『道南ドキュメント7.2時間』#4 ~ 函館・緑の島は夏模様 ~
- 2023年7月26日
道南のとあるスポットを7時間ちょっと定点取材する『道南ドキュメント7.2時間』。 第4回の舞台は函館湾に浮かぶ「緑の島」です。観光地に囲まれた人工の島は市民の憩いの場となっています。夏といえば“恋の季節”ということで、訪れる人にとって「恋焦がれていること」もうかがってきました! (報告:NHK函館 藤原柊太)
7月23日(日)正午 取材開始この日の最高気温は29.3℃。
あまりの暑さに訪れる人が少ないのでは・・・という不安を抱えつつ緑の島へ。
さっそく釣りを楽しむ人たちと出会いました。
12:05 函館から「釣り」
(なにか釣れましたか)
「そうですね、サバとイワシがちょっとずつ。夜に少しでも食べられたらうれしいなと。一番うれしいのは夏になって釣りに通える季節になったことですよ」
(緑の島にはいつも来るんですか)
「7年ぐらい前に函館に引っ越してきてから毎年来てますよ。最初の年は全く釣れなかったんだけど最近ようやくコツがわかってきたかな~」
(緑の島はどんな存在ですか)
「ほんと憩いの場所です。じっくりというかのんびりできるんです」
12:30 北斗市から「凧あげ」
原っぱで空を眺めながら、ひとり佇む男性の姿が。
(きょうはどちらから)
「北斗市です。凧をあげにきたんですが、今はちょっと風が良くないんですよ。緑の島は昔から函館近辺のカイト愛好家が集う場所だったんです。風の予報を見て良ければ毎週のようにきています」
(凧あげはどんなところが楽しいですか)
「う~ん、自由自在に大空に向かって飛ばせることかな。難しい技がたくさんあってなかなかうまくいかないんだけど、この歳でも挑戦していれば少しずつできるんですよね」
(凧あげをしているときはどんな気持ちですか)
「まあ、無心ですよね」
13:30 苫小牧から「観光」
(ドキュメント7.2時間というロケをしていまして)
「あ~あれね!」
(ご存知でしたか、ありがとうございます!)
「函館には時々来るんですが、緑の島は3~4回目かな。港の中とかを一望できてなかなかいいかなって」
(マイニュースはありますか)
「う~ん、ちょっと前に17才の飼い猫が亡くなったことですね。多いときは5匹いたんですが、少しずつ減っていまは残り1匹になってしまいました。たぶん今の子がいなくなったら次は飼わないかな、猫の寿命より私たちの寿命のほうが先に来ちゃうんじゃないかと・・・」
13:55 函館から「スケボー」
緑の島には、芝生の広場の隣にアスファルト敷きの広大なスペースがあります。
そこでスケートボードを楽しむ男性にお話をうかがいました。
(スケートボードが趣味なんですか)
「そうです。冬はスノーボードをやってるんですがオフのトレーニングということで。週末は晴れてる限りなるべく来て練習してます」
(緑の島ってどんな場所ですか)
「不思議な場所ですよね。なんかフリーなスペースがたくさんあって、小さなこどもが自転車の練習したり、僕らみたいなのがスケボーしたり、いろんな人たちがたくさん来る場所だなって思います」
(緑の島で過ごす時間は)
「なんでしょう・・・なんか1週間のリセットじゃないですけど、ここでまったりして、よし来週もがんばるか!みたいな。ちょっとかっこよすぎですかね(笑)」
14:10 函館から「ウォーキング」
(きょうはなぜ緑の島に)
「週に1回ウォーキングをして、ここでおしゃべりをして帰るという感じで。1時間半ぐらい歩きました。ここは海とか船とかも見えるし、きょうは観光客多いね!なんてお話しながら、うちで家事をやってるときとは全然違った風景がいいんです」
(マイニュースはありますか)
「右の女性)う~ん、疲れやすくなったというか年々衰えを感じてることですかね」
「左の女性)私も今年の夏の暑さですごく体力が落ちたことを感じました」
14:35 函館から「釣り」
(きょうは釣りをしにきたんですか)
「天気のいい日はほぼ毎日来ています。やることないから(笑)昔よりは釣れなくなったよ」
(マイニュースはありますか)
「8月に4年ぶりに大分から息子が帰ってくる。コロナでなかなか会えなかったからね」
16:05 函館から「デート」
午後4時を過ぎても蒸し暑さが続く緑の島。水鉄砲をかけあう若い2人組がいました。
(水鉄砲をお持ちですが)
「きょうすごい暑いんで水鉄砲日和だなと思って(笑)」
(夏ってどんな季節ですか)
「女性)楽しい季節です、お祭りとか」
「男性)花火もいいですよね」
(夏といえば恋の季節とも言いますが・・・)
「男性)絶賛いまですね(笑)夏っす!夏っす!!」
(ありがとうございました)
「これもいい夏の思い出です!」
16:35 八雲町から「ツーリング」
3人の男性がバイクに乗ってやってきました。
「中央男性)八雲のほうからバイクできました。ちょっと知り合いに会いに」
