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地方議員の“なり手不足”深刻化 現職5人引退の新十津川町では欠員回避 その一方で…

  • 2023年4月22日

地方議員の“なり手不足”は深刻です。そうした中、18日、北海道では統一地方選挙後半戦として100の町と村で議会議員選挙が告示されました。現職5人が引退の意向を示していた空知の新十津川町では欠員は回避され選挙戦に入りました。その一方で、1割を超えるあわせて11の町と村では立候補したのが定員に達しない「定員割れ」となりました。(NHK北海道選挙取材班)


”欠員を回避し、選挙戦に!”

人口およそ6300人の新十津川町。
ことし2月、町議会議員たちが作成した議会だよりには、こう記されていました。
「欠員を回避し、選挙戦に」
窮状を町民たちに訴えていたのです。

引退する1人、長谷川秀樹さん(72)は、米農家をしながら議員を20年務めてきました。
なぜ、議員たちみずから町民に危機感を伝えたのか。
長谷川さんは「1人欠員のままで4年間ということになると、議会そのものがぜい弱化するというか、住民と向き合う議員が減るということは、それだけ町政に、十分に住民の声が反映できないということにもつながっていく」と話します。

このため長谷川さんたち議員は町民との交流会を月2回以上開いて、議員活動に興味を持ってもらう取り組みを続けてきました。
欠員が出たり、無投票で決まったりするのではなく、選挙戦になることが町にとって大切だと考えています。
長谷川さんは「自分の思いなり、今までの活動が住民にどう理解されているかという部分の評価もできるし、無投票だったりすると、住民とどう向き合うのかというところで、やはりやりづらい部分が多い。だから、選挙戦はあるに越したことはないと思う」と選挙戦になることの大切さを訴えます。


新十津川町では選挙戦に

18日に告示された新十津川町の町議会議員選挙は定員11に対し、12人が立候補して選挙戦となりました。

選挙戦の実現を呼びかけてきた長谷川さんは「選挙戦を通じて住民の思いを得て、それを背景に議員活動ができることになるので、投票が行われることになり望ましい。届け出た候補者も年齢的に若く、世代交代をして若い人に新しい風を吹かせてもらいたい。これからの町づくりに向けて新しい発想を期待したい」と話していました。


全体の1割以上 「定員割れ」に

地方議員の“なり手不足”は深刻です。
18日、北海道で告示された100の町村議会議員選挙ではあわせて1038の定員に対し立候補したのは1105人。半数近い48の町と村では無投票となりました。
さらに、このうち11の町と村では立候補した人が定員に達しない「定員割れ」でした。「定員割れ」は前回、4年前の統一地方選挙に比べて7つ増え、全体の1割を超えていて、深刻な“なり手不足”の現状が浮き彫りとなりました。
18日午前の段階では立候補を届け出たのが定員に達せず「定員割れ」が危ぶまれていたところ、午後になって新たな立候補の届け出があり、結果、定員に候補者数が「追いついて」、無投票になったという自治体も複数ありました。

今回の「定員割れ」11町村(いずれも欠員1)
月形町・雨竜町・新篠津村・喜茂別町・木古内町・和寒町・下川町・初山別村・興部町・陸別町・厚岸町

前回・2019年の「定員割れ」4町村(浜中町は欠員2、以外は欠員1)
厚真町・興部町・中札内村・浜中町

オホーツク海側の興部町は、今回、前回よりも定員が1減りましたが、「定員割れ」が続きました。興部町では18日告示された町長選挙も無投票、前半戦で行われた道議会議員選挙も無投票でした。今回の統一地方選挙で有権者が投票できたのは知事選挙だけでした。

(追記)
23日に投票が行われる浜中町議会議員選挙は10の定員に対し12人が立候補していましたが、町の選挙管理委員会によりますと、このうち無所属の新人候補1人が死亡したということです。
これを受けて、選挙管理委員会は21日、公職選挙法の規定に基づいて補充立候補の受け付けを行いましたが、締め切りの午後5時までに新たに立候補を届け出た人はいませんでした。
これで、統一地方選挙後半戦で行われる道内100の町村議会議員選挙の候補者は1人減って、あわせて1038の定員に対し1104人となりました。


議員選挙 「市」でも無投票相次ぐ

地方議員の“なり手不足”は「市」でもみられます。
16日、北海道では26の市議会議員選挙が告示され、このうち室蘭市・夕張市・名寄市・登別市・北斗市の5つの市は無投票で当選が決まりました。
室蘭市選挙管理委員会によりますと、室蘭市で市議会議員選挙が無投票となったのは戦後初めてだということです。


全国20町村で「定員割れ」 その半数以上が北海道

統一地方選挙の後半戦のうち、18日告示された町村議員の選挙ではおよそ3割にあたる1250人が無投票で当選を決めました。このうち北海道や長野県などの20の町村では候補者が定員に満たず、「定員割れ」となりました。
総務省のまとめによりますと、18日告示された373の町村議会議員の選挙には、あわせて4126の定員に対し4563人が立候補しました。立候補者はこれまでで最も少なかった前回・4年前を212人下回り、過去最少となりました。
また、女性の候補者は前回より95人多い671人と立候補者全体の14.7%を占め、これまでで最も高い割合になりました。

一方、373の選挙のうち、123の町村では定員を超える立候補者がなく、無投票となりました。
無投票で当選した人はあわせて1250人で、定員全体の30.3%と、総務省に記録が残る1951年(昭和26年)以降で最も高い割合になりました。
さらに、北海道の11の町村や長野県の4つの村などあわせて20の町村では候補者が定員に満たず「定員割れ」となり、あわせて22人が欠員となりました。
「定員割れ」の選挙は前回から12増えています。


専門家「“なり手不足”は民主主義の危機」

地方自治に詳しい大正大学の江藤俊昭教授は「“なり手不足”は大きな問題だ。無投票当選では政策の論戦ができず、議員の固定化を招くという問題がある。民主主義の危機だ」と述べました。
そのうえで「“なり手不足”の要因としては、議員や議会の魅力が伝わっていないほか、報酬が低いことなどがある。また、女性は家庭生活との両立がしにくいということも挙げられる」と指摘しました。

そして、「もっとも大事なことは、議会や議員の魅力を住民に伝え『自分も議員になってみよう』と思ってもらうことだ。議会や議員が何をやっているかわからなければ、立候補しようと思わない。身近な問題をテーマにみんなで議論する空間をつくることで、立候補や投票についての関心を持ってもらいたい」と強調しました。
さらに議会のオンライン化や立候補休暇制度については、「オンライン化は介護や子育て中の人たちの負担を減らし、議会に参加できるようになるので効果的だ。立候補休暇は働いている人が立候補するうえで大事であり、議員をしながら仕事も続けられるような兼業のしかたも考えていく必要がある」と述べました。

2023年4月19日

 

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