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不登校経験の若者が東広島でイベント “悩む人勇気づけたい”

  • 2024年04月25日

東広島市で、不登校の経験がある若者たちが企画したイベントが開かれました。このイベントに込められた思いを取材しました。

(NHK広島放送局 桧山千尋)

独創的なタッチで描かれた人物画やちぎり絵など、様々な作品が並んでいます。これらはすべて、不登校やその傾向にある子ども達が制作しました。

企画したのは、「みんなプラス☆コミュプラ」。小学校や中学校で不登校を経験した東広島市の高校生を中心としたグループです。会場では、みんなでダンスをするイベントも。中学生のとき不登校だったゆりなさんが、自分で考えた振り付けをレクチャーしました。

ゆりなさん
「ダンスでは自分を表現できるような気がして。不登校だった時ものめりこめたものだし、一歩勇気出してやってみると今もすごく楽しかったし、勇気を出すきっかけになってくれたらという思いでやりました」

訪れた人たちは、メンバーの思いを感じ取っているようでした。

「すごく元気をもらいました」
「それぞれの人が、自分の得意なことを発信しようとされている姿が伝わってきて、すごく感動しました」

「みんなプラス☆コミュプラ」のメンバーは8人で、月に1回集まっています。イベントを企画する自分たちの姿を通して、今不登校で悩んでいる子どもたちや周りの人たちを勇気づけたい。そんな思いからイベントを行うことにしました。臨床心理士や市の職員も活動をサポートしています。

この春、通信制高校を卒業したばかりの「ほなみさん」です。人間関係がつらくなったことで小学6年生の冬から中学3年生まで学校に通うことができませんでした。

ほなみさん
「ここで話しているうちに、話すのは得意じゃないけど、自分が人とおしゃべりすることが好きなんだなと気づいて。新しいことに気づける場所かなと思います」

会場を訪れた人たちと積極的に話をしたいと考えたほなみさん。「気軽に話しかけてね」と書いたポスターを会場に貼ることにしました。

ほなみさん
「私も全然外に出られない時期とかあって、それでもイベントをやったりとか人と話したりとかできるようになるし、今不登校で悩んでる子やそのお母さんとかお父さんとか、相談に乗れることがあったらいいなと思います」

迎えたイベント当日。メンバー達はそれぞの得意分野で自分を表現しました。

「すごい上手よね」
「まだまだだなって感じなんですけど」

気軽に話しかけてねとポスターを作ったほなみさんのもとに、不登校の子どもがいる女性が話を聞きたいとやってきました。

「将来の目標はどうやって見つけたのかな?」
「昔から小っちゃい子が好きで教えるサポートすることに興味があって、国語が好きなので楽しいこととやりたいことを一緒にできる教員になろうかなっていうのが夢としてできた感じです」
「そういう気持ちがわかる先生がいるっていうのは私たち親にとっては心強いかなって思うので頑張ってほしいな」

女性
「親としても子どもが学校に行けなくなるっていうのは想像してなかったので、そういった子どもたちが頑張っていま乗り越えてるっていうのを見ることができたので、自分の子どもにとってもすごく希望だと思いました」

ほなみさん
「役に立ってるなとか喜んでもらえてうれしいという経験が得られる場所になっていると思います。今不登校で悩んでいる子たちが自分を出せる場所というか、外に出るきっかけだったりとかやりたいことをやるきっかけになる場所になったらいいなと思っています」

不登校の状態にある小中学生は、2022年度、およそ29万9000人となり、10年連続で増加して過去最多となっています。さまざまな支援や居場所づくりが必要となるなか、当事者の気持ちがわかる若者たちの取り組みが今後さらに広がっていって欲しいと感じました。

  • 桧山千尋

    NHK広島放送局

    桧山千尋

    東広島市出身。東広島市や竹原市を担当。 イヤイヤ期の娘の育児に奮闘中。趣味はミュージカル鑑賞。 

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