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“地域の民話”紙芝居や動画で伝える 東広島 河内町

  • 2023年10月03日

東広島市河内町で、地域に伝わる民話を紙芝居や動画に残して継承しているグループがあります。活動を始めて9月でちょうど10年になるグループの取り組みを取材しました。

(NHK広島放送局 桧山千尋)

東広島市の東部に位置する山あいの町、河内町です。

紙芝居を披露しているのは、住民グループ「みんなで民話を語るゼミナール」、略して「みんみんゼミ」のメンバーです。この日、地元の小学校で披露したのは、河内町小田地区に伝わる民話。

「お寺の東側にそれはそれは大きな石がででーんと座っているではありませんか」

水不足に悩んでいた時代、村人から竜神様としてあがめられていた大きな石が山の上から転げ落ちてきました。その石の下から水が湧いてきたことで池ができて村人を助けたというお話です。

「なんとこりゃあすごいのう。」
「石の下から湧き出る水はしっかりと冷たく、それはそれはとてもおいしい水でした。」

紙芝居の後は、水が湧き出たとされる大きな石やほこらなど、今も地域に残っている史跡を紹介しています。
参加した小学生は…

「昔、小田にこんなことがあったんだなっていうことを初めて知ることができてよかったです」

「こんな大きい石が山から転がってくるなんて信じられないと思ってたんですが、本当だったのでびっくりしました」

グループの代表をつとめる末岡紀代美さんです。
民話には、地元を大切に思う心を育む力があると考えています。

末岡紀代美さん
この土地にこういう思いで生きている人たちがいて、それが私たちの先祖なんだよということを受け継ぐことによって、この土地でしっかり生きていきたいな、この土地を守っていきたいな、そういう子どもたちがでてきてくれたらいいなぁというのがすごく大きな大きな望みというか希望というか目標ですね。

末岡さんたちが10年間で継承してきた民話は20話以上。文章に残されているものだけでなく、口伝いで伝わっている民話まで、知っているお年寄りを訪ね歩いて、まとめてきました。
地元の人たちにもっと民話に興味をもってもらいたい。紙芝居を動画として残す取り組みにも力を入れています。地域の人たちに民話の語りの部分やセリフを読んでもらい、その声をビデオカメラで収録していきます。

「がつがつがつん、がつがつがつん、やったやった」
「疑うわけじゃないが、そりゃあほんまのことかいのう」

この日末岡さんが声をかけて集まったのは、7歳から84歳までの5人。さまざまな年代の人たちが協力してひとつの作品を作ります。
参加した地域の人たちは…

「ほかの地域の方たちにもこの地域のことを知ってもらえる活動でとてもいいことだと思います」

「この声はどこどこのお孫さんの声だな、この大人の声は誰誰さんだなと、非常に親しみを持って聞くことができると思います」

末岡さんは、収録した音声を自宅のパソコンに取り込み、編集ソフトで紙芝居のイラストと合わせて編集します。

完成した動画は、動画投稿サイトで公開しています。これまで老若男女およそ200人の町民の声を収録してきました。末岡さんは、民話を通して地域を誇りに思う心を広めていきたいといいます。

末岡紀代美さん
いろんな年齢層はいるけども、ひとつのことで団結したりとかひとつのことに興味を持ちあうっていうことは少なくなっていると思うんですよね。自分の土地ってすごいじゃん、かっこいいじゃんって、どうせ田舎だからとかじゃなくて、私の土地はこれがあるのよっていうふうになるほうが楽しいなって思うんですよね。そういう一助になれたら大変うれしいですね。

末岡さんたちの制作した動画は、動画投稿サイトYouTubeで見ることができるということです。

  • 桧山千尋

    NHK広島放送局

    桧山千尋

    東広島市出身。東広島市や竹原市を担当。 イヤイヤ期の娘の育児に奮闘中。趣味はミュージカル鑑賞。 

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