「カープロード」 が大きく変身!その計画とは?
- 2023年11月09日
マツダスタジアムにJR広島駅から向かう道、通称「カープロード」。広島市は9月、ここを大きく変える計画を発表しました。どのような計画なのか取材しました。
(NHK広島放送局記者 福島由季)
混雑で“ベビーカーが押しにくい”
球場へと向かう多くのファンでにぎわうカープロードが、新しく生まれ変わることになりました。
長さおよそ500メートルの通称「カープロード」。
広島市によりますと、カープの試合のある日には、およそ1万3000人がこの道を歩きます。ベビーカーを押している人に話を聞いてみると・・・。
30代女性
「結構この時間帯人が多いので、ちょっと押しにくいです」
「カープロード」が広くなる
そこで先月(9月)、広島市は両側にある歩道の幅を広げる計画を発表しました。現在、線路側の歩道の幅は3メートルですが…。
市がJRから線路沿いの土地を取得し、5メートルに広がります。
歩道のデザインは「にしきごい」の模様をイメージしているそうです。
さらに再来年の春に開業する予定の広島駅の新しい駅ビルに、高架型の歩道「ペデストリアンデッキ」でつながる予定です。
大きく変わる「カープロード」。利用者に話を聞いてみると・・・。
楽しみです
広くなったらみんな通りやすくなって使いやすくなるのでいいと思います
子ども連れだから安心できます。そのほうがうれしいです
広島市の担当者も、そのメリットを強調します。
広島市 道路交通局街路課 松岡宏昭課長
「広島駅ビルの開業と、それからカープロードが同じ時期に整備されます。このことで広島市民球場と広島駅、これら一体となった街づくりが進んでいって、より楽しい街になったらいいなっていうことを期待しています」
「無電柱化」も進める
さらに、歩道からあるものが無くなります。電柱です。電線を地中に埋める「無電柱化」を進める計画です。安全でスムーズな移動につなげようという狙いです。
電柱がなくなったら、見た目もきれいになり、車いすやベビーカーも通りやすくなりそうです。無電柱化は、広島市ではおよそ40年前から整備が進められてきました。
広島市中心部の地図です。黒色の線の部分が、すでに無電柱化された場所です。中心部では多くの場所で無電柱化が進んでいます。赤や青色の部分は、整備中のエリアです。これまで広島市が無電柱化した道路は、市内全体でおよそ70キロあまりにのぼります。
「無電柱化」メリットと課題は?
無電柱化のメリットと課題には、どんなものがあるのでしょうか。まず、2つのメリットがあります。
無電柱化のメリット①:災害時の救助を妨げない
広島市で優先的に整備されてきたのは、交通量の多い幹線道路です。災害時、電柱が倒れる心配がないため、災害時、救助活動や消火活動などがしやすくなります。
無電柱化のメリット②:景観がよくなる
景観がよくなることもメリットです。このため多くの観光客が訪れるエリアなどでも、無電柱化されています。
無電柱化の課題:時間と費用がかかる
一方で、課題もあります。時間と、費用です。
例えば「カープロード」では、無電柱化を含む一連の工事が完了するのは、6年後の2029年度の予定です。さらに、およそ27億円の費用を見込んでいます。
市内の中心部を見ると多くの道路で進んでいますが、市内全体の無電柱化率は、道路全体の2%ほどにとどまっています。地下にはあらかじめ水道管やガス管など多くのものが埋まっているケースがあり、こうしたものを移動させる作業などにも、時間がかかるということです。
このため市の担当者は、優先度の高い道路から、無電柱化を進めていくとしています。
広島市 道路交通局街路課 松岡宏昭課長
「無電柱化には費用、それから時間も大変かかってくる。電線の地中化は災害が起きた際にそれを最小限に食い止めるという効果があります。今後とも災害のリスクに備えて、無電柱化を進めていきたいと考えています」
「無電柱化」着実に進めてほしい
「カープロード」が変わることをきっかけに始めた今回の取材。「無電柱化」は課題が多い一方、メリットも大きいと感じました。
観光都市、広島にとってのメリットや、災害に強い街を作るというメリットを考えると、この無電柱化を着実に進めていくことが大切なのだと思います。