広島かわ知り③江の川
- 2022年05月17日
長さ194キロに及ぶ中国地方最大の河川、江の川です。北広島町を源流に三次市などを通り、島根県から日本海に流れます。4年前の西日本豪雨では、広島・島根の両県で氾濫。上流部の広島県内では三次市を中心に21か所で氾濫しました。水害から命を守る3つのポイントを順に紹介します。
(広島放送局 渡邊貴大)
Point①「川の蛇行部分」に注意!
三次盆地より上流の山間部には、川が大きく蛇行する地域が連なっています。
カーブする部分では内側と外側で水のスピードが異なり、特に、スピードが速まる外側で氾濫する危険が高まります。蛇行部分の外側に集落がある三次市西酒屋町では平成30年の西日本豪雨や令和3年の前線の大雨でも川の水が堤防を乗り越えて集落の一帯が浸水しました。水のエネルギーが集中しやすい蛇行部では注意が必要です。
Point②「3つの川の合流地点」に注意!
三次市の市街地が広がる三次盆地。ここでは、支流の西城川が馬洗川と合流し、本流の江の川に流れ込みます。大雨の時、3つの川の合流部では急激に水位が上がる危険があります。
ひとたび川から水があふれると、市街地での浸水被害は深刻です。想定される浸水の深さは最大で13メートル。4階建てのビルに相当し、早めの避難が重要です。
三次市の市街地の人たちにまず確認してほしいのが、尾関山の観測所です。市街地に最も近い水位をチェックできます。あわせて、早めの避難に繋げるために確認して欲しいのが、28キロ上流にある吉田の観測所です。西日本豪雨では尾関山よりおよそ2時間半早く危険な水位の上昇を捉えていました。国土交通省の「川の防災情報」のサイトで、最新の画像や水位が確認できます。
三次河川国道事務所 斉藤一正副所長
「上流側の水位観測所を確認することはとても大事なことだと思います。早めに避難行動をとることによって、落ち着いて避難ができると思います」
Point③「土師ダムの水位」に注意!
江の川上流の安芸高田市にある土師ダムは下流に流す水の量を調節します。
安芸高田市の中心部までおよそ10キロと近い距離にあるのが特徴です。大雨でダムの水位が基準を超えた場合、通常より多い量を川に流す「緊急放流」をする場合があります。土師ダムでは、緊急放流の判断をする水位は標高254点1メートル。西日本豪雨の際、この水位まであと3メートルほどに迫りました。
緊急放流する事態になった場合、川が氾濫するおそれがあるため、ダムを管理する国は、流域の住民に直ちに川から離れるよう求めることにしています。ダムの最新の状況も国土交通省のサイトで見ることができます。
流域面積が中国地方で最も大きい江の川では、過去3年間、毎年流域で浸水被害が発生しています。この記事で紹介した3つのポイントに注意して、大雨の時には早い段階での避難を意識してください。
▼「NHKニュース・防災アプリ」 https://www3.nhk.or.jp/news/news_bousai_app/index.html
▼国土交通省 「川の防災情報」 https://www.river.go.jp/index