(夏といえばなんですか)
「中央男性)夏といえばラーメンかな」
「右の男性)いやぁ夏といえばバイクでしょ!北海道では今しか乗れないので」
「左の男性)私もやっぱりバイクですね」
(ちなみに夏といえば恋の季節といいますが)
「右の男性)バイクに恋してます!」
「中央男性)わたしは妻に恋してます!」
17:25 北斗市から「釣り」
「北斗からです。緑の島には釣りで月1~2回は来てますよ。今きたばっかりなんですけど、まったく釣れないですね」
(緑の島で過ごす時間ってどんな感じですか)
「まぁちょっと息抜きというかリフレッシュ。僕はやっぱり竿を振ってるとき気分がいいので釣れなくても楽しいかなってのもあります」
(夏といえば恋の季節ですが)
「そうですね~釣りの道具でしょうか。道具は毎回手入れしてます。年に1回は何か欲しくなりますが、結構長く使うタイプなんです」
18:20 近所から「散歩」
日が暮れ少しだけ涼しくなってきたころ、夫婦と出会いました。
(きょうはどちらから)
「妻)すぐそこのマンション、毎日歩いてるんですよ。ここは鳥がたくさん来るし、植物もいっぱいあって、すごくいい所です。いろんな船が出入りするのを見ながらのんびりできるし、今はイカ釣り船が5時になったら出ていくでしょ、時報みたいなもんだね」
(マイニュースはありますか)
「妻)ニュース?まぁお父さんが歯医者に行ってて歯が痛いことかな(笑)週1回歯医者に通ってるんだけど私も付き添いしてるの。もうこれからはお互い老々介護だよ」
18:40 函館から「ランニング」
(緑の島でよく走ってるんですか)
「月1回ぐらいですかね、海を見ながら走りたいときに来ますよ。景色がいいですから」
(この夏楽しみにしていることはありますか)
「地元が青森なので、そこで甥っ子姪っ子たちと遊ぶのが楽しみですね」
(夏といえば恋の季節といいますが)
「はは、恋ですか?まぁ嫁さんとずっと仲良くいられたらというのが恋じゃないですかね」
(かっこいいです!いつまでもお幸せに~)
18:50 函館から「リフレッシュ」
取材終了時刻まで残り20分を切りました。海沿いを歩く女性にお話をうかがいました。
(なぜ緑の島にきたんですか)
「元町のほうでピアノを教えてるんですが、今レッスン終わりなんです。自分の気持ちをなんか整理したいときに大好きな緑の島をときどきお散歩して、新しいアイディアとかを求めて歩いてみたり・・・、ここに来るとまた新たな気持ちで頑張ろうとスッキリして帰れますね」
(夏といえば恋の季節といいますが)
「ピアノですかね、エアコンとかクーラーがなくてもがむしゃらに自分のピアノと向き合える瞬間はあります。汗だくで弾いてたり。学生のときは勢いだったり一生懸命自分の感情をぶつけるように弾いてたんですけど、今はこの歳でようやくひとつひとつの音を大事にしようって、豊かな音を追求しながら弾くことができてるので、そこに今恋してるというか夢中になってます。それを生徒に循環していければいいなと」
(緑の島は熱中した自分をリフレッシュさせてくれるんですね)
「それはあるかもしれないですし、新たなエネルギーをここでもらってまた前進しようというときに来たりしますね」
19:12 取材終了
【制作後記】
南に函館山、東に赤レンガ倉庫など北海道を代表する観光地に囲まれた緑の島。
ただ観光客はごくわずか。緑の島には映える洋館も飲食店もなく、あるのは広大なスペースだけ。私も趣味のランニングで訪れる島には、どんな引力があるのだろう?
その答えが知りたくて7.2時間見つめてみることにしました。
30人ほどの方にお話を伺いましたが、やはり9割以上の方が地元や近隣の街から。片手には釣り竿・スケートボード・水鉄砲・・・それぞれの相棒を連れて夏を満喫していました。
胸に残ったのは、たこ揚げを楽しむ男性の「無心」という言葉。
青空を舞う凧のように、訪れる人は何もないからこそ緑の大きなキャンバスで自由自在に自分を描くことができるのかも。そんなことに気づかされた炎天下の7.2時間でした。
ちなみに私のニュースは、9月から函館を離れることになったこと。
20歳から函館放送局で仕事を始めて10年。7.2時間の取材ぐらいあっという間に
過ぎ去ってしまいましたが、とても濃密な時間でした。
新天地で壁にぶつかることがあったら来てしまうと思います。無心で、緑の島に。
過去の『道南ドキュメント7.2時間』記事・動画はこちらから↓
第3回 ~日曜日の奥尻島~奥尻町(2023年6月)
『道南ドキュメント7.2時間』#3 ~ 日曜日の奥尻島~
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『道南ドキュメント7.2時間』#2 ~ 大型連休中の七飯町・道の駅にて~
第1回 ~春を迎えた浜辺にて~函館・大森浜(2023年4月)
『道南ドキュメント7.2時間』はじめました。