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懐かしの円形校舎に思いをはせて 呉市

  • 2024年03月12日

全国でも珍しい筒の形をした呉市の小学校の校舎が3月で61年の役目を終えます。取り壊しを前に1日限定の見学会が行われ卒業生たちが懐かしの学びやに思いをはせました。

(NHK広島放送局記者 武田善宏)

子どもたち自慢の円形校舎

JR呉線沿い、川原石駅近くにある呉市立港町小学校は、珍しい円形校舎が学校のシンボルです。

4階建ての円形校舎の最上階は体育館です。

筒型の建物のそこかしこには大きな窓があり、呉の港と瀬戸内海の景色が広がります。

円形校舎は、各階の中央に丸い廊下があり教室は建物の外側に面するように配置されているため扇形をしています。独特な形の校舎は子どもたちの自慢になっています。

子どもたち
「バウムクーヘンみたい」
「円形じゃけん中でみんなで集まりやすくて話もいっぱいできるし」
「体育館がいちばん好きで、ほかの体育館に行ったら四角くて、ここは丸いからすごく特徴的」
「数少ない円形校舎に通っているのすごいってうらやましがられます」

減りゆく円形校舎

昭和37年に建てられた港町小学校の円形校舎。長方形より少ない敷地と資材で建設できコストを減らせるという触れ込みで全国で120以上つくられた中の1つでした。

しかし、教室ごとに日当たりが違い教育環境に差が出るなどとしてその後は普及せず、いま現役で残るのは全国で22、中国地方ではただ1つになりました。

港町小学校の校舎も建設から60年余り。コンクリートが剥がれるなど老朽化が進み取り壊されることが決まったのです。

1日限定の見学会 それぞれの思いはせて

思い出の学びやがなくなる前に。2月中旬、1日限定の見学会が行われ多くの卒業生が集いました。丸い校舎の中に入ると数十年前の思い出がよみがえってきます。

5年生のとき完成した卒業生
「やっぱりいろいろ昔を思い出しますね。円形校舎ができたときの5年生だから。本当にできたばっかりのピカピカの時に入ったから、当時はうれしくてね」

55歳の息子が卒業生
「息子がここの卒業なんですけど、息子の小学校のときの思い出がジーンときています」

体育館の床に寝そべったり体育座りしたりして当時を振り返っていたのは、ことし還暦を迎える同級生たちです。みんな地元を離れていますが校舎の最後を見届けようと集まりました。

ことし還暦の同窓生
「天井がこんなに高いと思っていなかったからびっくりした。校舎もだけどここから見る眺めがまたノスタルジックになってくるよね」

祖母、母、息子の3世代で通ったという家族もいました。6年生の息子は円形校舎から送り出される最後の卒業生になります。

3代で円形校舎に通った母
「当時は円形なのが当たり前だと思っていたけどほかのところには全然なくて。そんな数少ないところに3人で通えたのはすごくうれしいことだと思う。残ってほしい気持ちも半分、でもしかたないという思いもありますし、この地域みんなの思い出が詰まっている校舎だと思います」

円形校舎に“ありがとう!”

60年以上にわたり地域のシンボルになってきた円形校舎。3月下旬に行われる3学期の修了式まで、子どもたちを見守りながら最後の務めを果たします。

「校舎はなくなるけど、ここで過ごした思い出は決してなくなりません。胸いっぱいの思い出と安全に見守ってくれた校舎さんに感謝を込めてありがとう!」

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