“元祖肉じゃが” で呉を元気に!
- 2023年12月01日
肉じゃがのルーツは旧日本海軍の艦上食だといわれていることから、軍港の町だった呉は長年「肉じゃが発祥の地」をアピールしています。そうしたルーツがあることを楽しんで、肉じゃがを使った町おこしに情熱をかける人たちを取材しました。
(広島放送局ディレクター 有賀実知)
今が旬の焼きがきに呉海自カレー。
さまざまな呉グルメがふるまわれた「くれ食の祭典」。
その中でもひときわ目立つ行列の先には、おおきな鍋で煮込まれた・・・肉じゃが!
販売しているのは、25年以上にわたって有志で活動を続けてきた「くれ肉じゃがの会」の皆さんです。
過去には戦艦大和を模した大鍋で、1万人に肉じゃがをふるまうなど、「肉じゃが発祥の地」をアピールしてきました。
会の立ち上げに関わった人がいると聞き、市内の飲食店をたずねました。
呉の町で居酒屋やラーメン店などを営んできた、山下完冶さんです。当時、新たなグルメで呉をなんとか盛り上げたいと考えていました。
くれ肉じゃがの会 山下完冶さん
「(当時)呉の町ってほんまPRするものないよな、と。おいしいものはあるのに、これといった名物はないんよ。」
そんな時、市役所の職員から紹介されたのが、「海軍厨業管理教科書」。
旧日本海軍で調理係のためにつくられたこの本には、「甘煮」という料理のレシピが記されていました。その当時、肉じゃがのルーツはこの甘煮だとメディアなどで紹介され、注目を集めていたのです。
山下さんたちは、かつて軍港として栄えた呉で、この甘煮を「元祖肉じゃが」として再現することで、町おこしをしようと考えました。
山下さん
「肉じゃが…え、海軍、呉が発祥なんだ。びっくりした。絶対うけるだろうなと思った」
肉じゃがを作るにあたり、甘煮のレシピに書いてあったのは材料と入れる順番のみでした。分量や火加減は、山下さんの長年の経験と料理人の勘で決めています。
今回のイベントでの調理の様子で詳しく見ていきます。
それでは、山下流元祖肉じゃがの作り方400人分です。
ポイントは、牛肉を最初に炒めること。400人分で、なんと15キロ。惜しみなく使います。
海軍流は、すき焼きのように砂糖としょうゆだけで下味をつけるのが特徴です。
山下さん
「出汁はなし。入れないです。しょうゆと砂糖と牛肉の旨みだけ。」
鍋が煮立ったら、強火のまま水につけていたじゃがいも60キロを投入。2Lサイズを大胆に2つ切りにしました。
糸こんにゃくも入れたら…火を弱め、ゆっくり煮るのが煮崩れを防ぐコツです。
そして意外にも、タマネギを一番最後に入れるのが海軍流。炊き上がる直前に入れて、シャキッとした食感を残すことがポイントです。
2時間かけて、元祖肉じゃがの完成です。さて、そのお味は…?
「呉の味!」
「じゃがいもがすごい柔らかい!」
開場して2時間であっという間に完売しました。
肉じゃがを作り続けて25年以上の山下さんは、今後も“元祖呉の肉じゃが”をPRしていきたいと語っていました。みなさんもぜひ、呉の肉じゃがを味わってみてください!