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カープ 新井監督に聞く ことし目指す野球は?

  • 2024年03月22日

就任2年目のシーズンに臨むカープの新井貴浩監督にキャンプ打ち上げ前日にインタビュー。九里投手に開幕投手を託した思い、4番は誰になるのかなどたっぷりと聞きました。

(NHK広島放送局記者 横山悠)

“地に足がついた” 100点のキャンプ

キャンプはどういう時間になった?

非常に充実したキャンプでした。(1軍は)日南から始まって沖縄に移動してきましたが日南の(2軍の)ほうで主力組は調整しておいてくれということで、5、6人は若い選手を連れてきましたが、その選手がみんないいアピールをしてくれたキャンプだったと思います。

“若手の競争”を掲げたキャンプ?

去年、(西川)龍馬が移籍してポジションがひとつ空きましたので、そこに向かって若い選手を競わせるキャンプにしたいなと思ってたんですけれども、こちらが予想していた以上に高いレベルで争ってくれてますので、うれしいです。

監督としては2回目のキャンプ、去年との違いは?

私自身、去年も経験しましたので流れというものも分かっていますし、去年よりは落ち着いていたと思います。

慣れてきた?

そうですね。流れとかそういうものを去年経験しましたので。去年よりは地に足をつけてできたキャンプだったと思います。

キャンプでは藤井ヘッドコーチと密に話す場面が見られた。どういうことを話し合ってきた?

ヘッドコーチを始めコーチングスタッフのみんなにはこういう形で進めていこうと。投手と野手は連携するところは連携してこういうプランで進めていこうというのがありましたので、(キャンプ前の)スタッフミーティングの時に。そこの確認作業です。
このクールでどこまでできているのかとか。あとイレギュラーなこともありますので、幸い大きなけが人はこのキャンプ中にはいなかったので、イレギュラーなことが起こった時にその選手の情報だったり(練習)プランの変更であったりというのをそのつどヘッドコーチを中心に話し合っていました。

キャンプは滞りなくできた?

もう100点だと思いますね。いいキャンプを過ごせたと思います。

選手とは自然体で 塹江投手に変化感じる

選手と接するうえで意識したことは?

そこは去年と大して変わらないと思う。もともとコミュニケーションをとろうと思ってとっていないので。好きでとっているので。たくさん選手といい会話ができたと思います。

ブルペンでは打席に立つ場面もあったが、どこを見ていた?

私は打者だったので、打者目線でどういうふうにボールが見えるかとか、ボールの軌道であったりリリースの出どころであったりベース上での強さであったりそういうものを見ています。

特に光ったピッチャーは?

全体的にみんないいボールを放っていました。キャンプの初日からみんないいボールを投げていましたので、しっかりと自主トレを各自でやってきてくれたんだと感心しました。
その中でも塹江は、去年から『少し腕の角度を下げてトライしてみようか』という話し合いをした。がらっと変わったというのは名前をあげるとしたら塹江です。

塹江投手は去年とどこに違いを感じた?

ボールの強さは今までとそこまで変わらないと思います。実際にスピードガンでも150キロは出ていますし、ボールの強さは変わらない。
何が変わったのかというと、コントロールが変わりました。これまでのように投げた瞬間にボールという球がすごく少なくなりました。リリースが安定してきたと思う。本人の中でも手応えがあると思います。表情にも出てますからね、自信満々なので。

腕を下げる取り組みがうまくいっている?

今のところすごくうまくいっていると思います。対外試合でもいいピッチングを続けているので、本人がいちばん手応えを感じていると思います。

最大のテーマは外野陣 “みんなガツガツ”

西川選手が抜けて若手選手にチャンスを与えた。頑張りはどう映った?

みんなガツガツしているなと。俺が俺がというふうにアピールしてくれていると感じます。
田村もそうですし、久保、(中村)奨成、(中村)貴浩、あと(中村)健人も頑張っていますし、名前をあげればきりがないです。ファームでは宇草が頑張っていますし、頑張ってくれている選手がたくさんいる。今後はオープン戦に本格的に入っていくので、その中でまたもう1段上の競争をしてくれたらと思います。

若手選手の活躍は想定通りか、想像以上か?

自分の想像より少し上をいった競争をしてくれています。レベルが高いです。この中からまた誰が出てくるのかというのは、開幕までのおよそ1カ月がすごく楽しみです。私も楽しみなのでファンの方も楽しんでくれていると思う。

田村選手が打撃でアピール 新井監督の評価は?

若手選手で現状、抜け出している選手は?

あんまり名前は言いたくないんですが…。バッティングでいうと田村がいいものを出していると思います。(久保)修もバッティングが明らかによくなっていて、彼は走力と守備力もあるので。誰がというのはない。健人も頑張っていますし。みんな頑張ってくれている。誰とはまだ名前は出せないです。

田村選手は日本代表にも選ばれ飛躍が期待されていると思うが彼への期待は?

