ページの本文へ

ひろしまWEB特集

  1. NHK広島
  2. ひろしまWEB特集
  3. 広島市中心部の路面電車・路線バスが運賃220円均一に 

広島市中心部の路面電車・路線バスが運賃220円均一に 

  • 2022年11月02日

    広島市内で路線バスや路面電車を運行する7つの事業者が11月1日から運賃を改定。市内中心部のエリアでは、運賃が220円均一になり、多くの区間で値上げされました。その背景に迫ります。

    広島放送局 石川拳太朗記者

    路面電車もバスも運賃は220円均一

    運賃を改定したのは、広島市内で路線バスや路面電車を運行する広島電鉄、広島バス、広島交通、芸陽バス、備北交通、中国ジェイアールバス、それにエイチ・ディー西広島の7社です。

    路面電車は7路線が運賃改定

    広島電鉄の路面電車は、白島線を除いた7路線で運賃がこれまでの190円から220円に引き上げられました。

    路線バスの運賃改定エリア

    路線バスは、走行する63路線で運賃が220円に統一されました。広島駅から広島市南部までの路線などでは、運賃が引き下げられる区間もありますが、広島駅から本通りなど中心部の区間では190円から30円値上げされる形です。

    どうして値上げに踏み切ったのか、石川記者教えて!

    このところ生活に身近なモノの価格が上がっておるが、公共交通の運賃も上がることになるんじゃな。

    運賃が引き下げられる区間もありますが、多くの区間では引き上げられるため、実質的な値上げと言えます。7社が値上げに踏み切った背景には、新型コロナの影響で利用客が大幅に減少し、厳しい経営が続いていることがあります。

    広島電鉄によりますと、事業者7社の運賃改定エリアの利用客数は、新型コロナの感染拡大前の4年前の2018年度と比べて、2021年度は75%ほどになっています。企業のテレワークが進んだことや観光客の落ち込みで、2022年度も7割程度にとどまる見通しです。

    路線バス・路面電車7社の利用客数の推移(運賃改定エリア)

    そして、こちらは事業者7社の運賃改定エリアの経常収支の合計です。これは国の補助金を含んでいる決算です。

    7社の経常収支(運賃改定エリア) 

    感染拡大前はご覧のように黒字を確保していましたが、感染拡大した2020年度には一転して、30億円以上の赤字に転落し、2021年度は赤字幅が広がりました。
    そして、11月1日に運賃改定を行ったわけですが、これでも赤字は解消できない見通しです。運賃の改定によって、来年度・2023年度の経常収支は、2億円近く改善されるものの、依然として34億円程度の赤字を見込んでいます。

    値上げの背景には事業者の厳しい経営状況があるんじゃな

    ただ、赤字を解消するためには、運賃をもっと高く設定する必要がありますが、利用者への影響をできるだけ少なくするため、今回は220円に設定されたんです。

    大事なのは、この先、路線を維持していくこと。どう取り組んでいくんじゃ。

    運賃改定を行った7社は同じ区間を運行する、ライバルどうしですが、今回の運賃改定をきっかけに、会社の垣根を越えて、利便性を高めて、利用客を増やすことに取り組みたいと考えています。
    その一つが、路線バス・路面電車で相互利用できるサービスの充実です。このうち、定期券は、これまでは通勤だけが対象でしたが、運賃改定にあわせて、学生や障害者、70歳以上の高齢者にも拡大しました。
    また、「デジタル乗車券」も導入されました。スマートフォンで購入でき、画面を見せるだけ乗り降りできます。今回の均一運賃のエリアでは、バスと路面電車が最大6時間400円で乗り放題となるサービスです。観光客などに利用してもらうことを目指しています。

    広島電鉄 交通政策課 山瀬隆明課長

    (広島電鉄 交通政策課 山瀬隆明課長)
    「これまでは各事業者でそれぞれ競争するような形もあったと思うが、これからは協力する形で、より利便な公共交通として利用していただけるようにしていきたい。新たに公共交通を利用していただくきっかけづくりや、従来の利用からさらに増やしていただくようなことを行いたいと思います」

    生活に欠かせない公共交通、できれば安価で、便利で、そしていつまでも利用できることが大事なポイントじゃな。

    広島市中心部でさえも赤字が続いている公共交通。維持していくためには、7社が連携して利便性を高めるだけでなく、重なっている路線の整理など、コスト削減にも取り組むことが求められていると思います。

      ページトップに戻る