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鹿児島県三島村竹島 日本一早く投票 島民の託した思いは

  • 2022年07月08日

7月10日に行われる参議院議員選挙。鹿児島県内には、全国でもっとも早く3日前倒しで繰り上げ投票が行われた自治体があります。離島の三島村や十島村、それに屋久島町の口永良部島です。島の人たちはどのような思いを票に託したのか現地で取材しました。

(鹿児島局記者 猪俣康太郎)

台風上陸 その日に村の職員は・・・

7月5日三島村役場

長崎県佐世保市付近に台風が上陸した今月5日。参議院議員選挙の「投票日」の5日前にもかかわらず、三島村役場では、投票箱を運ぶ職員の姿がありました。

準備を急ぐのには訳があります。3つの島におよそ380人が暮らす三島村。

ところが、開票作業が行われる村役場は鹿児島市にあります。悪天候などで島とのフェリーが欠航した場合、投票箱が届かず、開票できなくなってしまう恐れがあります。

このため、同じ離島の十島村などとともに、国政選挙では全国で最も早い3日繰り上げでの投票が認められているのです。

(三島村選挙管理委員会 
  宮田雄次書記長)
「うちの場合はですね、船が毎日出ていませんのでドキドキしながら船の気象を見ながら選挙事務の職員を派遣したりとかは毎回このような感じでしていますね」

実際、過去には、投票後に投票箱を県の防災ヘリで輸送してもらったこともあります。

この日も、台風4号の影響が心配されましたが、フェリーの運航が決まり、職員が投票箱を抱えて島へと出発しました。

投票に託した思いは

三島村竹島

およそ60人が暮らす三島村の竹島でも今月7日、全国で最も早く3日前倒しで投票が始まりました。

投票所となった島の施設には、午前7時の投票開始から次々と投票に訪れる人の姿がありました。小さな村だけに、住民の間では投票で声を届けなければいけないという意識が強いと言います。

「投票を棄権したことはまだないです。ここに50年住んでいますけど。ウクライナ情勢などで飼料が値上がりするので心配しています」

「島では高齢者ばかりが増えています。島のことを考えている人が当選してほしいです」

そして午後4時、投票は締め切られました。村の投票率は前回の参議院議員選挙を下回ったものの、速報値で、8割近くの人が票を投じました。

投票箱は再び海を越え開票所に

一夜明けた8日昼すぎ。竹島の港には投票箱を運ぶ人の姿がありました。投票箱は再びフェリーで鹿児島へと運ばれます。島の人たちは・・・。

「役場まで正確に届けてほしい」

「私たちの小さい村の1票が反映されれば一番いいこと」

往復4日かけて開票所へと向かう投票箱。海を越えて島民の思いを託した1票が運ばれました。

取材後記

離島という特殊な状況でどのように投票が行われているのか。開票所がある鹿児島と島との間を4日かけて往復する投票箱に密着しました。その中で見ることができたのは、投票という機会を活用し、自分たちの思いを政治に届けようとする島の人たちの姿でした。離島を含め県内の人たちがどのような思いを抱いているのか。常に自分に問いかけながら取材を進めていかなくてはならない。そのことを改めて思った取材でした。

  • 猪俣康太郎

    NHK鹿児島放送局

    猪俣康太郎

    2004年入局
    前橋局・函館局を経て
    ニュース7・おはよう日本
    ニュースウオッチ9で勤務
    現在は遊軍キャップ

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