まだ高校を卒業して3年目。すごくいい体つきになってきています。また彼の野球に対する姿勢は本当にまっすぐですから、私たちから見ても期待させるもの、光るものを持った選手です。

打撃のいちばんの良さは?

軸がぶれないとかいろいろあります。左ピッチャーをそんなに苦にしていないです。あと状況、展開、カウントによってバッティングを変えることもできる。高卒3年目の選手には見えないという感じです。実戦での対応力、適応能力が高い選手だと思います。

久保選手には日南キャンプでみずからバットを振って指導する場面もあったが?

スイングする時に気になったことがあったので、もう少しこうしてみたらと言った。本人も納得してくれたみたい。春のキャンプは1か月弱ですが、その中でも明らかに成長してくれていると感じました。彼も周りからの意見、アドバイスをよく聞いてできる素直な子なので、成長していると思います。

久保選手はオープン戦でも2安打、打撃での成長を感じる?

感じますね。単純にヒットの数とかではなく凡打もいい内容がたくさん見られますし、1軍のローテーションで投げているピッチャーに対していい内容のスイングをしているので、ますますこれから楽しみだと思います。

ことしの攻め方は? “去年より思い切って”

実戦では盗塁など足を絡めた攻撃が多い。今シーズンもそういう攻撃を重視する?

もちろんそうです。どんどんこちらから仕掛けていって、ゲームを動かしていきたい。守りに入るのではなくこちらから仕掛けていきたい動くということはリスクも伴いますが、その辺りは私が腹をくくってじゃんじゃん動かして攻めていきたいと思っています。

去年は送りバントをそれほど使わなかった。結果としてダブルプレーが多かったが対策は?

基本的には1回から送りバントをしないのでおのずとゲッツーは増えてくる。そこは想定内ですし、ゲッツーを恐れてバッティングしたらスイングができなくなってくるので、そこは全く気にしていないです。

思い切ったスイングを選手に求める?

そうです。打たせているのは私ですし、走らせてるのも私ですし。結果に対して私が受け止めればいいだけで、みんなは思い切ってやってくれたらいいよというスタンスは変わらないです。

盗塁数は増えた一方で、盗塁の成功率の改善も課題ではないかと思うが?

去年はチーム盗塁数が78個。企画数もかなり多くて成功率も出ていると思うんですが、そこも2年目なので成功率を上げていきましょうとなると、今度はせっかくスタートが切れるようになっているのに、アウトになってはいけないということが先行してくるとまた元に戻ってしまう。
成功率はほとんど気にしないです。去年同様どんどん失敗してもいいから、なんなら去年より思い切っていきなさいと言っていますけどね。盗塁成功率とかゲッツーとかそういうことを考え出すと去年できていたことができなくなってしまうと思うので、そんなの関係ないからがんがんいきなさいと。こっちはそういう気持ちです。

去年は得点数がリーグ5位。得点力アップの鍵は?

走力のある選手は当然期待しますが、それ以外の選手にもどんどん走ってもらおうと考えています。そうすることによって全体的に(盗塁)企画数もさらに増えるのかなと。
これはピッチャーのクイックタイムだったり配球だったりとか駆け引きもありますので、こうなりますとは断定的には言えないですが、足がそんなに速くない選手でもちょっといかせようかなと。マークもいくぶん緩くなると思いますし、『こんなところで走ってくるの?』というところで走らせようかなとか、ちょっと考えていますけどね。そういうところに相手の隙があると思うので。
この選手は走らないだろう、松山竜平は走らないだろうというところで走らせてみたりだとか。それはないか(笑)。

開幕投手は九里投手 新井監督の思いは?

ピッチャーでは九里投手に開幕投手を任せた。新井監督の思いは?

今まで(大瀬良)大地が5年連続で開幕投手を務めた。大地と同期入団で、同級生で、ドラフト1位と2位ということで、互いに切磋琢磨して頑張ってきた。そういった中で(九里)亜蓮も『なんとか開幕投手を』という気持ちはずっと持っていたと思うんです。
大地は去年、3回目の右ひじの手術をして無理はさせられないというのもあったし、亜蓮の夢というか目標。開幕投手の目標をかなえてあげたいという気持ちもありました。去年、亜蓮は中4日で投げてくれたり大車輪の活躍で、イニング数も頑張ってくれたので、総合的に判断して亜蓮に開幕を任せました。

去年の実績では床田投手なども候補だったと思う。九里投手の思いを感じての判断だった?

それはあります。もちろんトコ(床田)とか森下とかも候補には当然入っていました。いろいろ考えると亜蓮と大地の関係ですね。同期入団、同級生で、互いに切磋琢磨して頑張ってきた。そして亜蓮が絶対に開幕投手をやりたいとここ数年ずっと思っていたと思う。亜蓮に決めたことでトコも森下も大地もみんな納得してくれているのではないかと思います。

開幕投手の九里投手に期待する成績や姿勢は?

