広島かわ知り⑤芦田川
- 2022年05月17日
広島県東部の備後地域の工業用水にも使われる全長86キロの芦田川。三原市を源流に、府中市や福山市の市街地を流れます。4年前の西日本豪雨では流域の各地で浸水被害が発生。浸水面積は、県内の河川で最大規模のおよそ2000ヘクタールにのぼりました。水害から命を守るための3つのポイントを順に紹介します。
(広島放送局 渡邊貴大)
Point①「中流部の氾濫」に注意!
芦田川の河口からおよそ30キロ上流の中流部に位置する府中市の前原地区では、西日本豪雨の際、整備中の堤防から水があふれて住宅などが浸水しました。前原地区などの中流部は川幅が狭く、場所によっては下流部の半分以下です。そこに複数の支流が合流し、水かさが急激に増してあふれる危険があります。川幅が狭い前原地区や砂川などの支流との合流部付近では5メートルを超える浸水が想定されています。
この地域に住む人は、最寄りにある府中の観測所の水位を確認して下さい。さらに早めの避難につなげるため、10キロ上流にある矢野原の観測所の水位もチェックしてください。いずれの観測所も、国土交通省の「川の防災情報」のサイトで、最新の水位や画像が確認できます。
Point②「都市部の内水氾濫」に注意!
内水氾濫は、川の水かさが増すことで支流の水や下水が排水できなくなり水があふれる現象です。コンクリートで覆われた都市部で発生しやすい傾向があります。
西日本豪雨の際、福山市内では支流の高屋川との合流部を中心に大規模な内水氾濫が発生。商業地や住宅地の一帯が水につかり、福山市内で浸水した建物はおよそ2200棟にのぼりました。
今後の大雨でも同じ場所で内水氾濫が起きる危険があり、注意が必要です。
Point③「短時間で広がる浸水」に注意!
山陽新幹線の高架橋が川にかかる場所からおよそ1キロ東にはJR福山駅や市役所があります。地図上でうすい水色や青色で示されたJR福山駅周辺の中心市街地は、標高が1メートルから2メートルの低い土地が広がり、堤防が決壊すると短時間で水が押し寄せる危険があります。
国土交通省のシミュレーションでは、想定される最大規模の大雨が降ってJR福山駅からおよそ1点5キロ離れた堤防が決壊した場合、駅前には1時間ほどで水が押し寄せます。この時の深さは50センチと想定されています。
こうした危険をいち早く知るためにチェックして欲しいのが、中心市街地の近くにある山手の観測所の水位です。さらに、およそ3キロ上流に位置する支流に設置された御幸の観測所の水位を見ると早めの避難に役立つので、確認して下さい。
福山河川国道事務所 柏原良彦副所長
「より早く遠方に避難するとなると避難に要する時間を踏まえて時間的な余裕を多くとる必要があります。上流の水位、あるいは上流の雨を確認してほしいと思います」
芦田川では福山市内だけでなく、府中市でも堤防が決壊してからすぐに水が押し寄せてくるため、決壊する前に安全な場所に避難することが重要です。この記事で紹介した3つのポイントに注意して、大雨の時には早い段階での避難を意識してください。
▼「NHKニュース・防災アプリ」 https://www3.nhk.or.jp/news/news_bousai_app/index.html
▼国土交通省 「川の防災情報」 https://www.river.go.jp/index