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広島ドラゴンフライズ ドラフラのいぶし銀 船生誠也選手×STU48尾崎世里花さん・工藤理子さん

  • 2023年12月12日

10月に開幕したバスケットボール、Bリーグ。来年5月まで続く60試合のレギュラーシーズンの中盤に向かっています。今月最初の月曜日に広島ドラゴンフライズの船生誠也選手が「ひろしま コイらじ」に初出演しました。これまで5つのチームでプレーしてきた船生選手。新しい環境に飛び込んだ時のヒントを得ることができました。

(広島放送局 アナウンサー 武本大樹)

 

工藤理子さん 船生誠也選手 尾崎世里花さん

ドラフラのオールラウンダー

 

提供:広島ドラゴンフライズ

船生誠也選手は福島県いわき市出身の29歳。身長195センチのスモールフォワードです。ゴール下に飛び込んでいくプレーだけでなく、司令塔としてゲームをコントロールしたり、勝負所で3ポイントシュートを決めたりすることもできる「オールラウンダー」です。三河、名古屋、富山、琉球でプレーした後、おととし広島ドラゴンフライズに加入しました。3季目となる今シーズンは開幕から全試合に出場し、7試合連続で先発出場するなど、チームでの存在感が増しています。

常に変わらないマインドで

武本)実は工藤さん、尾崎さんは2年近く前に船生選手にインタビューしたことがあったんですよね?
工藤)そうなんです!「ふにゅたん」というニックネームを付けさせていただいて(笑)バスケットボールを始めたきっかけや趣味についてもたくさん伺いました。
船生)覚えていますよ。もう2年近く前になるんですね。
武本)きのう(12月3日)は東地区首位、11連勝中だったアルバルク東京に見事勝利。本当にしびれる試合でした。
船生)チーム全員で泥臭く守ってみんなで勝てた。この勝利はすごくチームの糧になる1勝だと思います。ここからチームをもっと良い方向に導いてくれるはず。本当に価値のある1勝だったと思います。
尾崎)船生選手は途中出場でしたが、どんなことを考えながらコートに入ったんですか?
船生)ディフェンスが大切な試合だとみんなわかっていて、みんな奮闘していました。その流れに乗って気持ちを出してディフェンスとリバウンドに集中してコートに立ちました。

武本)ドラゴンフライズは開幕連敗スタートで、少し心配したファンの方もいたと思います。しかし、その後、勝ち星を先行させ、強豪ぞろいの西地区で上位に上がってきました。ここまでの戦いをどう振り返りますか?
船生)開幕の時は良(寺嶋選手)がアジア大会に出場していたこともあって、チーム全員がそろいませんでした。良が戻ってきて、さらにチリ(河田チリジ選手)が加わってからは本当にうまくいっていると思います。まだシーズンは4分の1くらいが過ぎただけ。ここからが大事です。西地区は強豪ぞろいですが、そんなことは言い訳にならないので、他のチームを全部倒す勢いでやっていきたいと思っています。

武本)今シーズンはほとんどの選手が残留。河田選手も1年前から練習生としてチームに帯同していて、日本国籍の取得とともに選手契約しました。同じメンバーでやれるメリットは大きいでしょうか?
船生)お互いを知っているということはいいことがたくさんありますよね。バスケットはチームプレーなので、基本となる部分ができているのは大きい。そこに上積みをしていけばいいので、どんどんチーム力が上がっていくと思います。
尾崎)船生選手は今シーズン、先発出場が増えています。昨シーズンの先発の数をもう超えていますよね。
船生)個人的には先発でも途中出場でもやることは変わらないです。ただ、スターター(先発)というのは試合の雰囲気や流れを作る役割があると思っています。何か大きなことをしてやろう!と変に意気込むのではなく、これだけはしないようにという冷静さを持つことが大事。しっかりマインドセットすることを意識しています。
工藤)今シーズンはホームのお客さんも4000人を超える試合も多い。船生選手はどう感じていますか?
船生)もちろんうれしいですよ。満員のアリーナで試合ができるのは選手にとって本当に幸せなことです。やっぱり生で見ていただいた方が感じてもらえることも多いので、引き続き足を運んでもらいたいです。
工藤)広島のファンの声援はどうですか?
船生)広島のファンの方は本当に優しいです。こちらから「いつもありがとうございます」と言いたくなるような優しさ。名前を呼んでもらえるだけでうれしいですし、熱量を感じ取れる。ファンの方にも長いシーズンを一緒に駆け抜けてほしいと思っています。本当にいつもありがとうございます、という気持ちです。

