ページの本文へ

ひろしまWEB特集

  1. NHK広島
  2. ひろしまWEB特集
  3. 広島ドラゴンフライズ 浦伸嘉社長「新B1に向けて」木村文子さん・STU48工藤理子さんと聞く

広島ドラゴンフライズ 浦伸嘉社長「新B1に向けて」木村文子さん・STU48工藤理子さんと聞く

  • 2023年04月07日
(左から)工藤理子さん 浦伸嘉社長 木村文子さん

B1初の地区優勝をねらう広島ドラゴンフライズ。3年後には、日本のバスケットボール界に世界基準のプロリーグ「新B1」が創設されます。浦伸嘉社長が「ひろしま コイらじ」に出演。木村文子さん(エディオン女子陸上競技部 アドバイザー)、工藤理子さん(STU48)と浦さんの経営哲学、「新B1」参入への思いを伺いました。

(広島放送局 アナウンサー 武本大樹)

若きリーダー・浦伸嘉社長

浦 伸嘉社長 (提供:広島ドラゴンフライズ)

浦伸嘉社長は、広島市出身の42歳。Bリーグ発足前のプロリーグ、bjリーグの新潟アルビレックスに入団。広島県出身で初のプロバスケットボール選手として活躍されました。ポジションは、司令塔のポイントガード。国体では広島代表としてもプレーされました。引退後は、バスケットボールを中心としたスポーツマネジメント会社を設立。2016年、広島ドラゴンフライズの社長に就任し、ことしで7年目を迎えています。お気に入りの曲は、尾崎豊さんの「僕が僕であるために」。バスケで勝ちにこだわって努力を続けていた中学、高校時代の気持ちを思い出すそうです。

だれも耕していない道を進め

工藤)浦社長は現役引退後に、なぜスポーツチームの運営に携わろうと思ったんですか?
浦)ずっと選手としてバスケットをやってきましたが、バスケットの環境は今ほど良くなかったんですよ。プロ野球やJリーグがすごく盛り上がっている中で、バスケットの周りの価値を上げていかないと競技レベルも上がらないと思ったんですよね。競技レベルを上げる前に環境を整えていくことが重要なのかなと。そのことをアメリカに行った時に思ったんですよ。26歳くらいの時にスポーツマネジメントの道で生きていこうと決めました。今振り返るともっと早い方が良かったなと思いますが・・・
工藤)えっ、もっと早くに決めた方が良かったと!
木村)何が人生を決めたきっかけだったんですか?
浦)きっかけは画家がパリに行くようなものですよ!(笑)バスケはアメリカが発祥で、そこの状況を知らないといけないと思って行ってみたんですよ。そうしたら、想像を絶するほどすごくて。環境もそうですし、いろんな面でスポーツビジネスがすごく充実していた。その環境があるから発展していると感じました。日本ではバスケットのビジネスは当時ほとんどなくて、そこにチャレンジしたいなと。どうせなら、だれもやったことのないことに挑戦したいなと思いました。
工藤)そして、地元のチームの社長に!
浦)広島ドラゴンフライズが立ち上がって2年後に僕が引き受けたんですけど、その時期はものすごく財務状況が悪くてだれもやりたがらなかったんですよね。そんな状況でだれもやれないよ、と。最後に僕のところに話が来たんです。僕がNOというとドラゴンフライズはなくなってしまう可能性が高かったわけですよ。それ以前からクラブチームの運営をやっていましたから、もし引き受けなかったら、自分がやってきたことも価値が下がるわけなんですよね。だったら自分がやらなければいけないと思ったわけです。相当大変な状況だったんですけど、やってやろうと思いましたね。
工藤)救世主なんですね!
浦)いやいや、そんなそんな(笑)
木村)浦さんが社長になられたのは今の私と同じくらいの年齢です。勇気がいりますね・・・
浦)うーん、その時にBリーグができることはわかっていましたし、だれも挑戦していない、だれも耕していない、だれも進んでいなかった道だと思ったんですよね。
工藤)かっこいい!
浦)かっこいい、かっこよくないというロジックではたぶんないです(笑)でも、ありがとうございます。

浦さんのバスケスタイル経営論!

