカルフレンズ第一弾を迎えるにあたり、自己紹介用に絶景ポイントで動画を撮ろうと思いましたが、どうも自撮りに慣れません。こんな表情でごめんなさい!

    本土最南端南大隅町からスタートするローカルフレンズ鹿児島。母が垂水市出身で、墓参りなど年に数回は大隅半島に通っていますが、正直南端である南大隅町にはほとんど訪れたことはありません。だからこそ、新しい出会いと発見があるはず!期待に胸はずみます。

    フレンズさんのもとへ出向く道中、1件の神社を発見。 根占川南にある諏訪神社です。お宮参りや七五三など、地域の人々が暮らしの節目に足を運ぶ神社なんだとか。これからの旅の安全を祈願します。

     

    今回の「ローカルフレンズ」は・・・

    さて、今回2週間にわたり南大隅町編を案内してくれるローカルフレンズ、梅木涼子(うめき・りょうこ)さんです。梅木さんはご家族と本業である農機具店を営む傍ら、都市部の学生と町をつなぐ活動をするNPO法人「風と土の学び舎」の代表を務めています。 これまで、母校である東京農業大学の学生など、延べ700人ほどの、留学生を受け入れてきたそうです。そのほか、地域の魅力を発信するフリーペーパーを作るなど、忙しい日々を過ごしています。

    梅木さんは福岡県の出身。東京農業大学で農業を学び、海外を含め様々な場所で実習を通じて学んできました。その中で南大隅町を訪れ、卒業後この町に移住することを決めたそうです。

     

    梅木さん

    懐が広いというか、あったかい。てげてげでいいのよって。救われました。東京では失敗は許されないとか、人に迷惑をかけられないとかって意識だけど、でもこちらに来ると逆。世話になってなんぼだよって言ってくれるんです。

    今回の2週間に渡る滞在、梅木さんは「ありのままの日常」をテーマに計画を練ってくださいました。滞在先の多くが農家さんです。南大隅町は一年を通して霜が見られない「無霜(むそう)地帯」で多種多様な作物の農家さんがいらっしゃいます。そんな皆さんの日常を通じて、地域の宝を探したいと思います!

    「農家にお手伝いに行くときは、帽子、長袖、長ズボンで行ってくださいね!体力勝負ですので、そのつもりで!」

    町唯一のミニトマト専業農家

    「この町は恩人だらけ」と話す梅木さん。その一人と紹介されたのが、ミニトマトの農家さん。大学卒業後、梅木さんが南大隅町に移住して最初の就職先なんだそう。いまは、2代目の田淵格(たぶち・いたる)さん(35)が代表を務めています。

    到着したのは、ちょうど10時前。来て早々、早朝8時から働いているみなさんのお茶休憩に混ぜていただくという図々しい展開になりました。恐縮です・・・。

    田淵さんは、町内2か所(根占・佐多)の農場でミニトマトを栽培。鹿児島県内や、関東のスーパー、全国展開するハンバーグレストランチェーンなどに年間80トンを出荷しています。(1つ10gほどとして、800万個!) 南大隅町はミニトマトの一大産地?かと思いきや、実は専業農家は、田淵さんだけなんです。

    私も「摘葉(てきよう)」という作業を手伝わせてもらうことに。

    これから成長するトマトにより多くの栄養を届けるため、ある程度熟したトマトの周りの葉っぱを摘む作業なのですが、複雑に入り組んだ茎はなかなか見分けがつきません。私はほぼ戦力になりませんでした。

    収穫されたミニトマトは、割れたものや規格外の大きさの果実を取り除き、サイズ別に箱に詰められていきます。ここでもほとんどが手作業です。

    私は出荷用の段ボール作りを手伝わせていただきました。(やっとお役に立てたかも・・・)

    家族のために・・・決めた就農

    お昼休み。田淵さんご夫妻に昼食に誘っていただきました。田淵さんと妻・里帆さん(30)は、愛知県で出会いました。

    妻・里帆さん(左)と 格さん(右)

     

    格さん

    田舎が嫌いで、農業にも魅力を感じなかった。地元から1ミリでも遠い所へ行きたくて、高校卒業後すぐに愛知県で就職しました。

    愛知の職場で知り合った里帆さんと結婚。長男稜晟(りょうせい)さんと3人で幸せな生活を愛知で送っていましたが、その生活に転機が訪れます。

    格さん

    長男の病気がきっかけで鹿児島に帰ろうって。白血病だったんです。私は当時夜の仕事だったのですが、夜の職場と昼の病院を行き来する毎日でした。

    闘病や子育てに少しでも良い環境をと、南大隅に帰って、家業のミニトマト農家を継ぐことを決意した田淵さん。今は、稜晟さんの病状も落ち着き、充実した日々を送っています。

    写真中央 長男 稜晟(りょうせい)さん
    里帆さん

    こっちに来て、息子の人柄も変わった気がする。自分から話に行くことはない、おとなしい子だったんだけど、今は元気すぎて困るぐらい

    父が始めたミニトマト農家を継ぎ、家に帰れば3人の子育てにと充実した日々を送っている格さん。一度は離れた南大隅町に思いがけない形で戻ってきて7年。「今思うと帰ってきて本当によかった。」と笑顔で話す姿が印象的でした。 そして帰り際、「お土産に」とミニトマトをいただきました。

    格さん

    うちのオリジナル品種。甘味が強くて、皮が薄いミニトマトで、子どもたちにも好評なんですよ。

    夕食に、そして編集中のおやつにいただきました。 田淵さん一家の人生がぎゅっと詰まったような、果物のように甘くおいしいトマトでした。

     

      • 赤﨑英記

        鹿児島放送局ディレクター

        赤﨑英記

        生まれも育ちも鹿児島の2児の父。
        地元民放で送受信技術を担当後、 ディレクターとして、鹿児島の魅力を県内外に発信する職人やアーティストなどを取材。 2021年入局。

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