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函館工業高等専門学校 防災に貢献しようとする若者たち

  • 2024年2月20日

必要な支援などを表示するQRコードがついた缶バッジに、スマートウォッチで簡単に心拍数が測れるアプリ。函館工業高等専門学校には災害時に役立つテクノロジーを研究している若い人たちがいます。彼らの着眼点や工夫・制作に込めた思いをご紹介します。

スマートウォッチを着けるだけで心拍数を計れる、お年寄りユーザーのために開発。

函館工業高等専門学校にはアシスティブテクノロジー、人を手助けする技術を研究している人たちがいます。防災も重要なテーマ。災害時に役に立つ製品の研究・開発を進めている学生を北海道防災士会道南ブロック代表の伊藤友彦さんと訪ねました。その中でスマートウォッチを着けるだけで心拍数が測れるアプリを開発した函館工業高等専門学校・専攻科の畑貫哉さんです。

畑「既存のスマートウォッチにも心拍数を測る機能はついています。ただお年寄りには操作が難しく、また画面が小さくて見にくいと思います。そこで着けるだけで心拍数を測れるアプリを開発しました。」

実際に装着させてもらいしました。何もしない状態でしばらく待っていると、心拍数は70くらい。その後スクワットをして息があがった状態で測ってみると、心拍数は134になりました。1分間あたりの心拍数が測れます。80~100は標準だとして黒字、101以上だと赤字、79以下だと青字になります。心拍数の異常は精神的ストレスやエコノミークラス症候群を見つけるきっかけになると言われています。

このアプリについて、防災士の伊藤さんは次のように話します。

伊藤「とても良い着眼点ですよね。スマートウォッチは健康管理のために装着する方も増えていますから、汎用性が広がることが期待されます。大規模災害が起きて避難所等での非日常が続く場合、災害関連死も懸念されることから健康維持は大きな課題です。」

QRコード缶バッジにこめた思いと工夫

次に見せてもらったのはQRコードのついた缶バッジです。これも防災に役立てようと学生が制作したものです。

どういう仕組みかというと、QRコードを携帯カメラにかざすだけで、装着している人の伝えたい情報を表示することができます。発災時、混乱している時に、常備薬の名前が分からない、大けがをして会話が困難などといった場合に、必要な支援を正確に伝える一助となると考えています。個人情報の保護など課題はあるものの実用化にむけて研究を続けています。

缶バッジ、そしてQRコードにしたのにも理由があります。その狙いについて制作を担当した廣瀬優さん(写真左)と佐藤望人さん(写真右)に聞きました。

缶バッジにした理由について

廣瀬「災害はいつ起こるか分からないので、いつでも機能するよう常に装着してもらうことが大事だと考えました。そのためには手軽に身に着けられ、おしゃれと感じてもらうことも重要だと考えました。」

QRコードにした理由

佐藤「災害時に電波状況が悪くなっても読み取り可能なQRコードにしました、これはかざせば表示されるので、停電時などでも対応ができます。」

こちらについて、伊藤さんは

伊藤「実は防災の分野でDX化、デジタルトランスフォーメーションが進んでいます。この工夫はデジタル化の利点をうまく取り入れていて、停電時でも利用できる安心感があります。手軽さとセキュリティを両立させる課題はありますが、そこへの工夫を今後期待したいですね。」

取材をして、学生の皆さんがお年寄りなど支援を必要とする人たちの視点に立って研究を進めていると感じました。色々な人の立場にたつ想像力をもつことが重要だとみなさんの取り組みから改めて教えてもらいました。

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