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"サケの仲人"?!産卵の瞬間を公開

  • 2023年12月14日

標津町の標津サーモン科学館では毎年11月の1か月間、サケの産卵の瞬間を公開しています。その一瞬のために奮闘するスタッフの1日に密着しました。(中標津支局 原田未央)

9:30 科学館オープン

ひとつの水槽にオスとメス、1組のペア。いわばサケの「愛の巣」を作ります。

ペアの動きを注意深く見ているのは、副館長の西尾朋高さん。この日は3連休の初日、順調に産卵の準備が進むことを期待しています。

西尾朋高 副館長
「何とか午前中のうちにどちらか1回でも産んで欲しいですね」

11:00 サケの“お見合い”仕切り直し

しかし、オープンから1時間半。進展はみられません。メスの性格や気分、またはオスとの相性で産卵が進まないことがあるのです。西尾さんはメスを交換することにしました。

サーモン科学館ではオープンした1991年から産卵の瞬間を公開しています。30年あまりで得た経験や知識を生かし、産卵を予測します。1時間以内に産む可能性が高いことを告げる館内アナウンス「産卵予報」が勝負の時。アナウンスは9割以上の確率であたっています。

西尾朋高 副館長
「この産卵行動ってサケが4年をかけてこのために生きている。この産卵まで付き合って初めてサケの事やっとわかったなって言うのが個人の感想なので、それを少しでも皆さんに見てもらいたい」

13:00 “サケの仲人”観察力がポイント

開館当初からこれまで1000回もの産卵を見守ってきた市村政樹館長も様子を気にかけます。産卵はサケそれぞれの個性が大きく影響するため、観察力がポイントです。

市村館長
「さっきより相手を嫌ってはいないな」
西尾副館長
「午前中より全然マシだと思います」
市村館長
「気の強いメスだと性格、とことん気に入ったオスじゃないと嫌だって言う
 のがいるので」

13:30 ついに動きが

        オープンから4時間、ついにメスに動きが出てきました。
        卵を産むための「産室」作りが始まったのです。
        メスは尾びれを使って砂利をすり鉢状に掘っていきます。

メスはうまい具合に客に見えやすい水槽の手前を選びました。ここは実はスタッフたちが底から水が湧くように工夫しています。卵が酸素不足にならないよう水が湧き上がる場所で産卵するサケの習性を利用しています。

15:45 産卵予報発表

そして、いよいよ産卵予報発表の時が来ました。

館内アナウンス
「この後1時間以内に産卵する可能性が高い状態となっております」

15:55 待ちわびた瞬間

産室を完成させたメスが口を大きく開けると、オスはすかさず隣に寄り添い放精しました。その間わずか5秒。会場からは「おお」という声が上がりました。館内アナウンスから、わずか10分で産卵。今回も予報を当てることができました。

根室市の20代女性
「初めて見たので感動しました。
 メスはほんと応援したくなりましたね、がんばれって」

東川町の50代男性
「結構簡単にばーっと卵産んじゃうのかなあと思ったら、結構長い間こだわって、
 産卵場所を作ってたのが意外だった」

市村政樹 館長
「産卵行動をこれまで何回も見ていますけども、いつ見ても新しい発見がある。
 サケの不思議、神秘について触れていただければと思います」

取材後記

産卵を事前にアナウンスしてくれる施設は珍しく、サーモン科学館ならではのサービスだと思います。産卵の瞬間はもちろん、私としてはメスの動きをじっくり見るのがおすすめです。卵を産むための産室作りは、砂利を掘るだけではなく、卵の流出や外敵から防ぐためにこぶし大の石も集めなければいけません。何時間もそうした作業を続ける姿に母のたくましさを感じました。
ことしのサケの産卵の公開はもう終了。毎年11月の1か月間行われますので、ぜひ一度見てほしいと思います。


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