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広島の高校生と考えた!広島出身のクリエイターと新たな平和ツアーを

広島市の高校生と協力して、スマートフォンを使ったスタンプラリー式のツアーができました。
  • 2023年08月04日

インターネットを活用するなどさまざまな方法で、原爆や平和について伝える活動に取り組んでいる女性クリエイターがいます。今回、若い担い手を増やそうと、広島市の高校生と協力して新しいツアーを企画しています。その取り組みを取材しました。

(NHK広島放送局キャスター 石津江里子)

広島市出身の久保田涼子さんです。全国各地で、原爆について学び考えてもらうための活動をしています。
この日は、奈良県の小学生に、オンラインで平和公園もめぐるツアーを行いました。クイズなどを交えて、参加した子どもたち自身に考えてもらえるように工夫しています。

「実際に(平和公園に)来て感じることってまた違ってくると思います、きょう学んだことを心に留めて、深く考えて、ぜひ現地に来てくださいね」

ふだんウェブデザイナーとして働く久保田さん。そのキャリアを生かし、クリエイター仲間とさまざまな活動を行ってきました。

活動のきっかけは、9年前。原爆投下後のヒロシマを舞台にした朗読劇に参加したことでした。広島出身でない俳優たちが、原爆を伝えようとしている姿をみて、気づかされたことがあったといいます。

久保田さん
もう原爆のことは知っているつもりだと思って、30代まで生きていた自分にその時初めて気づいたわけなんですね。何も行動していない自分っていうのが、すごく恥ずかしくなったというか、何か広島のためにしたいなと。

久保田さんがいま、取り組んでいる企画があります。被爆建物や慰霊碑などを巡るスマートフォンを使ったスタンプラリーです。
今回この企画に、広島市内の高校生に協力してもらうことにしました。
制作しているのは比治山を巡るルート。中心部以外の遺構にも目を向けてほしいと、このルートに決めました。

各場所でスマートフォンに示される3択式のクイズに答えると、その場所について知ることができます。
この日は、ルートの最終チェック。
まずは、多聞院を訪れました。

多聞院には、爆風の傷痕が残る鐘楼と平和を願うことばが刻まれた鐘があります。
スマートフォンに示されるこの場所の説明文について、久保田さんが生徒たちに聞いたところ、ことばが難しいという意見が出ました。

「ことばとしてもう少しやわらかいことばで誰にでもわかる言い回しができないかな」

久保田さんは、生徒たちにただ受け身でいるのではなく、発信する立場になってほしいと考えています。

ルートの最終地点、陸軍墓地にやってきました。この場所からは、広島の町並みや旧陸軍被服支廠などが見えます。

当時に思いをはせながら、被爆から復興した姿をみて、広島がたどってきた平和の歩みを感じてほしいと、選びました。ここで、生徒たちから、ある提案が。

「3択式のクイズだと意見を押しつけるというか…いろんな答えがあっていいと思う。3択式はやめたほうがいいのでは」

最後の問題は、3択式のクイズではなく、参加者自身に考えを問いかけることにしました。
スタンプラリーに参加したあとも、平和について考えてほしい。生徒が発信する側に立ったからこそ生まれた思いです。

広島女学院高校1年 藤田真緒さん
(企画するのが)すごく楽しくて、自分でもできるんだっていうのは思いました。今回発信する側に立って、自分の言いたいことだけ言うんじゃなくて、相手の目線にたって伝えるっていうのが本当に重要なんだなと感じました。

広島女学院高校2年 山島雫さん
小さいころから平和教育を受けてきて、ただ受けるだけではウクライナの戦争とかもあって、何もできていないと感じました。
私にできることは何だろうと思ったときに、こういう活動に参加して発信していくことが大切だと思ったので、ずっとそういうものを発信し続けていきたいと思います。

久保田さん
発信する側になる、きっかけを作れたのがよかったなと。いろんな人たちを巻き込みながら、それを深めながら、いいものをこれからもじっくり作っていきたいなと考えています。

今回作られたスタンプラリーは8月6日以降、まず修学旅行生などを対象に試験的にツアーを行い、改良を重ねたうえで11月の広島市の平和文化月間に合わせて国内外の観光客向けに公開されるということです。

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