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“軍用機の騒音困る” 市民団体がアンケート 大竹市阿多田島

  • 2024年04月22日

山口県のアメリカ軍岩国基地に近い大竹市の阿多田島で、市民団体が軍用機の騒音について住民アンケートを行った結果、回答した人の9割以上が「騒音で困っていることがある」と答えたことを明らかにしました。

(広島放送局記者 重田八輝)

このアンケートは、岩国市と廿日市市の2つの市民団体が3月に、基地から北東におよそ7キロにある大竹市の阿多田島で行ったものです。島に住む84世帯を対象に行い、52世帯53人から回答を得たということで、広島県庁で結果が発表されました。

この中では、9割以上が騒音で困っていることがあると答え、このうち複数回答で、「ラジオ・音楽が聞き取れない、聞きにくい」と答えた人が77.6%、「墜落などの不安・恐怖を感じる」が49%、「睡眠が妨げられる」が28.6%、などとなりました。

健康に支障が出たことや健康に不安を感じたことがあるかとの質問に対しては、「ある」と答えたのが35%となり、「ない」が42.5%、「わからない」が22.5%となりました。

また、岩国基地では6年前の2018年、神奈川県の厚木基地から戦闘機などが移転されましたが、それ以降、騒音がよりひどくなったと感じているか尋ねたところ、「感じている」が87.8%、「感じていない」が12.2%、という結果になりました。

廿日市市の市民団体の西浦紘子事務局長は会見で「住民からはこみ上げるような複雑な思いを感じた。大事な問題として広げていく必要がある」と述べた上で、今回の結果を大竹市に報告するとしました。

岩国基地を飛び立つアメリカ軍機の騒音は、長年、問題となってきました。今回アンケートが行われた阿多田島には国の騒音測定器が設置されています。「騒々しい街頭」に相当する70デシベル以上を騒音とし、その回数などを調べ続けています。

その結果を見てみますと、2023年度は11か月で4239回に。すでに前の年度の1年間の回数を上回っていました。特に、6年前の2018年3月に神奈川県の厚木基地からおよそ60機の戦闘機などの移転が完了してから、つまり2018年度以降に増加し、高止まりしているのが見て取れます。

また、今回のアンケートには自由記述の欄もあり、こちらのような意見があったということです。

「家が振動する」「島の真上を低空で飛び、ものすごい」「耳がキーンとなり自然と背中をかがめてしまう癖がついた」「飛ばないでと声を上げたところで、飛ぶのでしょうがない」…影響が深刻であることをうかがい知ることができます。

一方、こうした騒音の影響が出ているのは、大竹市内だけではありません。こちらの三角形。「エリア567」とも呼ばれるアメリカ軍の訓練空域です。この中には北広島町や安芸太田町なども含まれていて、騒音が問題となっているんです。

これらの自治体は、国への要請書の中で「保育施設や学校、介護施設などの上空を飛行した際には、乳幼児、児童・生徒、高齢者などからは、突然、聞こえてくる爆音により極度のストレスやおびえ、不安を訴える声が後を絶たない」としています。

その上で、外務省や防衛省に対して、低空飛行訓練の中止をアメリカ軍関係当局に強く要請することや、騒音被害の実態把握を行うことなどを求め続けています。

  • 重田八輝

    広島放送局 記者

    重田八輝

    2007年入局。福井局・大阪局・科学文化部を経て2021年秋から広島局。石川生まれ千葉育ち。

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