ページの本文へ

ひろしまWEB特集

  1. NHK広島
  2. ひろしまWEB特集
  3. 「GMの仕事は?」広島ドラゴンフライズ岡崎GMに聞きました

「GMの仕事は?」広島ドラゴンフライズ岡崎GMに聞きました

  • 2022年06月21日

視聴者のみなさんと番組をつなぐ「お好みコネクト」です。
今回、こんな投稿が寄せられました。
プロスポーツチームのゼネラルマネージャーの話を聞いてみたいです。戦力外通告やトレード、年俸交渉など、どのような活動をしているのか知りたいです」という内容です。
ゼネラルマネージャー、GMと訳されますが、実際どんな仕事をしているのか。
この疑問にお答えするため、シーズンを終えたバスケットボールB1、広島ドラゴンフライズの岡崎修司ゼネラルマネージャーに聞きました。

(広島放送局記者 松井晋太郎)

なぜ、GMという仕事をしているんですか?

私自身、もともと選手としてプレーした経験があって、引退後に球団の運営にも関わりたいという思いが芽生え始めました。その中で、社長、そしてオーナーから打診をいただきまして、ぜひ前向きに考えたいということで、その役職に就任したというのが経緯です。

広島ドラゴンフライズ 岡崎修司GM

岡崎修司さん (31歳・1990年8月12日生)

・小学校時代に友人の誘いでバスケを始める
・県内の高校卒業
・広島大学薬学部に入学
・大学に籍を置きながらドラゴンフライズの選手として4年間活躍
・現役を引退後2021年にGMに就任

選手の時とGMは何が違いますか?

選手は自分のことに集中して、自分が良いプレーをしてチームを勝たせることに集中する仕事です。GMは「クラブ全体で良くなっていきたい」というところと「しっかりと積み重ねていく」ということですね。そのあたりの考え方が大きく異なると思います。

クラブというのは会社なので、持続的に運営していけます。さらには地域に根ざした会社になっていって、地域にとって価値のあるものになるのがもう1つの成功だと思います。

視聴者からGMは何をしているんですか?という質問がきました。

分かりやすいところでいうと「編成」という言葉ですが、やっていることは「なんでも屋」だと私は思っています。選手とコミニケーションをとって選手がどう思っているのか、課題の確認、コーチ陣に今どういったプロジェクトがあって、進捗を確認するのも大事ですし。何でもします。

細かく言うと、選手の獲得、選手の検討、契約書の作成、ルールの確認、あとは年俸の交渉、編成、あと外国籍選手の生活周りを管理、ビザの取得関連、あとは会社側のイベント関係やスポンサーとの関係、いろいろありすぎて、私も分かっていないですね。

とにかく仕事が多そうな岡崎さんですが、レギュラーシーズンが終わったこの時期の忙しい1日のスケジュールです。

オフシーズンの忙しい1日

勝つだけではなくて、地域やスポンサーへのあいさつ回りも大事な仕事なんですね。

そうですね。いくら強くても地域の皆さまから応援してもらえないと、チームは存在意義がよく分からないことになるので、地域を大切にやっています。

スポンサーへのあいさつ回り

レギュラージーズンと、オフシーズンの主な仕事は何ですか?

レギュラーシーズンと、オフシーズンの区分けがなかなかバシッとできるものではないというのが正直なところです。シーズン中は、選手やスタッフが結果につながるよう、どういったプレーや采配をしているのか、というのをしっかり評価するのが主な仕事になってきますね。

シーズンが終わると、編成が始まると言う認識だと思いますが、実はシーズン中から翌年の編成作業は始まっています。シーズンが終わると、とにかく早くから交渉をはじめて、来季の編成を練っていくということになります。

狙っていた選手と契約にこぎ着けた時はどんな思いですか?

