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G7広島サミット開催 宮島観光にマイナスの影響も

  • 2023年04月14日

ことし5月19日から21日まで行われる広島サミットまで、2か月を切りました。地元では少しずつ機運が高まっていることを感じます。一方で、地域にとってマイナスの影響も見え始めています。県内有数の観光地、宮島では、首脳らが訪問することが検討されていて、これに伴って観光客などの出入りが制限される可能性があるというのです。

(広島放送局記者 福島由季)

宮島では観光客などの出入り制限の可能性

3月上旬に県民会議が宮島で開いた説明会には、3日間でのべ300人ほどの住民や事業者が参加しました。

宮島での説明会

この中では、首脳らの訪問に合わせて土産物店や飲食店に一時的な休業をお願いする可能性があることや、宿泊施設には、5月18日と19日に宿泊予約を入れないよう依頼がありました。参加者からは「休業などに伴う補償はあるのか」といった質問が出ましたが、県民会議側は「今のところ考えていない」という回答があったのみでした。このほか、説明会では、国からの正式な要請がいつあるのかなど、詳細な情報を求める意見が多く出されました。

(広島サミット県民会議事務局 山本栄典 次長)
「事業活動に影響が及ぶことについて、納得してもらえた状態には至っていないと考えている。日程などが決定し次第、住民に情報を伝え、お願いすべきものをお願いしていきたい」

新型コロナ影響から観光需要は回復

宮島では、嚴島神社でおよそ70年ぶりに行われていた大鳥居の工事が去年12月に終わったことや、国の観光需要の喚起策もあり、観光客の姿が増えてきています。2月に島を訪れた人は、26万9000人あまりと、2月として過去最高を記録しました。

土産物店や飲食店を併設するこちらの店では、新型コロナで落ち込んだ観光需要が回復してきていることを実感しています。売り上げは感染拡大前の7割ほどに戻ってきています。

社長の正木文雄社長は、サミットをきっかけに、島の魅力を世界に発信できる機会だと捉えています。ところが、首脳の訪問に伴って休業することになれば、5月は観光客や修学旅行生が多い時期だけに、補償がなければ、売り上げへの影響は大きいといいます。

正木屋 正木文雄社長

正木屋 正木文雄社長
「繁忙期の1番中心の時期ですから、観光客のお客さまをストップさせるいうのは非常に厳しいので、市とか県が少しでも補助していただければと思います」

正木社長は警備の大切さを理解しながらも、宮島の良さを知ってもらうには、日常のにぎわう様子をみてもらうことが一番だと考えています。

正木文雄社長
「安全が大事なので仕方ないですが、店が閉まっているところに来られてもどうなのかなと思います。自然の宮島のままの姿で見ていただきたいです」

正式な要請を1日でも早く

一方、宿泊施設では、対応に苦慮しています。5月18日と19日に宿泊予約を入れないように依頼を受けたからです。創業100年を超える島の老舗旅館では、県民会議の依頼を受けて、予約のキャンセルに協力することにしています。旅館では、すでにこの期間中30組ほどの予約が入っていて、予約の半分は外国人だといいます。旅行日程にも影響が出かねないことから、国からの正式な要請を待たずに、宿泊客に連絡を取り始めています。しかし、旅行会社からは「代わりの宿を探してほしい」と頼まれたり、海外の客に連絡がつながらなかったり、難しい対応を迫られています。

「錦水館」志熊聡 総支配人

「錦水館」志熊聡 総支配人
「間際になってからお客様にキャンセルしてくださいと頼むのは、ホスピタリティに欠けてしまいます。G7広島サミット自体は行うべきで、私たちが我慢するのは致し方ないと思っていますが、お客様になるべくご迷惑をかけないようにどうするかというところが一番大事だと思っています。国からの正式な要請があれば、お客さんの理解を得やすいと思うので、少しでも早く要請を出してほしいと思います」

取材後記

G7広島サミットは、世界の人に広島の魅力を発信する絶好の機会になります。一方で、日常生活や経済活動の一部に制限も出るため、地元の理解だけでなく、早めの情報提供が欠かせないと感じました。

  • 福島由季

     広島放送局記者

    福島由季

    広島市出身  経済や原爆の取材を担当 

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