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“ヒートショック” に注意 防ぐためのポイントを医師に聞く

  • 2023年12月28日

 

寒くなってきたこの時期、注意したい「ヒートショック」。
高齢者が風呂に入浴する際に特に起こりやすいとされ、寒い脱衣所と暖かい浴室やお湯との急激な温度差で血圧が大きく変わって、体に大きな負荷がかかることで起こります。場合によっては脳梗塞や心筋梗塞を引き起こし命に関わることもあります。
どうしたら「ヒートショック」を防げるのか、医師に注意点を詳しく聞きました。

(NHK広島放送局記者 淺津賢吾)

冬場に多い「ヒートショック」

厚生労働省の統計によると、2021年、家などの浴槽内で溺れて死亡した65歳以上の高齢者は4750人。交通事故で亡くなった高齢者は2150人ですので、およそ2倍です。どうしたら「ヒートショック」を防げるのか。医師に注意点を詳しく聞きました。

県立広島病院救急科の世良俊樹医師です。
気温が低くなってくるこの時期、ヒートショックで救急搬送される患者が多いといいます。

県立広島病院 救急科 世良俊樹医師
「1日に2人くらいが、お風呂場から心肺停止で運ばれるということはあります。冬場に多いというのが特徴です。自律神経の調節が難しいご高齢の方に多いということです」

ヒートショックが起こる仕組みや対策を聞きました。

「急激な温度差」「血圧の乱高下」

世良俊樹医師
「暖かいところ、例えばリビングから廊下に出て、冷たいところに出る。そうすると血圧が上がります。そして、入浴しようと服を脱いで浴室に入ると、寒くてまた血圧が上がる。そのあとに温かいお風呂に入ることによって血管が開いて、一気に血圧が下がる。血圧が下がると意識を失ったり、不整脈が出たりして、心臓などにも負担がかかってきますので、心筋梗塞を起こしたり、不整脈起こしたり、中には心停止するという方がおられます」

どうする?ヒートショック対策

対策① 温度差を作らない

世良俊樹医師
「環境の温度を一定に保ったり、例えば浴室や廊下を温めておく。お湯の温度も熱くしすぎると温度差が生じてしまうので、湯船の温度差を減らす工夫が大事だと思います。体にとっての温度差をなくすという意味では、手とか足とかを温めながら少しずつ入るというのがヒートショックを防ぐ上では大事かなと思います。かけ湯せず、寒い状態から早く入ろうとジャボーンとつかる、あぁ気持ちいいというときに、血圧がかなり下がってくると思うので、注意が必要です」

対策② 食後、飲酒後の入浴は避ける

世良俊樹医師
「食べてすぐというのは血圧が下がりやすく、ヒートショックが起きやすいので注意が必要です。例えばお酒を飲んで脱水状態になってお風呂にると、血圧が下がりやすい。本当であれば、脳に血液をどんどん上げようとするが、それが難しくて、脳貧血いわゆる失神によって意識を失う。そして顔までお湯に浸かると溺れてしまう。
早期の発見は大事ですので、ご高齢の方が入浴するというときは周りの方、1人暮らしだとなかなか難しいかもしれないですが、気にかけていただくのが大事かなと思います」

自分でできる対策をこちらに改めてまとめました。

①入浴前に脱衣所や浴室を暖めておく
②食後すぐの入浴や飲酒後、薬服用後の入浴は避ける
③お風呂に入る前に同居家族に一声かける
④こまめな水分補給
⑤湯の温度は41度以下、お湯につかる時間は10分までを目安に
⑥浴槽から急に立ち上がらない

これからまだ寒くなりますので、ヒートショック、注意していきたいですね。

  • 淺津賢吾

    広島放送局 記者

    淺津賢吾

    2023年入局。島根県出雲市出身、記者1年目。警察や司法を担当しています。

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