悔しさバネにはい上がったエース 出水中央高校駅伝部
- 2022年12月24日
冬の京都を高校生ランナーが駆け抜ける全国高校駅伝が12月25日に行われます。男子は出水中央が2年連続で出場。去年けがで出場できなかった池田結楽(ゆうが)選手がエースにまではい上がってきました。
(鹿児島局記者 松尾誠悟)
ベストタイムを大幅に更新
初出場の去年に続き、2年連続出場の出水中央。ことしは、去年の記録を1秒でも、上回ることを目標にしています。エースは、3年生の池田結楽選手です。これまで全国高校総体の出場はありませんが、ことし5000メートルのベストタイムを36秒更新するなど急成長した選手です。
「速い選手と自分がどれだけやれるかっていうのがいま一番楽しみにしていることなので、ひるまずにどんどん前を追っていきたい」。
1年前の悔しさが原動力
県大会では4区でたすきを受け、大きくリードを広げる走りを見せました。2位とおよそ50秒差をつけて区間賞を獲得。たすきを渡すまであきらめない走りで、連覇の立役者となりました。
粘りの走りは1年前の悔しさが原動力となっています。池田選手は、去年メンバー入りしながらも、大会直前の足のけがで都大路を走ることができなかったのです。
「自分が走れない中、やっぱりサポートに徹しようっていう気持ちでした。でも、自分がけがをしてほかの選手が走ってるのを見てると、楽しそうだなって一番は思いました」
トラック外で人知れず努力
心がけたのは練習以外の時間の過ごし方でした。練習が終わってほかの選手がいないなか、向かったのは階段です。上り坂を走ることをイメージし、太ももの筋肉を鍛えることが狙いの階段トレーニング。上体をまっすぐにして行うことで、効率のよいフォームの確認につながりました。
池田選手はこうしたトラックの外でも人知れず努力を重ねてきました。今ではチームで一番速いタイムで走り、練習も引っ張ります。
「人よりやらないと人よりも伸びないので、プラスアルファっていうのは自分が成長する上で大事だと思うので、練習はできるだけ先生が言われたタイムよりも速くいこう。言われた周よりも多くだったり、練習後のケアというのも徹底して行ってきました」
玉目隆博監督も池田選手が予想を上回る急成長を遂げてくれたと感じています。
「全国大会に出場しているような子が抜けて、彼らに匹敵するような力をつけてきたのが池田結楽です。大好きだったゲームを抑えて、陸上競技にみずから集中するようなことに身を置いてくれたことがいまの結果を引き出しているのかなと思います」
都大路にエースとして立つ
去年、走れなかった冬の都大路にエースとして立ちます。チームの目標を達成するためにも、上位を狙う走りで成長した姿を見せたいと考えています。
「気持ちは区間賞をとるぐらいの気持ちで、先頭の集団に食らいついていこうと思っています。自分より持ちタイムが速い選手にも負けずに、鹿児島のなかでもこんな風に戦えるってことをほかの選手だったり、地域の方たちに見せたい」
取材後記
県大会の中継所でのたすき渡しで、ラストスパートが全力だったのが印象的で、ぜひ話を聞いてみたいと思っていた選手でした。
これまでは、1個上と1個下の学年に全国大会に出場するような速いタイムの選手がいて、練習に身が入らなかったという池田選手。ゲームや絵を描くことが好きで、陸上よりも趣味のほうに夢中になっていたそうです。1年前に走れなかった悔しさから、趣味の時間を控え、ラストイヤーにかけてきました。そんな思いが県大会のラストスパートに詰まっていたのだなと感じました。エースとして帰ってくる都大路で、集大成の走りを見せてくれると期待しています。