工藤)ふだん、浦さんはドラゴンフライズの社長としてどんな仕事をされているんですか?
浦)いろんなことをやっていますよ。ホームの試合の演出で使う音楽や映像も、もちろん選手やスタッフからの提案を受けてですが、僕が決めています。今一番大きいこととしては、こうやってメディアさんのお力を借りて今のクラブやリーグの状況をお伝えすることです。後ほど詳しく話しますが、新しいリーグのライセンスを取っていかないといけないので、そのために注力しています。

武本)浦さんの姿を試合会場で見ていると、いつもいろんなところを動き回られています。観客の方ともお話をされているし、時にはゴール下のお客さんのために浦社長みずからお弁当を運んでいることも。そして、選手入場の際は選手ひとりひとりに声をかけられています。「こういうリーダーになりたい」と私はいつも思うんです。
木村)浦さんは現役時代にポイントガードとしてプレー。司令塔だったことが生きていますか?
浦)非常に生きていると思いますね。ポイントガードは試合をコントロールしますから。バスケットはすごい競技だと思っていて、会社経営にもバスケットの要素をふんだんに使っています。例えば、バスケットってすごく時間が重要なんですね。3秒、5秒、8秒、24秒ルールって。残り0.2秒で逆転することもある。だから時間を大事にして、40分間の中で効率よく成果を出さないと勝てない競技です。それは仕事も全く一緒だと思うんですよ。やっぱり1秒を大事にしていない人は、いい成果を出せないと思う。バスケットの練習では残り8秒でシュートまで、という練習をやることもあります。ということは1秒がより大事じゃないですか。仕事も一緒でレスポンスを1秒でも速くすることによって、相手からの信頼度が上がるわけです。バスケットの特徴が会社の経営にもすごく寄与していると思う。新しい形の組織論、経営論になってくると思うんですけど、僕はそれにチャレンジしている。バスケスタイル経営!個人的にはすごくいいと思っています。
工藤)ぜひ本を出してください!

「新B1」参入に向け、広島の力を

武本)浦社長のチャレンジの先にあるものが、3年後に始まるリーグ、「新B1」です。今のBリーグは、B1に24チームある。これが新しい形に生まれ変わる!
浦)今のBリーグは昇格したり、降格したりという「オープン型」です。いずれ、昇格や降格のない、いわゆる「クローズ型」のリーグになると思います。日本のプロ野球やバスケットのNBA、大谷翔平選手がいるMLBもそうですが、30チームあればそこからは増えないし、減らない。まず、3年後のB1は、その中間の「エクスパンション型」になります。ある基準を超えたクラブがリーグに入れて、一度基準を超えたクラブはチームの成績によって降格することはないシステムです。ただ、将来的には「クローズ型」になると僕は予想しているんです。というのも「クローズ型」のリーグの方が財務的に安定しているんですね。例えば、我々も経験しましたけど、B2からB1に上がるのって本当に大変なんです。絶対的な投資ってないんですよ。そうしたら無理をして過剰に投資する可能性もある。でも、それで昇格できなかったら赤字になる上に、クラブの価値が下がってしまって、経営的に見てすごくリスキーなんです。ただ、いきなり「クローズ型」にすると参入するチャンスがなくなるので、Bリーグは3年後から、間をとった「エクスパンション型」にしようというのが今の流れです。

工藤)今はB1が24チームですけど、何チームになるんですか?
浦)最大18チーム、最少10チームです。
工藤)参入するために、ものすごく激戦になりますね。
浦)その限られたチームに入るために、広島の皆さんに協力を得て、ドラゴンフライズが達成しなければならないことが大きく「2つ」あるんです。まずは、「売り上げ12億円以上」を達成すること。今の状況で言えば、昨シーズンもう12億円を超えていますし、今シーズンも13億円から14億円の見込みです。売り上げのところはクリアできる手ごたえを感じています。
武本)浦さんが就任された当時を考えると、この数字は本当にすごいことだと思います。
浦)本当に関わってくださる皆さんのおかげだと思っています。広島でスポーツチームを運営するというのは、他の地域よりもアドバンテージが高い。チケットを買ってスポーツを見に行く文化が根付いていて、プロスポーツに対する理解度が高いんです。我々としてはさらに高みを目指して、皆さんにご恩を返していきたいと思っています。

木村)「新B1」に入るために必要なもうひとつは?
浦)「1試合平均で4000人以上」のお客様をお迎えしないということなんです。今シーズン、3200人弱の方々にお越しいただいているのですが、来シーズンには1試合平均4000人に持っていかなければいけない。現状で、4000人を達成できているクラブは4つだけで、来シーズンはみんな4000人を目指して各チームが競争する。僕は、正直に言うとすごく焦っていて、ぜひ広島の皆さんに力を貸していただきたいと思っています。

