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卒業を控えた高校3年生が突如、応援団になった理由とは?

  • 2022年12月14日

ことし6月、徳之島の高校に卒業を控えた高校3年生が中心となって活動する応援団が誕生しました。なぜこの時期に?そこにはコロナ禍で過ごすことになってしまっている大切な高校生活への悔しさを抱える高校生たちの思いがありました。

(鹿児島局報道カメラマン 末廣航)

ことし6月に発足!応援団

鹿児島県徳之島

応援団が発足したのは鹿児島県本土から南におよそ450キロ、徳之島にある樟南第二高校です。
 

華麗な演舞や大きなかけ声で見る人を鼓舞する『樟南第二高校 応援団』。団員は18人。休み時間や放課後に活動しています。地域の催しと秋の体育祭での披露を目標にキレのある演舞を目指し練習に励んでいます。

コロナ禍の物足りなさ

応援団をまとめるのは団長の牧本健希さん3年生です。コロナ禍の高校生活に物足りなさを感じていました。

牧本健希さん
思ってたのと違う高校生活になってしまったので、青春できていなかったので本当に巻き返そうっていう気持ちでやってます。

コロナ禍の高校生活

入学以来、常に距離をとって、友達との会話は控えめにしてきました。行事やイベントは規模が縮小、そして何より楽しみにしていた修学旅行は中止になりました。行動制限がない「いま」少しだけでも高校生らしい青春を味わいたいと思っています。

青春を味わってほしい!

そんな牧本さんたち、生徒を間近で見てきた宝綾乃先生です。仲間とともに必死に取り組み、何かをやり遂げる経験をさせてあげたいと、ことし6月、応援団を立ち上げました。

宝綾乃先生
コロナ禍でいろんな制限、制約がある中で、私たちが当たり前に過ごしてきた高校時代とは全く違う時代を過ごしている。濃密な仲間との時間と場所を積極的に提供していく必要はあると感じました。

応援団誕生!

受験や就活が迫る3年生。思い出に残ることがしたいと練習に励んでいます。

男子部員
行事がなかったからさみしかった。

女子部員
悔しい思いをしていました。

牧本健希さん
コロナにこの大事な高校生活を潰されたくない。

演舞の最中に出すかけ声は距離をとりながら、心の底から大声で叫びます。ずっと大声を出せていなかったため、最初のうちは喉が開きませんでした。部員同士で演舞をひとつひとつ確認し合って、絆を深めてきました。

ついに祭りでお披露目

迎えた11月3日。3年ぶりに開催された祭りでみんなの思いを込めた演舞のお披露目です。緊張する部員たちを見かね、先生が声をかけました。

宝綾乃先生
ぜひ一番かっこいいところを見せてください。いまこの空気から自分たちの空気にしてください。集中力を高めて、自分たちの舞台なんだって思って演じてください。

応援団発足から5か月。初めての舞台です。動きが乱れぬよう全員で息を合わせて、4分間の演舞にすべてを出し切りました。訪れた人たちから大きな拍手が送られました。

訪れた人
コロナでなかなか思いどおりのことができないなかで、ああいう姿を見るとこっちも元気をもらった感じがしました。

牧本健希さん
本当に一番の思い出になりました。高校生活で1番の青春だったと思います。

宝綾乃先生
コロナ禍でこの応援団で達成感を味わえたのは、今後の人生においてずっと心の中で支えていくものになるんじゃないかなと思います。

取材後記

取材を終えて、コロナ禍を過ごす高校生たちの現状に胸がつまりそうになりました。私たちが過ごしてきた高校時代とはまったく異なる時代を過ごしている高校生たちと、どう接していけばいいのか。子どもたちの周囲にいる大人たちひとりひとりが考えなくてはいけないと感じました。

  • 末廣航

    NHK鹿児島放送局ニュースカメラマン 

    末廣航

    2013年入局 広島局→山口局・下関支局を経て3年前から鹿児島局  

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