思い切ってやってくれたらいいです。本人の目標だった開幕投手、開幕のマウンドに上がるわけですから。ことしのシーズンの第1球を投げる投手ですから、思い切ってやってくれたらいいと思います。いつもどおり闘志全開で、気合い満点で、マウンドではそういう姿を見せてくれれば、結果はあとからついてくるんじゃないですか。

新井監督にとって開幕投手のあるべき姿とは?

求めるものはないです。すべてをこちらが評価した上で亜蓮に開幕のマウンドを託していますので。

2年目の斉藤投手が巨人とのオープン戦で6失点しても続投させた。育成の考え方は?

去年、フィジカル面を中心に強化した1年だったが、2年目で投げる投球回数、球数も徐々に伸ばしていくシーズンになる。彼はすばらしいポテンシャルを持っています。彼はことしすぐにでも1軍のローテーションを奪ってやるというつもりでキャンプに入ってきたと思いますが、彼はそれでいい。
私たちからすると、数年後のローテーションに入ってきて、ゆくゆくはカープのエースと呼ばれるような存在になってもらいたいという考えがありますし、それだけのポテンシャルを持った子なので。2月24日のジャイアンツ戦もすごく緊張したと思う。本人も『緊張しました』と言っていましたが、1歩ずつステップアップしてくれたらいいです。

気になる4番候補は?

キャンプを見て4番バッターの候補は?

野手ではシャイナーとレイノルズが新しく加わりましたが、これからのオープン戦で実際に試合に出て打席に立っていかないと分からないです。バッティング練習だけでは分からないので。
あとは去年初めて4番を打った堂林もいます。坂倉は去年、5番を打つことは何試合かありましたが、久しぶりにキャッチャーに戻ったシーズンということであまりバッティングで負担をかけたくなかったので基本的に6番や7番に置いていた。でも2年目になったので彼も少し余裕があると思いますし、もしかしたらサク(坂倉)が4番キャッチャーになっているかもしれない。これはオープン戦の中で見極めていきたいと思います。

キャンプを通じて感じたチームの成長は?

若手全体の底上げは間違いなくできてる。去年の秋のキャンプに比べて間違いなく底上げはできています。
今後はオープン戦、そして開幕してシーズンに入っていきますが、そういった中でも成長してもらいたいと思いますし、理想を言えばスタメンで出ている選手と控えで出ている選手の差がそんなに変わらないというのが理想なので、シーズンが開幕しても競争と成長は若い選手にとってずっと続いていくと思います。私たちはどうしたら成長できるのかというのを日々考えてマネジメントしていかないといけないと思っています。

「勝利」と「育成」の両立へ “負けることを考える馬鹿がどこにいる!”

新戦力の発掘は欠かせない。主力選手が合流するが、育成と勝利の比重はどうする?

難しい質問ですね。優勝するため、日本一になるためにやっているので、まずは勝つことがいちばん大切だと思っています。勝利と育成(の両立)は難しいと言われますし、はなから無理だと言われる方もたくさんいます。私は無理ではないと思っているので、勝つことと育成することをなるべく高い次元でやりたい。そういった意味では去年もずっと言っていましたが、今シーズンも戦いながら強くなっていかないといけないチームだと思います。まだまだ強くなれる可能性がある、そんなチームだと思っています。

ことしのチームの伸びしろには自信がある?

当然あります。選手たちは1日1日を一生懸命頑張ってくれればいいと思っています。そこをチームの成長につなげていくのは私の仕事。本当にいい選手、楽しみな選手が多いので、当然ことしも強くなっていくと思います。

去年のように前評判は高くないと言われる中での戦いになりそうだが?

前評判高くないんですか。そうなんですか。うれしいな。またやる気にさせてくれてありがとうございますという形ですね。勝負事なのでやってみないと分からないし、アントニオ猪木さんの言葉ではないですけど、『やる前から負けることを考える馬鹿がどこにいる』という。そうだと思いますし、下馬評云々は置いといて、ことしも見ておけよという気持ちでいます。

キャンプにはたくさんのファンが来た。どんな戦いを見せたい?

去年以上にわくわくする試合をたくさん見せたいと思いますし、去年以上に選手、スタッフとファンの皆さんが一体となれるような、心が熱くなるような試合をたくさん見せたいと思います。

ファンへのメッセージをお願いします。

キャンプも無事に終わり、若い選手がたくさん頑張ってくれて競争してくれています。オープン戦もいい競争をしてファンの方にも喜んでもらってシーズンを迎えたいと思います。そしてシーズンでたくさん熱くなるような試合を見せられるように頑張っていきますのでよろしくお願いします。

  • 横山悠 記者

    取材・構成

    横山悠 記者

    2016年入局 前橋、長野を経て広島局でカープ担当 
    8月6日ピースナイターでの 秋山選手のサヨナラヒットは 今も目に焼き付いています

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