新しい環境に飛び込んだ時のヒント

工藤)船生選手の大好きなアーティストはZARD。どうしてZARDを好きになったのですか?
船生)小さい頃に親の車の中で流れていたんですよ。まだ僕は小さくて、曲名がわからなかったので、トラックの番号で「何番流して!何番流して!」と言っていました。ZARDの「負けないで」や「揺れる想い」がリリースされたのは1993年。僕が生まれた年なんです。同い年の縁も感じて、大好きになりました。
尾崎)ZARDの曲は全部好きだと思いますが、特に思い入れがあるのは?
船生)「あの微笑みを忘れないで」です。富山にいた2019年、自分の中でやりたいこと、なりたい姿があったのにうまくいかないことがたくさんありました。そんな時にこの曲を聴いてパッと道が開けたような気がします。
工藤)この曲の中に「新しい明日に走り出そう」という歌詞がありますよね。船生選手はすでに4回移籍を経験して5つのチームでプレー。“新しい明日”をたくさん経験しています。新しい環境に飛び込む時に意識されていることは何ですか?
船生)ずっと素でいることですよね。人見知りはしないし、人が好き。嫌いだなと最初に思ってしまうような人でも、いいところだけを見るようにしています。環境が変わると場所も変わるし、人も変わる。何かを変えなきゃと肩ひじを張らなくても周りがおのずと変えてくれることもある。新しい人と会っていろいろなことを吸収すると、自分の価値観も変わる。ポジティブないい仲間といるといい自分にもなる。僕が恵まれていると思うのは、行く場所、行く場所で人に恵まれていることです。いろんな人から影響を受けて今の自分があると感じています。

ひとりの表現者として、誰かの心を動かしたい

工藤)以前、「ひとりの表現者として、誰かの心を動かしたい」とおっしゃっていました。どうしてそう思うようになったのでしょうか?
船生)富山にいた2019年、先ほどもお話したようにすごくもんもんとしていた時期がありました。そんな中で新潟に舞台を見に行ったことがあったんですね。そこで見た俳優さんの熱量、エネルギー、覚悟がとにかくすごかった。鳥肌が立ってしまいました。これはすごいなと。仕事は違えども、表舞台に立って誰かに見られることは一緒。誰かの心を動かすにはやっぱりフェイクじゃだめだし、演じるのではだめ。本物にならなければならない。自分が発せる熱量や覚悟、エネルギーに確信、納得できるように日々努力をしてコートに立って、表現したい。その結果として、誰かの心が動かせればと思うようになりました。
工藤)自分を演じるのではなく、自分から湧き出る何かで誰かの心を動かせたらいいなと私も思っているので、すごく共感しました。
尾崎)私たちの心も今、動かされましたよ。

バスケと麻雀の共通点

武本)広島生活も3年目です。船生選手のキャリアの中で最も長くなりましたね?
船生)いろんなところに住んでいましたけど、コンパクトですし、美味しい料理もたくさんあってとても気に入っています。先ほどもお話ししましたが、本当に優しいファンの方がいるのも最高ですよね。
尾崎)船生選手は趣味がゴルフ、競馬、読書、麻雀とたくさんです…今は何に一番はまっていますか?
船生)やっぱり麻雀ですね。麻雀にもプロリーグがあるのは知っていましたか?Bリーグは主に水曜日と土日に試合がありますが、麻雀のプロリーグは月火木金にやっています。僕たちの試合と試合の間に、うまいこと入っていますよね(笑)。麻雀を観戦しているBリーガーはきっとたくさんいると思いますよ。
尾崎)麻雀からバスケットにつながることもあるのですか?
船生)シーズン中は麻雀をする時間はないですが、見ることはできます。自分が麻雀をやっていると手牌しか見えないけど、観戦していたら4人の配牌が見える。それが楽しいんですよ。バスケットと麻雀は似ていると思います。周りを見ながらプレーしないといけないし、攻撃も大事だし、守備も大事。ちゅうちょせずに打たないといけない部分と冷静にならなければいけない部分があるのも同じ。そして、何といっても大事なのは自分のスタイルで後悔なくプレーすることだと思っています。アイドル兼麻雀のプロもいるんですよ。麻雀も奥が深くて面白いのでぜひ。
工藤)麻雀が気になってきました…それから船生選手は何といってもおしゃれ。きょうもモデルの方が来たのかと思いました。
船生)おしゃれとは思っていないですよ(笑)。でも、服がとても好きです。人の印象を決めるし、デザイナーさんの思いが込められているものですからね。
工藤)長い髪も船生選手のトレードマークですね。
船生)以前、お会いした時よりはだいぶ短くなっていますよね。ずっとひとつ結びにしていたので、今シーズンは基本的にハーフアップ。ずっと同じ髪型にしないようにと思っています。

何としても優勝したい

尾崎)船生選手は今月15日に30歳を迎えられます。30歳の抱負と今後のシーズンの目標を教えてください!
船生)30歳だからってものはないですよ(笑)。2人も30歳になる時にあまり実感はないと思いますよ。目標はチームとして優勝したい、それだけです。昨シーズン、チャンピオンシップに出られたけど、惜しくも最初のステージで負けてしまいまいた。いろんなチームでプレーさせてもらいましたけど、まだBリーグの年間優勝を達成したことがない。何としても優勝したいなと思います。
尾崎・工藤・武本)きょうは本当にありがとうございました!

 

船生選手と私は誕生日が同じ(生まれ年は異なりますが)ことや、“移籍”(転勤)が多いということにご縁を感じ、興味を持って取材をさせていただくようになりました。仕事をする上でも、新しいチームにどう溶け込むか、ヘッドコーチの考えや戦術をどう理解し、自分らしく遂行するかというヒントをもらっています。船生選手は、毎試合二桁得点をとったり、いつも派手なプレーをしたりする選手ではありません。自らを犠牲にしてファールをもらうこともあります。それがチームの苦しい時間帯を救ってきました。ドラフラの“哲学者”“いぶし銀”をこれからも応援していきます。

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