それは単純に嬉しいという思いがありますね。クラブがこういう風に成長していきたいという中で、そこに共感して、広島に加入してくれるのは本当に嬉しく思いますね。しかし、断られることが多くて、こういう編成ができたらいいなというのは大抵思い通りにいかないことの方が圧倒的に多いなかで(契約が)決まるというのは嬉しいことですね。

一方で、契約の延長を伝えられない選手もいると思いますが?

それは本当につらくて、この仕事をしていても、1番2番を争うくらいつらい瞬間です。その分、心を強く持って、誠意を持って話します。選手側もコーチ側もプロフェッショナルというところでは、心構えができていると思っています。伝える日というのは前日くらいから心が重くて「明日言わなければいけなんだな」というのは正直、人間なんで思いますね。

評価する部分は結果ですか?人柄も判断材料に入れていますか?

これは本当に結論を出すのは難しいと思いますし、色んな意見があると思います。当然、試合の取り組みとか、普段の取り組みとか、プロセスを評価しながらも、プロフェッショナルとして結果も同時に評価していかなければと思います。ドラゴンフライズとしてはそのあたりは両輪でしっかり見てます。

選手との距離間は、どのように考えていますか?

契約の有無を決めていく立場になるので、距離間は非常に意識しています。近すぎても良くないですし、離れすぎてもよくないと思います。各選手、適切な距離間で接していって、きちんとクラブとしての評価を伝えていくのが重要なのかと思いますね。

GMとして、どういうチームを作っていきたいですか?

クラブとしては地域の方々から愛される、誇れるチームを作っていきたいと思っています。その要素として強いことは重要だと思います。ただ、それだけではないと思っています。試合に来てくれたファンの方々に何かを感じていただける。「今日、試合に来て良かった」と思ってもらいたいです。

そういったことを続けることで、日常の会話の中で広島の方々が「今日ドラゴンフライズ勝ったよね、いい試合だったよね」というのを作っていきたい。これが本当に1番の思いですね。それに伴って日本一というのを全力で追求していきたいです。

この日はアシスタントコートを出迎える

来シーズンの強化のポイントは何ですか?

それはなかなか難しくて、色んな要素があって、いろんな課題、改善点があると思っていて、我々としては来シーズン、改善するところポイントを絞るようにしています。

1つが「チームの成熟度ですね」。ヘッドコーチが昨シーズンから入って新しい戦術を取り入れたんですけど、チーム戦術、チーム力になかなか発揮されない試合が多かったなと思っていまして、具体的には相手チームにうちの対策をされたときに手詰まりになって、自分たちのオフェンスがなかなか上手くいかず停滞する、ディフェンスが崩されたりするということがあったので、そこは来季積み上げのシーズンにしたいですね。

ほかにはありますか?

もう1つが、「攻守の切り替え」が課題です。全クラブの中で下から5番目くらいに入るくらい攻守の切り替えでの失点が多かったというのが反省点ですね。攻守の切り替えの失点というのは、本当に簡単な失点になるんですね。上位チームとやって負けた試合というのはそういう差で負ける試合が多かったので、そのあたりは重点的に改善すべきところだと思っています。

GMという仕事としてのやりがいは何ですか?

やっぱり決めていくということは、必ず表と裏、良い面と悪い面があると思います。決めないというのが1番楽だと思います、人間って。そういう面でいうと決めていく面が多いので、負担がかかる部分もありますけど、個人的にはやりがいがあると思っています。

最後にGMとして大切にしている言葉を教えて下さい。

「逆算力」です。このクラブが5年10年、何10年と歴史をつないでいく中で、逆算力というのは考えないといけない視点だと思いましたし、そこは本当に大事にしています。先手先手を打って、逆算することでチームを変革していく。逆算して、ここまでに“”日本一”になるんだ、というところで逆算していって、この年にはここまで必ずいく、そういったところでこの力は大事にしていきたいと思っています。

来シーズンの目標を教えてください

チャンピオンシップ出場。ここを目標にしたいと思っています。ここに出ることで日本一のチャンスが出ると思いますし、ここは必ず達成したい目標です。

 

ページトップに戻る