工藤)もっとお客さんを呼ぶためには、どんなことが考えられますか?
浦)STUさんもライブを行うグリーンアリーナ(広島県立総合体育館)を使うことも大きいと思っています。グリーンアリーナだと7000席くらいが確保できます。来シーズンは3試合、ないしは4試合のホームゲームが開催できると思う。そこで7000人の来場を目指したい。ただ、もちろんサンプラザも立ち見を入れると、4500人弱の方々に観戦していただくことができます。常にサンプラザを立ち見が出る満杯の状態にして、さらにグリーンアリーナでも試合ができるとなると、1試合平均4000人は達成できると思っています。でも常に満杯の状態でなければならないということなんですね・・・

武本)リスナーの方から「広島県民として協力できることがあればできる限りしたいと思うので、教えていただければと思います」と激励のメッセージが来ています。
浦)2026年からの「新B1」に入るためには、いろいろな条件を整えて、2024年10月までに書類を提出しなければいけないんです。あと1年半しか時間がない。繰り返しになりますが、来シーズン1試合平均4000人以上の観客を達成しなければいけないというのがまずひとつですね。それと、グリーンアリーナを「新B1」のホームとして使わせていただく場合、改修することも必要になってくるんです。そのひとつが「スイートボックス」の設置です。工藤さんも家族やお友だちをライブに招待したい時、「スイートボックス」があったらワクワクしませんか?バスケットだけが恩恵を受けるのではなく、ライブやコンサート、他のスポーツにもみんなにいい効果が出るように提案していきたい。どういう設計にするのか、お金をどうするのかといったことを県の方々とも調整している段階です。ただ、我々はその先に新アリーナを作りたいと考えています。理想としては、新B1に参入して3年から5年の間、グリーンアリーナを使わせていただきながら、新アリーナの構想を前に進めていきたいと思っています。

順位も観客数も「頂」を目指して

木村)来シーズン、4000人を達成するための弾みにしたいと考えているのが、今月、来月なんですよね?
浦)そうなんです。チームスローガンにもかけて「頂(いただき)月間」と位置付けています。来ていただければ来ていただくほどお得になる「圧倒的お得チケット」や、フィリピン出身のカイ・ソット選手が加入したことを生かして、フィリピンの方々にもたくさん応援に来ていただけるような手を打とうと思っています。広島には6000人から1万人のフィリピン出身の方がいらっしゃるそうなんですよね。
工藤)そんなにいらっしゃるんですね!
浦)とにかく一回見に行ってみようじゃないかと思ってもらいたいんです。例えば、おいしそうなレストランがあってもひとりじゃ入りにくいですよね?初めてのことって本当にハードルが高いですよね。でも、友だちが一回行ったことがあるよとか、4人で行こうよ、となるとハードルが下がると思います。ぜひ友人を誘っていただきたいですし、ひとりでもガチャとドアを開けて見に来てもらうために、今ぜひ来てください!と。もう入った瞬間に取りつかれるくらいに、一生懸命僕たちは頑張りますので、ぜひ1回来ていただきたいなと思います。
木村)私は初めてドラゴンフライズの試合を見に行った時に、すんなりガチャっと開けられました(笑)私は外でする陸上をやってきたので、室内のバスケの観客との一体感にとても感激しました。

武本)私たちもドラゴンフライズの「頂月間」を応援していきたいと思っています。今週末はホーム、サンプラザで島根スサノオマジックとの「中国ダービー」です。西地区優勝に向けて絶対に負けられない戦い。NHKでは8日(土)の試合を広島県と島根県の皆さんに総合テレビで午後1時50分から中継します。今週末に向けて、浦さんの意気込みを!
浦)島根さんとはB2時代からの最大のライバルです。お互い切磋琢磨してきたので、中国地方で我々と島根さんが盛り上がらないと始まらない!と思っています。今、その最大のライバルと西地区の優勝争いをしていることは、感無量です。お互いに絶対に負けたくないと思っている戦いが、そこにはあります。ぜひこの今週末は、来るか見るか!の2択以外ないと思っていますので、ぜひお願いしたいと思います!
木村・工藤)私たちも全力で応援しています。本当にありがとうございました!

ページトップに戻る